ぼやき牧師|富田正樹

キリスト教学校の聖書科教員の傍ら、小さな教会の牧師(代務者)もしています。

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マガジン

  • ぼやき牧師のキリスト教メッセージ

    教会の日曜礼拝でお話したメッセージです。 おおよそ1ヶ月に2回程度更新します。 主に日本キリスト教団徳島北教会でお話したもの。時々日本キリスト教団枚方くずは教会でお話したものや、その他の場所でのものもあります。 キリスト教や教会に関心をお持ちの方はどうぞ。

  • ぼやき牧師のブックレビュー

    ぼやき牧師が読んだおすすめの本の感想をご紹介します。 更新は不定期。 本のお好きな方はどうぞいらっしゃいませ。

  • ぼやき牧師のシネマレビュー

    ぼやき牧師が観た映画の紹介をいたします。割とメジャーどころの映画が多いです。 更新は不定期です。 映画のお好きな皆さんはどうぞいらっしゃいませ。

最近の記事

物語の中を一緒に生きよう

2023年12月3日(日)徳島北教会 アドヴェント第1主日礼拝 説き明かし マルコによる福音書1章1-11節(新約聖書・新共同訳 p.61、聖書協会共同訳 p.60) 有料記事設定となっておりますが、無料で最後までお読みいただけます。有志のお方のご献金をいただければ、大変ありがたく存じます。 最後に動画へのリンクもあります。「読むより聴くほうがいい」という方は、そちらもどうぞ。 ▼マルコによる福音書1章1-11節(新共同訳)  神の子イエス・キリストの福音の初め。  預

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    • 『ぼくはいかにしてキリスト教徒になったか』内村鑑三著、河野純治訳、光文社文庫、2015(原著1895)

       内村鑑三のキリスト教信仰の遍歴を、日記に基づいて語った自叙伝として著名な作品である『余は如何にして基督信徒となりし乎』。  これが非常に読みやすい現代語に翻訳されているので読んでみた。  内村鑑三は、もともと10代半ばまでは熱心な仏教や神道の信者であり、儒教的道徳の信奉者であった。そして、札幌農学校でクラークの強い影響を受けた先輩学生たちに説得されても、強硬に抵抗していた。  しかし、いざキリストに従うことへの誓約書に、強制的に署名させられてみると、一神教のあまりにシンプ

      • 『ザ・クリエイター』(The Creator)2023

         2060年代が舞台。AIが暴走して人類に対する脅威となることを恐れたアメリカは、AI開発を進め、AIとの共存を極めようとしている「ニューアジア」(現在の東南アジア地域)との戦争を始める。  アメリカの標的は、極限まで人間に近いAIロボットの開発者と思われる「ニルマータ」(ネパール語で「創造者(creator)」)の殺害である。  主人公ジョシュアはニューアジアで潜入捜査をしていたが、捜査のために利用しようとした女性マヤと愛し合う関係になってしまう。  しかし、米軍は襲撃作戦

        • 『なぜ「救い」を求めるのか』島薗進、NHK出版、2023

           「なぜ『救い』を求めるのか」というタイトルから、「人間はどうすれば救われるのか」ということを説く本かな、と当初想像していた。  実際、第1章においては、苦難の人生から死によって救われること、あるいは生きている間に魂の再生を経験すること、さらには新たな「精神的な高みやいのちの尊さの体得」(p.49)などが、物語や詩や歌などを通して得られる事例を紹介してある。  「救い」とは「苦難や悲しみに耐える力、深いなぐさめや希望、そしてより良き生への意欲を促すような語りかけ」「苦難や悲し

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        『ぼくはいかにしてキリスト教徒になったか』内村鑑三著、河野純治訳、光文社文庫、2015(原著1895)

        はじめまして。富田正樹です。

        死に際でもふざけ続けることしかできない人たちについて

        教会は正解を聞きに行くところか

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          愛も休み休みにしろ

          2023年10月15日(日)徳島北教会 主日礼拝 説き明かし 創世記2章1−3節(旧約聖書・新共同訳 p.2、聖書協会共同訳 p.2) 有料記事設定となっておりますが、無料で最後までお読みいただけます。有志のお方のご献金をいただければ、大変ありがたく存じます。 最後に動画へのリンクもあります。「読むより聴くほうがいい」という方は、そちらもどうぞ。 ▼創世記2章1-3節  天地万物は完成された。  第七の日に、神は御自分の仕事を完成され、第七の日に、神は御自分の仕事を離れ

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          愛せない奴こそ愛される

          2023年10月8日(日)枚方くずは教会 聖日礼拝 宣教 マタイによる福音書5章3節(新約聖書・新共同訳 p.6、聖書協会共同訳 p.6) 有料記事設定となっておりますが、無料で最後までお読みいただけます。有志のお方のご献金をいただければ、大変ありがたく存じます。 最後に動画へのリンクもあります。「読むより聴くほうがいい」という方は、そちらもどうぞ。 ▼マタイによる福音書5章3節  心の貧しい人々は幸いである、  天の国はその人たちのものである。 (新共同訳・聖書協会共

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          とりあえず、飯を食おう

          2023年10月1日(日)徳島北教会 世界聖餐日礼拝 説き明かし 使徒言行録9章1節〜19節(新約聖書・新共同訳 p.229-230、聖書協会共同訳 p.225-226) 有料記事設定となっておりますが、無料で最後までお読みいただけます。有志のお方のご献金をいただければ、大変ありがたく存じます。 最後に動画へのリンクもあります。「読むより聴くほうがいい」という方は、そちらもどうぞ。 ▼使徒言行録9章1−19節(聖書協会共同訳)  さて、サウロはなおを主の弟子たちを脅迫し

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          とりあえず、飯を食おう

          『イコライザー』『イコライザー2』(The Equalizer, The Equalizer 2)2014, 2018

           1作目の『イコライザー』があまりに面白かったので、続けざまに『2』も観た。  イコライザーという言葉の意味は2つあり、均衡を保つ人や装置、システムといった意味。もう1つは刃物や銃器など致命的なダメージを与える武器を指す俗語として使われることもあるという(Google 検索より)。歪んでしまった世の中を、少しでも正義の方向に(暴力的に)正すという意味で、主人公の役割を表しているのかもしれない。  アクション映画として痛快な作品だが、それについてのレビューは他の人に任せておくと

          『イコライザー』『イコライザー2』(The Equalizer, The Equalizer 2)2014, 2018

          『10代から始めるキリスト教教理』大島重徳、いのちのことば社、2022

           少なくとも著者である大島重徳氏が自らの夫婦生活に大いに満足し、幸福感を覚えておられることはわかった。  前半の、性と恋愛と結婚についての、実例を踏まえた言及は非常に興味深く、面白く、部分的には何度も読み返して味わいたくなる内容ではあった。  このようなわかりやすく身近な体験を引き合いに出しながら、キリスト教的メッセージを語ってゆく手法においては、この人の右に出る者はいないだろうというのも頷ける。  特に「寂しさを埋めるために恋愛や結婚を求める者は、本来の寂しさを埋めてもらえ

          『10代から始めるキリスト教教理』大島重徳、いのちのことば社、2022

          すべてを造ったことの意味

          2023年9月17日(日)徳島北教会 主日礼拝 説き明かし 創世記1章1節〜2章3節(旧約聖書・新共同訳 p.1-2、聖書協会共同訳 p.1-2) 有料記事設定となっておりますが、無料で最後までお読みいただけます。有志のお方のご献金をいただければ、大変ありがたく存じます。 最後に動画へのリンクもあります。「読むより聴くほうがいい」という方は、そちらもどうぞ。 ▼創世記1章1節~2章3節  初めに神は天と地を創造された。地は混沌として、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を

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          『ウーマン・トーキング 私たちの選択』(Women Talking)2022

           2023年8月29日(火)Amazonプライム・ビデオにて鑑賞  実際に起こった出来事をもとに書かれた小説を映画化した作品。  可能な限り文明の利器を拒絶して、自給自足の生活をするメノナイト(キリスト教の一派)を信奉する共同体(コロニー)で、長年にわたって犯されてきた連続レイプ事件。牛用の強力な麻酔薬をスプレーされて気絶している女性に性暴力を加えているので、被害者の女性の記憶は曖昧である。  そのため、事件は「女たちの妄想」とか「悪魔の仕業」と言いくるめられ、真実を明るみ

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          はたらく、つかれる、いたわる、ねぎらう

          2023年8月27日(日)徳島北教会 主日礼拝 説き明かし マタイによる福音書11章28−30節(新約聖書・新共同訳 p.21、聖書協会共同訳 p.20) 有料記事設定となっておりますが、無料で最後までお読みいただけます。有志のお方のご献金をいただければ、大変ありがたく存じます。 最後に動画へのリンクもあります。「読むより聴くほうがいい」という方は、そちらもどうぞ。 ▼マタイによる福音書11章28−30節  疲れた者、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ま

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          『顔面バカ一代 アザをもつジャーナリスト』石井政之、論創社、2023

          『顔面バカ一代 アザをもつジャーナリスト』石井政之、論創社、2023  顔に大きな赤アザ(単純性血管腫)を持つジャーナリスト石井政之さんによる、渾身の力を込めた半生記である。  今の言葉で言えば「ルッキズム」というのだろうが、人は外見、特に顔の美しさで人物の評価まで決めてしまったり、美形ではないとされた人には、自己実現や社会参加の機会を奪ってしまったり、いやもっとあからさまに、いじめたり、虐待したり、差別したりすることがある。  外見で自分が評価されることに過剰に反応せざる

          『顔面バカ一代 アザをもつジャーナリスト』石井政之、論創社、2023

          この世界のさらにいくつもの片隅に(2019)

           いま戦争へと向かってゆく日本において、観るべき作品のひとつ。  特別に豊かではなくとも、平和な毎日を過ごしていた主人公たちが、戦争が始まるとともに、少しずつ苦境に立たされてゆく。  物価が上がり、食品が減り、やがて人が徴用され、住んでいる場所に戦火が及び、あげくのはてには自分の身体まで引き裂かれる。その様子を観ていると、今の日本も正にその入り口に立っているのかもしれないと思われてならない。  と同時に、物語は戦時の苦しい生活にあっても、なんとかして生き延びようと努める人たち

          この世界のさらにいくつもの片隅に(2019)

          『「地獄」のウソ キリスト教のアツアツなテーマを徹底検証!』ケン・フォーセット訳、エメル出版、2023

           おもしろい!  この本を、地獄というものを信じている人全てに読ませたい。  リベラル・クリスチャンはとかく「聖書にはこう書いてあるけど実際はこうだ……」などとよく言うが、この本はとことん「聖書にこう書いてあるからこうだ」というところにこだわっている。だからこそ、リベラルでない人に読んでいただきたい。  「信じなさい。そうしないと、あなたは地獄に落ちてしまうよ!」と言って伝道しているキリスト教会の教派が、現在の日本でどれだけの割合で存在しているのか、評者は知らない。ただ、そ

          『「地獄」のウソ キリスト教のアツアツなテーマを徹底検証!』ケン・フォーセット訳、エメル出版、2023

          『わたしが「カルト」に? ゆがんだ支配はすぐそばに』齋藤篤・竹迫之著、川島堅二監修、日本キリスト教団出版局、2023

           いずれもキリスト教会の牧師であり、カルト問題の第一人者である2名の著者、1名の監修者による、カルトによる危険性と対処の要点をコンパクトにまとめた書。  コンパクトで比較的短時間で読める本ではあるが、内容的にはかなり濃密で、しかも問題の根幹となる事柄を鋭く突いている。カルト問題を学ぶ上では必読の書であると言える。  「はじめに」にあるように、「わたしがカルトに?」というタイトルには二重の意味が含まれている。1つは「わたしがカルトの被害者に?」という意味である。これは、通常一

          『わたしが「カルト」に? ゆがんだ支配はすぐそばに』齋藤篤・竹迫之著、川島堅二監修、日本キリスト教団出版局、2023