ぼやき牧師|富田正樹

キリスト教学校の聖書科教員の傍ら、小さな教会の牧師(代務者)もしています。

ぼやき牧師|富田正樹

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マガジン

  • ぼやき牧師のキリスト教メッセージ

    教会の日曜礼拝でお話したメッセージです。 おおよそ1ヶ月に2回程度更新します。 主に日本キリスト教団徳島北教会でお話したもの。時々日本キリスト教団枚方くずは教会でお話したものや、その他の場所でのものもあります。 キリスト教や教会に関心をお持ちの方はどうぞ。

  • ぼやき牧師のブックレビュー

    ぼやき牧師が読んだおすすめの本の感想をご紹介します。 更新は不定期。 本のお好きな方はどうぞいらっしゃいませ。

  • ぼやき牧師のシネマレビュー

    ぼやき牧師が観た映画の紹介をいたします。割とメジャーどころの映画が多いです。 更新は不定期です。 映画のお好きな皆さんはどうぞいらっしゃいませ。

最近の記事

イエスは誰も肯定しないし、否定もしない

 2024年3日17日(日)徳島北教会 受難節第5主日礼拝 説き明かし  マルコによる福音書14章3-9節(新約聖書・新共同訳 p.90−91、聖書協会共同訳 p.89)  有料記事設定となっておりますが、無料で最後までお読みいただけます。有志のお方のご献金をいただければ、大変ありがたく存じます。  最後に動画へのリンクもあります。「読むより聴くほうがいい」という方は、そちらもどうぞ。 ▼マルコによる福音書14章3−9節(ベタニアで香油を注がれる)  イエスがベタニアで重

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    • 『マスキュリニティで読む21世紀アメリカ映画』國友万裕著、英宝社、2021

      マスキュリニティ(男性性、男らしさ)がアメリカ映画の中でいかに描かれているのか。その変遷を観察してゆくことで、ジェンダーの時代ごとのあり方を探ってゆく、興味深い本。  とりあげられているのはアメリカ映画に表れるアメリカ文化だが、日本のジェンダー観、加えて日本の独自性との比較でとらえても面白い。  このように、男性論からジェンダーを論じ始める本は珍しいのではないか。特に近年においては、女性やLGBTQ+などの視点からのセクシュアリティ論、ジェンダー論は数多く出版され、論じられ

      • ジェノサイドのもとでの祈り

        2024年3日3日(日)徳島北教会 世界祈祷日礼拝 説き明かし 申命記10章17−19節(旧約聖書・新共同訳 p.298、聖書協会共同訳 p.282) 有料記事設定となっておりますが、無料で最後までお読みいただけます。有志のお方のご献金をいただければ、大変ありがたく存じます。 最後に動画へのリンクもあります。「読むより聴くほうがいい」という方は、そちらもどうぞ。 ▼申命記10章17-19節  あなたたちの神、主は神々の中の神、主なる者の中の主、偉大にして勇ましく畏るべき神

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        • 『八色ヨハネ先生』三宅威仁著、文芸社、2023

           同志社大学神学部教授(このレビューを書いている2024年2月現在)の三宅威仁さんによる小説。小説を読むこと自体、筆者にとっては何年ぶりかわからないほど久しぶりであったので、とても新鮮だった。  主人公の八色約翰(やいろヨハネ)先生は同志社大学神学部の教授である。しかし、作者によれば、この人物にはモデルとなる人物は存在せず、全くの創作であるという。作品ではこのヨハネ先生の、太平洋戦争末期の少年時代から晩年までの生涯が綴られている。  作品には、キリスト教信仰に根ざす表現が幾

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        記事

          『傷によって共に生きる』北口沙弥香著、沙弥香牧師と愉快な仲間たち、2023

           神奈川県にある日本基督教団愛川伝道所の牧師をしておられる北口沙弥香さんの、受按5周年記念、農村伝道神学校入学12周年記念の説教集である。  神学校に在学中の2013年から愛川伝道所における2023年に至るまでの説教の中で、26編が選ばれている。巻頭言は筆者が執筆した。  読み進めると、東日本大震災が北口さんの信仰と牧会に与えている影響が、とてつもなく大きいのだと知らされる。震災直後の被災地に入って出会った人びとや出来事が、北口さんのそれまでの人格を叩き壊し、そこから再生し

          『傷によって共に生きる』北口沙弥香著、沙弥香牧師と愉快な仲間たち、2023

          わたしをセンセと呼ばないで

          2024年2日4日(日)徳島北教会 主日礼拝 説き明かし マタイによる福音書23章1−12節(新約聖書・新共同訳 p.45、聖書協会共同訳 p.44) 有料記事設定となっておりますが、無料で最後までお読みいただけます。有志のお方のご献金をいただければ、大変ありがたく存じます。 最後に動画へのリンクもあります。「読むより聴くほうがいい」という方は、そちらもどうぞ。 ▼マタイによる福音書23章1-12節  それから、イエスは群衆と弟子たちにお話しになった。  「律法学者たちや

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          わたしをセンセと呼ばないで

          「召天」か「永眠」か

           教会では、亡くなられた方を想起して行う礼拝がある。これを「召天者」記念礼拝と呼ぶのか、「永眠者」記念礼拝と呼ぶのか、実はぼくの通う教会では、しっかりと定まっていない。人によって呼び方が違う。「どっちですか?」と訊かれることもある。  どっちが正しいとは言わないし、言えないから「自分がしっくり来る方でいいですよ」と答えているが、いざ当日の週報にはどちらか書かないといけないから、自分の感性に合うように「召天者」と書いてもらう。  しかし、考えてみると「召天」と「永眠」では随分と

          「召天」か「永眠」か

          今日が人生でいちばん若い日

          2024年1日7日(日)徳島北教会 主日礼拝 説き明かし 創世記12章1−9節(新約聖書・新共同訳 p.14、聖書協会共同訳 p.14-15) 有料記事設定となっておりますが、無料で最後までお読みいただけます。有志のお方のご献金をいただければ、大変ありがたく存じます。 最後に動画へのリンクもあります。「読むより聴くほうがいい」という方は、そちらもどうぞ。 ▼創世記12章1-9節  主はアブラムに言われた。  「あなたは生まれ故郷  父の家を離れて  わたしが示す地に行きな

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          まだ終わりではない

          2024年1日7日(日)徳島北教会 新年礼拝 説き明かし マルコによる福音書13章7−8節(新約聖書・新共同訳 p.88、聖書協会共同訳 p.87) 有料記事設定となっておりますが、無料で最後までお読みいただけます。有志のお方のご献金をいただければ、大変ありがたく存じます。 最後に動画へのリンクもあります。「読むより聴くほうがいい」という方は、そちらもどうぞ。 ▼マルコによる福音書13章7−8節  戦争の騒ぎや戦争のうわさを聞いても、慌ててはいけない。そういうことは起こる

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          生まれてくれてありがとう

          2023年12月24日(日)徳島北教会 クリスマス礼拝 説き明かし ルカによる福音書1章26-38節(新約聖書・新共同訳 p.100、聖書協会共同訳 p.99) 有料記事設定となっておりますが、無料で最後までお読みいただけます。有志のお方のご献金をいただければ、大変ありがたく存じます。 最後に動画へのリンクもあります。「読むより聴くほうがいい」という方は、そちらもどうぞ。 ▼ルカによる福音書1章26-38節  六か月目に、天使ガブリエルは、ナザレというガリラヤの町に神か

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          『ゴジラ-1.0』(2023年)

           初代ゴジラから70周年。そしてゴジラ映画30作目という節目に相応しい大作と感じた。  前作『シン・ゴジラ』の舞台が現代であるのと打って変わって、今回の『ゴジラ-1.0』では、1945年、敗戦直後の日本という設定であり、これは初代ゴジラの登場年代よりも前ということになる。  当然、戦争の傷に人びとが苦しんでいた頃であり、誰もが身近な人を亡くしており、絶望と虚しさに覆われた時代だった。日本社会が最も弱く落ち込んでいた時の話である。  加えて、ビキニ環礁での核実験によって変異を起

          『ゴジラ-1.0』(2023年)

          物語の中を一緒に生きよう

          2023年12月3日(日)徳島北教会 アドヴェント第1主日礼拝 説き明かし マルコによる福音書1章1-11節(新約聖書・新共同訳 p.61、聖書協会共同訳 p.60) 有料記事設定となっておりますが、無料で最後までお読みいただけます。有志のお方のご献金をいただければ、大変ありがたく存じます。 最後に動画へのリンクもあります。「読むより聴くほうがいい」という方は、そちらもどうぞ。 ▼マルコによる福音書1章1-11節(新共同訳)  神の子イエス・キリストの福音の初め。  預

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          『ぼくはいかにしてキリスト教徒になったか』内村鑑三著、河野純治訳、光文社文庫、2015(原著1895)

           内村鑑三のキリスト教信仰の遍歴を、日記に基づいて語った自叙伝として著名な作品である『余は如何にして基督信徒となりし乎』。  これが非常に読みやすい現代語に翻訳されているので読んでみた。  内村鑑三は、もともと10代半ばまでは熱心な仏教や神道の信者であり、儒教的道徳の信奉者であった。そして、札幌農学校でクラークの強い影響を受けた先輩学生たちに説得されても、強硬に抵抗していた。  しかし、いざキリストに従うことへの誓約書に、強制的に署名させられてみると、一神教のあまりにシンプ

          『ぼくはいかにしてキリスト教徒になったか』内村鑑三著、河野純治訳、光文社文庫、2015(原著1895)

          『ザ・クリエイター』(The Creator)2023

           2060年代が舞台。AIが暴走して人類に対する脅威となることを恐れたアメリカは、AI開発を進め、AIとの共存を極めようとしている「ニューアジア」(現在の東南アジア地域)との戦争を始める。  アメリカの標的は、極限まで人間に近いAIロボットの開発者と思われる「ニルマータ」(ネパール語で「創造者(creator)」)の殺害である。  主人公ジョシュアはニューアジアで潜入捜査をしていたが、捜査のために利用しようとした女性マヤと愛し合う関係になってしまう。  しかし、米軍は襲撃作戦

          『ザ・クリエイター』(The Creator)2023

          『なぜ「救い」を求めるのか』島薗進、NHK出版、2023

           「なぜ『救い』を求めるのか」というタイトルから、「人間はどうすれば救われるのか」ということを説く本かな、と当初想像していた。  実際、第1章においては、苦難の人生から死によって救われること、あるいは生きている間に魂の再生を経験すること、さらには新たな「精神的な高みやいのちの尊さの体得」(p.49)などが、物語や詩や歌などを通して得られる事例を紹介してある。  「救い」とは「苦難や悲しみに耐える力、深いなぐさめや希望、そしてより良き生への意欲を促すような語りかけ」「苦難や悲し

          『なぜ「救い」を求めるのか』島薗進、NHK出版、2023

          愛も休み休みにしろ

          2023年10月15日(日)徳島北教会 主日礼拝 説き明かし 創世記2章1−3節(旧約聖書・新共同訳 p.2、聖書協会共同訳 p.2) 有料記事設定となっておりますが、無料で最後までお読みいただけます。有志のお方のご献金をいただければ、大変ありがたく存じます。 最後に動画へのリンクもあります。「読むより聴くほうがいい」という方は、そちらもどうぞ。 ▼創世記2章1-3節  天地万物は完成された。  第七の日に、神は御自分の仕事を完成され、第七の日に、神は御自分の仕事を離れ

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          愛も休み休みにしろ