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~第201回~「花を鎮める」

日本人は古来、神に祈りをささげて病と対峙してきました。
4月5~7日、武蔵一宮氷川神社では「鎮花祭」をおこないます。
3日間とも祭典中、氏子中の童女による花しづめの舞を奉奏し、7日の大祭には菱餅に桜花を乗せお供えします。
鎮花祭は、疫病が流行しないように鎮める祭りです。

春の桜の花が散る時季は、急な温度変化により体調が悪化し疫病が流行しやすい時季でもあります。
古代の日本では、私たちに害を及ぼす疫病は、花の散る時期に活発になる御霊や疫神がもたらすと考えられていました。
そのため疫病が流行らないよう、疫病をもたらすそれら霊的な存在を花に見立て、落花を鎮める行事「鎮花祭」を行いました。

祭りの歴史は古く、奈良時代以前の飛鳥時代、大宝元年(701)に定められた大宝律令に、「季春(すえのはる)」の国家の祭りとして定められております。
そのころは奈良県の大神神社と侠井神社で行われていました。

その後も天長10年(833)成立の律令の解説書『令義解』(りょうのぎげ)に
「謂。大神侠井二祭也。在春花飛散之時。疫神分散行癘。為基鎮遏。必有此祭。故日鎮花」
とあるように、平安時代に入っても鎮花祭は大切に行われていました。
そして、当初は国の祭礼であった鎮花祭はだんだんと各地の神社に広がり、今日に至ります。

鎮花祭は、古代から今に続く日本人の大切な祈りの形です。

〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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