窮鼠はチーズの夢を見る(ネタバレあり)の感想

窮鼠はチーズの夢を見る

昨日、レイトショーで観て、感想を書きたくなったので、書きます。
ネタバレ含みます!

バリバリの商社マン(映画では、言及されていなかったけど、広告代理店?)主人公の大伴恭一のもとに、大学時代の後輩の今ヶ瀬渉が訪れる。
久々に会った今ヶ瀬から、恭一は、自身の浮気の証拠資料を渡される。
今ヶ瀬は、現在、探偵事務所で働いており、浮気調査の対象が恭一だったため、職場に提出する前に恭一のもとに訪れたことを話す。
その後、恭一は「瑠璃子(浮気相手)ことも大切にしたいし、知佳子(妻)のことも傷つけたくない。どうしたら黙っといてくれるか」と今ヶ瀬に尋ね、交換条件として、「キスをして欲しい」と今ヶ瀬は恭一に肉体関係を言い寄る。なし崩し的に今ヶ瀬の言いなりになる恭一。
その後も、浮気相手のもとに通う恭一とそれにつけ込むように関係を求める今ヶ瀬。
しかし、そんな関係も長くは続かず、恭一の奥さんである知佳子の方から離婚を申し込まれてしまう。恭一が浮気をしていたように、知佳子もまた浮気をしていたのだ。
妻からの離婚を言い渡された恭一は、今ヶ瀬に連絡をする。本当は脅迫じみたことをされているのに。きっと今ヶ瀬のことは、憎めないんだろうなと思いながらみていた。


離婚後、一人暮らしになった恭一のところに、今ヶ瀬が転がり込んでくる。
肉体関係を求める今ヶ瀬を軽くあしらないながら、今まで一緒に暮らしていたかのように、笑いながら二人は生活していく。
いい距離だなと思って矢先に、街で大学時代の元カノの夏生とばったり出会う恭一
(この記事を書いている最中に、調べたら、夏生役ゲスの極み乙女。の、ほないこかだった。どおりで見たことあるな~と思ったのね~)
恭一は、久しぶりに夏生と飲みに行くことになり、店に入ると照らし合わせたかのように現れる今ヶ瀬。え、なに、つけていたの!?
そこで喫煙者の今ヶ瀬が使っているジッポライターが、大学時代に恭一があげたお下がりでまだ使っていることから、今ヶ瀬が恭一のことを好きだったのでは、揺さぶりをかけてくる夏生。夏生は大学時代から、今ヶ瀬が恭一を好きなことには気付いていた。こわいこの人…
その後、今ヶ瀬と夏生はサシで会うことに。
今ヶ瀬は、「はじめての男が、恭一先輩だから忘れられないんでしょ」
夏生は「粘着質なゲイは怖い~」とバチバチ。
ここで、今ヶ瀬が頼んだビールがカールスバーグで、夏生はバドワイザーを頼む。
遅れて、この修羅場に呼び出された恭一は、夏生から「どっちを選ぶの?」と聞かれて、即答することが出来ない。
とりあえず、飲み物を頼むとき咄嗟に恭一は、「カールスバーグ」を頼む。これが伏線になっているのか・・・
「男のお前のことを選ぶことは出来ない。わかるよな」と夏生を選び、店を出る恭一。
残った今ヶ瀬が恭一の残したビールを飲むシーンがせつなかった…
夏生とホテルにいくが、行為をしなかった(出来なかった)恭一。
家に帰ると今ヶ瀬が待っており、「今夜、抱いてくれなかったら、もう二度と求めないから」と。中略!!!!!


その後、二人は付き合うことに。
ここら辺が最高に幸せだった…
今ヶ瀬の誕生日に、プレゼントで今ヶ瀬の生まれ年のワインを恭一が贈る。「絶対に飲まない」という今ヶ瀬に恭一は「また来年もあげるから飲もう」といい、その言葉とワインを抱きしめる今ヶ瀬。
だが、ここらで映画の冒頭からチラチラ現れていた恭一の部下のたまきと距離が急接近する。いや、わかっていたよ。うん、可愛いしね。なんかこの子ともあるんだろうなって。
たまきの影が見えてから、恭一のスマホを勝手にみる今ヶ瀬。もうこの時点では何回も勝手に見ているんだけどね。夏生と会う前とか。
普通だったら、粘着質すぎるとかなってしまうんだろうけど、元々、ヘテロだった恭一が自分のもとから去ってしまうのではないかという不安から必死に逃れたかったのだろうと思う。スマホをみても咎めない恭一も今ヶ瀬の気持ちがわかっていたんだろう。
仕事で今ヶ瀬が家を離れた際、たまきの父親が亡くなり、たまきを慰める恭一。
その時に服についたファンデーションで今ヶ瀬は恭一を疑ってしまう。
「俺にはあんたじゃダメだし、あんたにも俺じゃダメだ。終わりにしよう」と泣きながら別れを告げる今ヶ瀬。この辺りで、自分の頭の中では、wacciの「足りない」が流れていた。
「お前がダメだというならダメなんだろうな。わかった終わりにしよう」と二人は別れことに…

もう疲れたのでこの辺りでストーリーをおうのをやめます…
ラストシーンも良かったし、二人が別れる前に行った海で今ヶ瀬が「あぁ、どうしようもなく大好きだったなあー!!!!」(若干セリフ違うかも)叫ぶのもどうしようもなく愛おしかった。
今ヶ瀬との日々を振り返る恭一も「俺は幸せだったのに、向こうが無理だって言ったから、無理になってしまったんだろう」と、もうどのシーンをすごく良かった。

この映画を観た感想で一番書きたかった、スツールについて。
スツールがこの映画のマクガフィンだと思う。
恭一のことを待つ側の今ヶ瀬が座り、たまきが座り、最後に恭一自身が今ヶ瀬を待つ為に座る。
あと、全く逆の意見になってしまうけど、ベッドとスツールの距離感も二人の関係性を表しているのかなと思った。
脚の長く固い木のスツールには、長いこと座っておくことができない。今ヶ瀬の心情を表していたのかなと思った。

なんだかんだ書きましたが、ただただ良い映画でした。
本当に好きだった。登場人物の全員が人間らしくて。
人を愛することのどうしようもなさが、等身大で描かれている映画でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?