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【社会科】「効率」と「公正」の視点を身に付ける授業 ”テニス大会の思考実験”

こんにちは。
” いかたこ ” と申します。
中学校で社会科の教員をしています。
noteでは、授業がより楽しくなるアイデア(授業のタネ)を発信しています。

今回紹介する授業のタネは、テニス大会の思考実験です。

効率」と「公正」という視点を身に付け、それらをもとに思考するための公民の教材です。

公民の授業といえば、経済・政治・国際社会などを学習するイメージですが、現代社会の見方・考え方というものを初めに学習します。

効率」と「公正」は現代社会の見方・考え方の1つです。

効率」と「公正」の視点もとに現代社会を捉え、課題を解決していくことが求められます。

それぞれの意味を確認してみましょう。

「効率」・・・
社会全体で「無駄を省く」という考え方。これを別の表現で説明すると「より少ない資源を使って社会全体でより大きな成果を得る」という考え方であるといえる。

「公正」・・・
「みんなが参加して決めているか、だれか参加できていない人はいないか」というような手続きの公正さや「不当に不利益を被っている人をなくす」、「みんなが同じになるようにする」といった機会の公正さや結果の公正さなど、「公正」には様々な意味合いがある。
【社会編】中学校学習指導要領(平成29年告示)解説

これらはとても抽象的で、生徒はもちろん、教員にとってもイメージが難しいものです。

そのため、わかりやすく教えられるように、身近な事例を教材にする工夫が必要です。

テニス大会の思考実験は、身近な事例を用いた教材の1つです。

効率」と「公正」の視点を身に付けるとともに、これらの視点をもとに、きまり(ルール)を作ることの重要性についても考えることができます。

以下では、思考実験の内容を説明しています。
よろしければ、最後までご覧ください。

テニス大会の思考実験

設定

テニス部の大会(トーナメント形式)が開かれました。
大会には、赤中学校・青中学校・黄中学校の3校が参加しました。(画像1)

画像1


会場にはコートが4つ用意され、各コートで試合が行われました。(画像2)

画像2


ですが、トーナメントが進んでいくにつれて、試合数が少なくなり、常に1つのコートが空いている状態になりました。(画像3)

画像3


これを見た赤中学校の生徒が、運営の先生にお願いをしました。
「空いているコートで練習をさせてください。私たちは試合に負けてしまいました。でも、負けて学んだことを次につなげたい。今すぐ練習がしたいんです!」(画像4)

画像4


問い

思考実験の設定を説明した後、生徒に3つの問いを出します。

①赤中学校の練習を、許可するべき・禁止するべき理由をそれぞれ考えよう

許可するべき
ex)
・空いているコートを有効活用できる
・意欲的な生徒が使うことで、より有意義にコートを使用できる

→ 「効率」の視点

禁止するべき
ex)
・赤中学校の生徒だけにコートを使わせるのは不公平である
・コートでの練習について赤中学校以外の生徒の意見が反映されていない

→ 「公正」の視点


②許可・禁止という意見の対立を未然に防ぐために何ができるたろうか?

空いているコートでの練習について、きまり(ルール)を作ること

*空いているコートでの練習を禁止する場合も、事前にきまり(ルール)作っておくことは大切です。


③空いているコートでの練習を許可する場合、どのようなきまり(ルール)を作るべきだろうか?「効率」と「公正」という視点から考えてみよう

ex)
・コートで練習したい生徒の数に応じて、各中学校の使用時間を決める。
・コートの使用時間を各中学校に平等に振り分ける。


まとめ

現代社会の見方・考え方の単元は、公民の他の単元と比べても、教える内容が少なくなっています。

そのため、このような見方・考え方があることを紹介するだけで、次々に教科書の内容を進めてしまうことが多いそうです。

ですが、見方・考え方の重要性は、学習指導要領に書かれている通りです。

また、教える内容が少ないからこそ、生徒が多様な事例を考えることができればと思います。

テニス大会の思考実験も多様な事例の1つになれば幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございました。
今後も授業のタネを発信していきます。お楽しみに。

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