広島叡智学園の第二次選抜攻略のカギを「4つのモード」から考える
こんにちは!公立中高一貫校対策のiBASEです。
2023年11月19日に迎える今年度の、広島叡智学園 第一次選抜。その合格者は、第二次選抜へと進んでいきます。2023年の12月25日から27日に2泊3日で行われる第二次選抜は寮生活を想定して、受検者が共同生活を送りながら、グループワークや面接に取り組む内容です。
全国的にも珍しい、合宿形式の選抜。特にグループワークの内容は未知数のため、「どんなふうに対策したらいいの?」「心がけるべきことは、何?」など、毎年多くのご家庭からご相談をいただきます。iBASEではここ3年間に渡り、実践的な対策講座を開いてきました。
毎年受検後に取得する、20~30名の受講生からの聞き取りアンケ―トや、塾向けの学校説明会での内容から、広島叡智学園の二次選抜の全容が見えてきました。
今回の記事では、広島叡智学園の二次対策を突破するために、最も重要な「考え方」について解説したいと思います。少し長くなりますが、ぜひ最後までお読みいただけたら幸いです!
何より大切な心構え
広島叡智学園は、全寮制の学校です。6年間という長い時間を他者と暮らしながら、共に学びを深めていきます。そう考えると、宿泊を伴う選抜を実施するのは理にかなっていると言えるでしょう。実際、広島叡智学園の先生も「共に学び合える人であるかを見ています」と、塾対象の説明会で言及されていました。
つまりこの選抜は、スキルや知識を問うものではく「他者と共に学び合う適性があるか」が大切。そんな風に捉えておくと、おのずと準備の方針が見えてきます。
とはいえ「みんなと仲良くできる」「思いやりがある」など、ぼんやりとした言葉で捉えたところで、その資質は一朝一夕に変わるものではありません。というよりも、性格や価値観は一人ひとりの個性の領域です。それを「矯正しなさい!」「受かるために社交性のある自分を演じなさい!」なんて対策は、全くのナンセンスです。(そもそも、2泊3日という逃げ場のない環境で、偽りの理想の自分を演じ続けることなんて、出来るはずもありません。)
それでは、一体必要なことって何なのでしょうか? 一言で言えば「ありのままの自分らしくある」こと。それに尽きるというのが、iBASEの結論です。
とはいえ、「それで大丈夫なの?」「うちの子がありのまま過ごしたら、それはそれで心配…!」という声も、例年たくさん頂いてきました。今回の記事では、「自分らしくある」ことがなぜ重要なのか?を、1つの理論を参考にしながら解説してみたいと思います。
「4つのモード」から考える
キーワードは「対話」です。「対話の可能性」について書かれた、アダム・カヘンの『敵とのコラボレーション』(2018年,英治出版)では、人と人の間に生まれるコミュニケーションは「4つのモード」に分類できるとされています。みなさんも、日常生活や過去の経験を思い返しながら、次の4つをイメージしてみてください。
①ダウンローディング
1つ目は、「ダウンローディング」と呼ばれます。過去の記憶や知識を「ダウンロード」してその場に出す、そんなモードです。もう少し踏み込んでいえば、「儀礼的な態度」や「過去の自分の枠組みに縛られた話し方・聴き方」であるとも言われます。
広島叡智学園の二次選抜を思い浮かべてみると…「先生が見ているから、いいこと言っておこう」「とにかく周りのことが見えず、自分の話ばっかりしてしまう」といった状況に陥る生徒さんが多くいらっしゃいます。(他塾さんでHow To /テクニック 的な指導を受けてきた生徒さんは、ほぼこのモードに陥り、うまくコミュニケーションが成立しないのが実情です)
②ディベート
2つ目は「ディベート」のモードです。これは、意見を主張し合い、どちらが正しいのか/どちらが間違っているのかを、明確にすることを目的に話し合うモード。ビジネスの局面ではよく見受けられるシーンですし、イメージもしやすいかと思います。
このモードは、広島叡智学園の二次選抜でも”課題によっては”求められます。論理的な思考力が求められ、正しく論点を整理したり、自分の意見の裏付けとなる根拠を言葉にしたり、明確に自分の立場を表明したりすることが必要となるでしょう。
③対話(ダイアログ)
3つ目は「対話(ダイアログ)」のモードです。2つ目の「ディベート」が頭を使うコミュニケーションだとすれば、「対話」は心を使います。相手の気持ちや立場を理解しようと試みながら話を重ねるので、他者への好奇心や共感が芽生えることが特徴。また話をする中で自己内省が起き、結果として意見が柔軟に変化することもあります。
広島叡智学園は、選抜だけではなく入学後も、この「対話」の力を求めていると考えられます。自分の意見を持ちつつも、他者との関わりの中で共感的にコミュニケーションができること。このモードに自分がいられることが、二次選抜においてはとても重要なポイントです。
④生成的な対話(プレゼンシング)
最後は、「プレゼンシング」というモードです。これは、3つ目の「対話」をさらに発展させた進化系であると捉えると分かりやすいと思います。互いに共感が生まれ、好奇心が発露した結果、新しい”何か”が生成される状態。少し難しいのですが、そんな理想的な状態を「プレゼンシング」と呼びます。
このような理想的な状態にたどり着くために最も大切になるのは、「過去の自分が考えていたこと」ではなく「その場の対話の中で生まれた気づきや発見」をありのままに語り合い、触発し合うこと。互いが共感と好奇心の中で「今、ここ」を感じ「今、心にあることを素直に出す」。そんなあり方でいることによって、その場が「プレゼンシング」に近づきます。
「自分らしくいる」ことの重要性
さて、広島叡智学園の学校HPに掲載されている「Vision」の中には、次のような言葉があります。
「『よりよい未来』を創造できる」というフレーズからも分かる通り、社会・世界にいる多様な人たちと共に、新しい未来を創る人を育てることが、大きな目標として掲げられています。つまり、先ほどの4つのモードに照らしてこの言葉を解釈すれば、「どんな人とも、生成的な対話から新しい知を生み出せる人」と考えられるはずです。
二次選抜において大切なのは「ありのままの自分らしくいる」ことだとお伝えしました。広島叡智学園のVision、そしてここまでの4つのモードの解説を踏まえると、その重要性が分かって頂けたのではないかと思います。
③・④といった、理想的な「対話の場」をつくり出すこと。そして「対話ができる自分でいる」ことが、二次選抜での大きな目標です。それには、無意味な忖度や過去への固執(①ダウンローディング)や、無駄な対決(②)は、妨げになります。むしろ「今、ここ」に意識を集中させ、ありのままの自分で、開いた心でその場にいること。それこそが、この二次選抜を突破する最大のポイントであると言えるでしょう。
講座のご案内
ここまで、二次選抜当日の「あり方」の重要性についてお伝えしてきました。とはいえ、ここまでの話は、すべて指導の裏付けとなる理論であり、あくまで保護者さま向けの内容です。生徒たちにこの話をぶつけたところで、すぐに実践できるようになるわけではありません。
iBASEでは今年(2023年度)、全3回の対策講座を開講します。
すべてオンライン(Zoom)にて、少人数でのグループワークをメインにした実践的な内容です。本番を想定した課題に取り組み、「プレゼンシング」な場を実際に体験してみることで、当日の自分の「あり方」を体得していく講座となります。
例年、すぐに定員が埋まってしまう人気の講座です。昨年度の受講生の皆さんからのご要望を受け、今年は「仮予約」の申し込みを受け付けることといたしました。(11月30日の合否結果判明後に、最終のお申し込みの確認のご連絡をさせて頂きます)詳細は以下の記事に記載しました!ぜひ最後の総仕上げにご活用ください。
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