【詩】甘いクレイジー
この世界の一人称はまだ確定していなくて、自分と隣の人との境目が曖昧なまま、地平線の果てまで続いている。膨れ上がった自尊心でくすんだ雲の色を、冷たい落ち葉が彩るけれど、卑下すら忘れたタバコの火は、他人との違いを歪ませる。
それでも、雨に溶けた歴史の音が、窓を伝って私の今日を教えてくれる。街灯の光を夜だけが照らしている時間、私はポケットにしまった雨粒の肌触りを確かめる。それは温かく艶やかで、とても偉大なものに思えた。
骨なった思い出は、頭痛で軋む金平糖として、紫陽花の中に忘れられ