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【詩】ALL DAY

沸騰した鍋に浮かぶ夜と
夜とをつなぐ飛行機雲
僕の瞳の内側で灰になった
きみの音を
空に放って流れ星にする

夢の先で運んだ青空が
混ざった色に逆らって
ソーダから溢れた心臓を
きみの目に焼きつける

六時頃に散った木、僕と
朝の無実が
淡い月の額を、手を繋ぎながら泳いでいる
寂しさの僕らが、一切れの僕となる、
いつもの
心が増えた日の出ごっこ

解雇した時の葉で
ぼやけしきった脳細胞に
青色の別れを伝える
「またね、」
カナリアに潜んだ影の底、
無くしたはずの言葉を
逆撫でながら、歩いていく

言葉が電子越しに擦れ始めると、
振り向いた今の幻視が加速する
これはすでに生理現象以下の
頭を使わなくてもいい行為
レモンの端で指を切るくらい
ありふれた暮らしの響き

空っぽの手帳から飛び出した舞台で
戻らない時間を、好きと言った希望を、
僕は過去と見つめている
それは
溶け残ったアイスのような
純粋な熱、
猫が鳴く気持ちで
僕は宙を望んでいる

掻きむしられた夕暮れの中
部屋の片隅の紙崩れに、ミルクを注ぐ毎日
「バカだね」って鎖をはぐと、
心が泡をふくんで消えた
気まぐれな僕は
針がなくなった時計に意味を見出せず、
ずっと、笑い声を掛け違えて暮らしてきた

鈍色の夜に咲いた雨は焦げついて
雨ざらしの瞳から流れる、錆びた涙が
遥遠い
明日の光を反射する

生きて死ぬまでの夜のこと


#創作大賞2024
#オールカテゴリ部門


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