フォローしませんか?
シェア
カルフォニ村
2023年4月30日 20:07
お金をかけて戦闘機を飛ばした。実際に町をひとつ破壊した。そこに土偶が運転するUFOを付け加えたらどうなるか、と映画監督は考えた。〈スフィンクスは今宵も寝て待て〉と題された映画がどれだけ素晴らしい傑作か、ぼくは三時間かけて執念深く話したが、映画ライターの逢沢京子は狐につままれたような顔をしていた。「その話って、まだ続きます?」「あと五年ぐらい?」「観せてもらえたほうが助かるんですけど」
2023年1月3日 17:24
寒い日だった。 重たい雲からは、雪がひらひらと降りはじめた。 体じゅうに弁当屋の油が染みこんだ頃、ぼくはアルバイト先をあとにした。年末の慌ただしさに逆らうようにして駅から駅へ、次の駅から次の駅へと乗り継いでいく。最後は単線の無人駅で、併設されている地蔵堂の屋根には雪が積もっていた。「お帰りなさい」 台所から妻の声が聞こえる。部屋は暖かい湯気に包まれている。「ただいま」とぼくが言うと、