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立ち見席で立っていたら抗議された話

それは、長野オリンピックのことだった

1998年、日本の長野にオリンピックがやってきました。私が物心ついてから初めての自国開催オリンピックでしたので、「これは、行かなきゃなるまい。」とチケットを買い、家内と二人で深夜バスに乗ってノーマルヒルジャンプを観に行った日のことでした。

スキージャンプは、悪天候やK点を大きく越えると危険なので、競技の前にテストジャンパーが飛んで競技の可否やスタート位置を決めます。「テストジャンパー」と言っても、オリンピックで三流選手が飛んでも意味がないので国内の一流選手が飛びます。(←これは、後日のテレビ番組(※後述)を観て、ドラマチックな話とセットで知りました。)
私たちは夜行バスで明け方に白馬に着き、立ち見席の比較的前の方に陣取って、テストジャンパーが飛ぶところから「イェーイ!」「ヒューヒュー!」と立ったまま盛り上がっていたのですが、ふと気が付くと後ろから「す・み・ま・せーん」と所ジョージの「す・ご・い・で・す・ねー」のように繰り返している声がする。「ん?俺?」と振り返ると、「私たち夫婦+数人」以外の数百人(?)がみなお行儀よく座っていて、私の5mくらい後ろの人が「見えないので座ってくださーい」と本人が持ち込んだと思われる発泡スチロールに座ったまま言っていました。

ブチッ

まだ30代で血気盛んだった私は、「立ち見席で座るのは勝手だけど、前の人に座れと言うのはおかしいだろ!」と瞬殺で言い放ち、その後は完全無視を決め込んでいたのですが、周囲の空気に耐え切れなくなった争いを好まない家内に「お願いだから座って…(泣)」と懇願されたため仕方なくしゃがみ…、しゃがみづらいので雪の上に座り…、スキーウェアだったものの融けた雪でお尻が濡れ…。

その30分後には競技本番が始まり、私に抗議した人も含めて、一人残らず総立ちになりました。(もやもや)

ご意見を伺いたく

その時の周囲の観客はどちらにつくでもなく、「なんかもめてるな」と白い目で見ていた気がします。
私は、今でも「立ち見席で立ち続けた私は正しい」と確信しているのですが、間違っていませんよね?たしかに私たちは、初めてスキージャンプを観戦する一見(いちげん)さんだったのですが、「立ち見席でも試合開始までは座る」なんてお作法がある/あったのでしょうか。(あったとしても納得はし難いですが。)

※ テストジャンパーのいい話

大逆転スペシャル
絆(きずな)でつかんだ栄冠
~長野五輪 ジャンプ団体~
 圧倒的に不利と見られた状況から逆転勝利を挙げたアスリートたち。しかしそれは「奇跡」ではあっても決して「まぐれ」ではなかった…。会心の勝利に向けた周到な準備や壮絶な精進の日々を描くのが、スポーツ大陸・大逆転スペシャル。第5回は、長野五輪、テストジャンパーたちの決死の飛行で金メダルを勝ち取ったスキージャンプ団体に光を当てる。
1998年の長野五輪、吹雪の白馬ジャンプ台で歴史に残る大逆転劇が起こった。日本のスキージャンプ男子ラージヒル団体が金メダルを獲得。金メダリストとなったのは岡部孝信、船木和喜、原田雅彦、斎藤浩哉の4人だが、その裏には、表舞台に立てなかったテストジャンパーたちによる乾坤一擲(けんこんいってき)の活躍があった。
 長野五輪、日本選手団の中で、金メダルに一番近いといわれていたのがスキージャンプ団体だった。ところが当日、激しい吹雪に見舞われる。リレハンメル五輪で苦い経験をし、雪辱を期していた原田のスタート時に急激に天候が悪化し、失速。日本チームは1本目を終えて4位という予想もしない展開となった。
 なかなか天候は回復しない。競技続行か打ち切りかはテストジャンプの結果で判断することになった。もしも競技が打ち切られると、このまま1本目の結果で順位が確定する。しかも競技再開の判断をする最高責任者4人のうち3人は、この時点の上位3か国から選出されていた。
 テストジャンプで安全に、しかも好記録を出さない限り競技続行、そしてメダルはない…。日本代表にあこがれ、彼らの逆転を信じるテストジャンパーたちが、前も見えない恐怖の中を次々に飛び立っていく。耳が不自由な高橋が、絶不調で代表を外された西方が、決死の大飛行を決めた。そして競技再開。2本目には4人の代表選手が他を圧倒する大ジャンプを決めた。
 番組では、窮地に陥った日本ジャンプ陣が、テストジャンパーたちとともに勝ち取った、奇跡の金メダルの物語をつづる。

NHKのホームページ
http://www.nhk.or.jp/spotai/onair/213/index.html
から転載。現在は、閲覧不可

蛇足1:ノーマルヒルは前座だった

ノーマルヒルは船木選手が銅メダルを獲ったので盛り上がり、競技観戦自体には満足して帰ってきましたが、その後で行われた
ラージヒルでは船木選手が金、原田選手が銅
ラージヒル団体では、奇跡の逆転の金メダル
と盛り上がりが右肩上がりで最高潮を迎えたことを考え合わせると、ノーマルヒルは前座に過ぎませんでした。

蛇足2:船木選手の眉毛

船木さんは、今でも眉毛を整えているのだろうか。
伸ばすとどうなるのだろう。こっちの方が気になります。

【お断り】
表紙の写真は、ラージヒル団体のものです。
記事の事件(?)が起きたノーマルヒルは晴れていました。

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