一ノ瀬ケイ

短歌が好きです。 物書きになりたい。庭に木蓮を。

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最近の記事

第六回笹井宏之賞を読んだ感想

白野さん、第六回笹井宏之賞の受賞、おめでとうございます。 歌人にとって、笹井宏之の名を冠したこの賞を取ることは、本当に素晴らしく、名誉なことだと思います。 受賞作が掲載されている雑誌のねむらない樹の受賞コメントに、「ご感想を一文字でもいいので頂けるととてもありがたい」と書かれていましたので、読んだ感想を書いてみました。 夏 きっと父とあなたを引き裂いたおれの前科に名前が欲しい  白野/名札の裏 両親が離婚した理由が、きっと自分であろうという罪悪感に名前をつけたい子どもの独

    • 世界は、ときどき手入れが必要だ。君たちはどう生きるか(感想)

      もう見れないと思っていた宮崎駿の新作をみることが出来た。本当は公開して3日目に観に行ったのだが、感想を書くのがだいぶ遅くなってしまった。 最初のシーンが東京での火事で、また太平洋戦争の話?となったが、この映画は、冒険活劇であると宮崎駿が言っていたのを思い出した。 そうだ、今までのジブリの作品でもあったではないか、きっとマージナルマンだと、すこし経ってから思い始めた。 マージナルマン、境界に立ち、出入りする人だ。サツキもメイも、千尋も、ナウシカも、ソフィも、二郎も。 ジブリ

      • 怪物がいると思いたかった。(映画:怪物)

        「万引き家族」や「ベイビー・ブローカー」の是枝監督と「カルテット」や「花束みたいな恋をした」の坂本裕二さんのタッグの怪物を観てきた。 好きな監督と好きな脚本家の作品なんて、観るしかないだろうと意気込んで観に行った。 終始、息を吞む作品だった。 ここからは、ネタバレを含みます。 冒頭に大きなビルが燃えているシーンから始まる。「豚の脳を移植した人間は、豚?それとも人間?」と主人公?の湊が、母親に尋ねる。 この映画は、3人の視点で切り替わって、物語は進んでいく。シングルマザーで湊

        • 周りの奴らがこぞってあんたに自分の弱さを押し付けたんだ マイ・ブロークン・マリコ 感想(ネタバレあり)

          久しぶりに映画館で映画を観た。忘れたくないから感想を書き留めておきたい。 主人公のシイノは、営業回りの昼休みに、ラーメンを食べている最中、TVのニュースから、親友のマリコの死を知る。 普段、チャット並みに既読がつく、lineもマリコから返信がこない。 段々とニュースのことが現実に起きたことだと気づき始める。 「マリコ、今からでもあたしに出来ることあるかな。」とシイノは、虐待をしていたマリコの父親から、マリコの遺骨を奪い取り、ふたりの最初で最後の旅に出る。 傷つきとは簡単に

        第六回笹井宏之賞を読んだ感想

        • 世界は、ときどき手入れが必要だ。君たちはどう生きるか(感想)

        • 怪物がいると思いたかった。(映画:怪物)

        • 周りの奴らがこぞってあんたに自分の弱さを押し付けたんだ マイ・ブロークン・マリコ 感想(ネタバレあり)

          祖母のこと。

          先日、祖母が亡くなった。まだ夏の暑さが残る日だった。 ここ数年、コロナで会えておらず、もう何年も前から認知症によって、ほとんど私のことはわかっていなかったが、息をしていない祖母の亡骸をみると涙が止まらなかった。 普段、プライベートなことは、なんとなく書くことが苦手であったが、祖母のことは書いておきたかった。 私の祖母は、歌人だった。著名ではなく、地方の短歌結社に入り、歌会に出て、自費出版の歌集を一冊だけ世に出したありふれた歌人だった。 私自身、短歌は自分で出会って、始め

          祖母のこと。

          この世界は生きづらく、あたたかい。/すばらしき世界(感想)

          ここ数年で一番、ボロカスに泣いた映画だった。 この映画は、人が人に出会って、再生していくことを扱っている。 ヤクザだった主人公が、10年の刑期を終えて出所していくところから物語は始まっていく。 刑務所の文化の中に、『身分帳』というものがある。受刑者のことを事細かく記載する記録簿である。主人公である三上正夫は、受刑10犯、人生の半分を鉄格子の中で過ごし、その身分帳は積み重ねると1メートルを超える。 三上の出所と同時期にこの映画のストーリーテラーである、TV局のディレクターの津

          この世界は生きづらく、あたたかい。/すばらしき世界(感想)

          深夜ラジオは人生賛歌だ

          深夜ラジオが好きだ。 芸人たちの掛け合いに涙が出るほど笑ってしまう。 特にオードリーのオールナイトニッポンは、もうここ数年はほぼ毎週、聞いている。 あとは、テレビ東京の佐久間宣行さんのオールナイトニッポン0、ハライチのターン、宮下草薙の15分、空気階段の踊り場を毎週聞いている。リアタイではなく、ほとんどアプリのタイムフリーなどで聞いているが、オードリーだけは、放送日が土曜日なので、夜更かしを決め込んだ日は布団の中で、笑いをかみ殺して聞いている。若林の誘い水に乗っかってしまいコ

          深夜ラジオは人生賛歌だ

          好きな言葉は「替え玉無料」です。 感想:『花束みたいな恋をした。』

          めちゃくちゃ面白かった。 死ぬほど良かったです。それしか言えない。 菅田将暉演じる山根麦と有村架純演じる八谷絹の20代前半の5年間を共に過ごしたラブストーリー。 脚本家が坂本裕二で監督が土井裕泰とカルテットのコンビだったということと、テレビ東京の佐久間宣行さんが、試写会でみたら、めちゃくちゃ良かったと言っていたので、観にいった。 5年間のという前置きから、もうすでに何故か見る前から、「きっとこの映画は好きになるだろうな」と思っていた。結果、やられました。 二人とも音楽や本、

          好きな言葉は「替え玉無料」です。 感想:『花束みたいな恋をした。』

          夜明けの歌/eastern youth

          音楽が好きだ。自分は色んなものが好きだが、音楽はその中でも結構特別な感じがする。 川村元気の『世界から猫が消えたなら』の世界だったら、自分は、最後の方まで、音楽を手放せないと思う。 昔から、親友が色んな音楽を教えてくれた。毛皮のマリーズもフラカンもピロウズも。 今は、なかなか会えていないが、急に何も言葉を添えずにLINEでyoutubeのURLで送ってきたりする。それが、めちゃくちゃにいい音楽ばかりだから、また悔しい。 どうしても息がしづらい夜が誰にもあると思う。 そんな

          夜明けの歌/eastern youth

          短歌についての雑記①

          短歌について何か書きたいと思った。 もうすぐ今年も終わる。今年の出来事で大きかったのはナナロク社の短歌教室に参加したことだった。5月の単発の教室と夏の木下龍也さんの短歌教室に参加し、そして、11月から行われる半年間の短歌教室に奇跡的に抽選が当たり参加予定。短歌にウエイトをふった一年だと間違いなく言えると思う。 短歌は、ほとんど作歌したことがなく、初心者だったが、短歌を始めてみたいという思いで飛び込んでみた。 夏の短歌教室は本当に楽しく、とても良い体験を得ることができた。 木

          短歌についての雑記①

          ベニエというドーナッツを食べてみたい 映画 シェフ三ツ星フードトラック始めました

          この映画を観ると、口にしたことはないが、アメリカのベニエというドーナッツを食べたくなる。 名前の通り、これは料理人の映画です。 自分の人生で唯一のもの「料理」そんな職人肌の主人公だが、オーナーは別にそんなことお構いなしで、レストランの運営を自分の方針で主人公に押し付ける。 主人公は、しぶしぶオーナーの意思に従い自由に出来ないが、それでも一生懸命に作った料理をブロガーに叩かれ、店を去ることになってしまいます。 けど、そこから、「自分のしたかったことはなんだったのか」とオンボロ

          ベニエというドーナッツを食べてみたい 映画 シェフ三ツ星フードトラック始めました

          窮鼠はチーズの夢を見る(ネタバレあり)の感想

          窮鼠はチーズの夢を見る 昨日、レイトショーで観て、感想を書きたくなったので、書きます。 ネタバレ含みます! バリバリの商社マン(映画では、言及されていなかったけど、広告代理店?)主人公の大伴恭一のもとに、大学時代の後輩の今ヶ瀬渉が訪れる。 久々に会った今ヶ瀬から、恭一は、自身の浮気の証拠資料を渡される。 今ヶ瀬は、現在、探偵事務所で働いており、浮気調査の対象が恭一だったため、職場に提出する前に恭一のもとに訪れたことを話す。 その後、恭一は「瑠璃子(浮気相手)ことも大切にし

          窮鼠はチーズの夢を見る(ネタバレあり)の感想

          本についての雑記

          物書きになりたいと子どもの頃から思っていた。子どもの頃といっても、具体的には、小学校高学年か中学校時代だったと思う。あの頃から、本が好きだった。  年を重ねる毎に、好きと現実との違いに気付いていくようになり、夢をみていた想いから、徐々に目を覚ましていった。ただ今でも、本は好きだ。  本を好きな理由はたくさんある。知識を身に付けられることや知らない世界を知れることが出来る。小説では、物語を味わえる。エッセイでは、人の考え方に共感したり、新しい視点を得ることが出来たりする。 無

          本についての雑記

          はじめまして

          ブログをはじめてみました。 本の感想やエッセイ、短歌について書いていきたいです。 うまく書けるかわからないけど、出来るだけ 丁寧に言葉を選んで書いていきたい。

          はじめまして