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ぼくはピート、そしてレイじいさん 第5話

第5話 「星屑の人」

夢の中で、
銀色の声がした。

「ソトニ デテ オイデヨ」

僕は、
目を覚まして、
外に出る。

外は、
昼の青空と
夜の星空が混ざっていた。

その空から、
銀色の声が降ってくる。

「ピートクン」

星屑の人だった。

星屑の人は、
夜を守る人で、
大きな木と
風と星の体を
鈴を揺らすように
チリチリ、
リリリリカチャカチャ
小さな音をたてながら歩く。

「ユメヒロイヲ シヨウ」

「ユメヒロイ?」

「空から、
いくつもの夢が流れてくる。
それを拾うんだよ」

いつのまにか、
レイじいさんも起きてきた。

犬のポリも
「ワォン」
と鳴いた。

キラキラの夢は、
いくつも空を流れ、
僕たちの前や後ろに落ちてくる。

僕は、
青い夢を抱きとめた。

「これは、誰の夢だろう?」

「さあな。
失われた夢だ。
だが、
ピートくんが受け取ったんだ。
今度は、
ピートくんが夢を見る番だよ」

「レイじいさんのは?」

レイじいさんの両手の中の夢は、
大きくて金色に光っている。

「これは、
若い頃の夢。
特大級だ」

「レイじいさんの?」

「さあ。
見終わった夢だ。
妙に明るいがね」

ポリは、
小さなカケラを口にくわえた。

ポリの夢は何だろう?

星屑の人は、
両手を空に広げ、
たくさんの夢を胸にしまいこむ。

いろんな人たちや、
動物たちや、
草花たちの夢を。

「だから、
星屑の人は、
あんなに大きいんだ」

レイじいさんは、
感心したように見上げる。

「あんなに集めて、
どうするんだろう」

「どうもしないよ。
ただ集める。
行き場のない夢の
行き着く場所になっているんだ」

「…星屑の人も夢を見るのかな…」

「さあな」
と言って、
レイじいさんは、
金色の夢をポウンと放り上げ、
胸に抱きとめた。


To be continued. 

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