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ぼやき牧師のブックレビュー

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ぼやき牧師が読んだおすすめの本の感想をご紹介します。 更新は不定期。 本のお好きな方はどうぞいらっしゃいませ。
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記事一覧

『死ねない老人』杉浦敏之、幻冬社、2022

 世界でもトップクラスの長寿国となった日本で、人によっては90歳という、未体験ゾーンに突入…

『いのちを“つくって”もいいですか?』島薗進、NHK出版、2016

 生命科学の発展が生み出す様々な倫理的ジレンマをめぐって、哲学的に考察を進める本。副題に…

『自死遺族支援と自殺予防 キリスト教の視点から』平山正美・斎藤友紀雄監修、日本キ…

 当初、日本キリスト教団出版局の月刊誌『信徒の友』に連載されたシリーズが1冊にまとめられ…

『安楽死が合法の国で起こっていること』児玉真美、筑摩書房、2023

 この本は、ただ「安楽死が合法の国で起こっていること」をルポルタージュとして紹介するよう…

『国のために死ぬのはすばらしい?』ダニー・ネフセタイ、高文研、2016(第3刷2023年1…

 今から8年前に書かれた本だが、2023年11月に改めて増し刷りされたのは、10月のガザでのジェ…

『かたわらに、今、たたずんで』大野高志、オリエンス宗教研究所、2023

 この本を手に取ったとき、心が炭火のように燃えてささくれだっていたのだが、読み進めるうち…

『ガリラヤに生きたイエス いのちの尊厳と人権の回復』山口雅弘、ヨベル、2022

 まず著者はイエスの死に際して、「十字架」ではなく、「晒し柱(さらしばしら)」という言葉を使う。  イエスは「反逆者・政治犯」として虐殺された多くの人間のうちの1人に過ぎない。そして、イエスの殺害は、見せしめとして権力者が民に晒すために行ったものである。だから、これは「贖罪」の徴として美化された「十字架」ではなく、「晒し柱」と呼ぶ方が、事の本質を示すには相応しい。  本書は、イエスが突発的に登場した宗教的天才であったのではなく、ガリラヤがイエスを育てたと主張している。  搾

『マスキュリニティで読む21世紀アメリカ映画』國友万裕著、英宝社、2021

マスキュリニティ(男性性、男らしさ)がアメリカ映画の中でいかに描かれているのか。その変遷…

『八色ヨハネ先生』三宅威仁著、文芸社、2023

 同志社大学神学部教授(このレビューを書いている2024年2月現在)の三宅威仁さんによる小説…

『傷によって共に生きる』北口沙弥香著、沙弥香牧師と愉快な仲間たち、2023

 神奈川県にある日本基督教団愛川伝道所の牧師をしておられる北口沙弥香さんの、受按5周年記…

『ぼくはいかにしてキリスト教徒になったか』内村鑑三著、河野純治訳、光文社文庫、20…

 内村鑑三のキリスト教信仰の遍歴を、日記に基づいて語った自叙伝として著名な作品である『余…

『なぜ「救い」を求めるのか』島薗進、NHK出版、2023

 「なぜ『救い』を求めるのか」というタイトルから、「人間はどうすれば救われるのか」という…

『10代から始めるキリスト教教理』大島重徳、いのちのことば社、2022

 少なくとも著者である大島重徳氏が自らの夫婦生活に大いに満足し、幸福感を覚えておられるこ…

『「地獄」のウソ キリスト教のアツアツなテーマを徹底検証!』ケン・フォーセット訳、エメル出版、2023

 おもしろい!  この本を、地獄というものを信じている人全てに読ませたい。  リベラル・クリスチャンはとかく「聖書にはこう書いてあるけど実際はこうだ……」などとよく言うが、この本はとことん「聖書にこう書いてあるからこうだ」というところにこだわっている。だからこそ、リベラルでない人に読んでいただきたい。  「信じなさい。そうしないと、あなたは地獄に落ちてしまうよ!」と言って伝道しているキリスト教会の教派が、現在の日本でどれだけの割合で存在しているのか、評者は知らない。ただ、そ