ぼくはピート、そしてレイじいさん 第3話
第3話 「パシノン草のこと」
パシノン草は、
夜に咲く。
日暮れ頃から、
小さなつぼみが
顔を出し、
月が光る頃に、
ひとひら、
ひとひら、
花びらを開く。
夜に咲く
雲の花だ。
僕たちは、
さっそく、
パシノン草を
探しに行く。
昼間に、
大きな雲が出たら、
パシノン草が咲く
合図なのだ。
「いいかい。
ピートくん。
パシノン草に、
気付かれたら、おしまいだ。
パシノン草は、
人知れず咲く花だからね。
気を消さなければ
見ることができないぞ」
レイじいさんの言