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「最も重要なことは学校では学べない」について

 「学校で僕らが学ぶ最も重要なことは、"最も重要なことは学校では学べない"という真理である」
村上春樹

……これを本当に言ったのだとしたら、村上春樹には少しがっかりかな。

「最も重要なこと」とは何かというのは多分人によって違うし、学校というのは何でも手取り足取り教えてくれるところではなく、自分で気づいて学ばないといけないところでもある。

そして、往々にして多くの人が間違えがちなのが、授業なんてのは教師にとっても生徒にとっても、学校生活の一部にすぎず、それ以外の人間と人間のぶつかり合いから学ぶことの方がはるかに多い。
そこから学べないのは本人の責任でもある。

だいいち、学校の生徒は朝から晩まで学校にいて、部活のある子はなおさら学校生活と通学路と家しか知らない。
そんな子に「学校では教えてくれないことがある」と言って何になるのか。与えられた環境の中で日夜奮闘している生徒たち自身に失礼だし、困惑させるだけと思わないのか。

「最も重要なことは学校では教えてくれない」という言葉は、学校生活で重要なことを学べていない生徒を自己正当化させる甘言にすぎないのではないか。言い換えれば、媚びている。
また、重要なことは教師が一方的に教えるものという大きな誤解をしているのではないか。だから、「教師が教えてくれない」という責任転嫁が起こるのではないか。

「大切なことは学校では教えてくれない」なんて安直なことを村上春樹が本当に言ったとしたら、ちょっとその本意を質してみたいと思う。
そして、そういうことを言う村上春樹自身が、学校生活で重要なことを学べなかったに過ぎないのであって、それを万人に押し付けてほしくないと思う。

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