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広島叡智学園 第2次選抜(グループワーク)をいろんな角度で分析する

こんにちは!公立中高一貫校対策のiBASEです。
広島叡智学園の2023年度は11/19に1次選抜が終わり、いよいよ2次選抜へと突入していきます。何度かiBASEでも特集した通り、この2次選抜は日本でも固有のスタイル。2泊3日の合宿形式で行われ、80名の受検生が共同生活をおくりながらグループワークと面接に挑戦するというもの。

・この2次選抜、そもそもどうしてこんな形式なのか?
・学校はどんな生徒を求めているのか?
・何が評価されるのか? どんなふうに対策すればいいのか?
・・・などなど、受検生やその保護者のみなさまは、不安でいっぱいだと思います。今回の記事では最新年度の過去問を1つ取り上げながら、グループワークにおいて大切にしたいことについて、3つの観点から考えてみたいと思います。


1.広島叡智学園のVisionから考える

適性検査は学校から受検生へのメッセージです。「どんな未来を創りたいか?」→「どんな学校にしたいか?」→「どんな生徒に来てほしいか?」と、学校が掲げるVisonからの逆算によって、適性検査は設計されています。

■Mission(私たちの使命)
学びを通じて平和な社会づくりを実現し続ける存在となることを目指す

■Vision(私たちが描く未来)
社会の持続的な平和と発展に向け世界中のどこにおいても地域や世界の「よりよい未来」を創造できるリーダーを育成する

■Values(私たちが大切にする価値観)
「グローバルな視野」と「地域に根ざした心」の双方を大切にし、主体的に学び続ける「ラーニングコミュニティ」を形成する

 広島叡智学園HP(http://higa-s.jp/about/idea/)

注目すべきは、以下の3点です。
①社会の持続的な平和を最上位の目的として掲げていること
「平和」は誰しもが願っているもの。しかし、立場の違いや価値観の違いから人はすれ違い、様々な場面で平和を脅かす状況が、今世界ではたくさん起こっています。そうした違いを対話で乗り越え、世界の平和への願いに向けて寄与できる学校であることを、広島叡智学園は志しています。

②よりよい未来を創造する「リーダー」の育成を目指していること
①のような未来を創造するための「リーダー」を育成することが、広島叡智学園の役割として掲げられています。40名という精鋭が世界に飛び立ち、それぞれの場所で平和に向けた一歩を踏み出せる人になるための教育が行われているのでしょう。

③他者と共に「ラーニングコミュニティ」の形成を大切にしていること
関わる全ての人と、共に学び合う関係性を築き上げることを大切にしています。年齢や性別、立場や価値観を越え、多様な人たちが共に学び合える仲間となること。その一員として、生徒たちも位置付けられています。

こんな風に分析してみると、広島叡智学園が2次選抜でグループワークを実施する理由もぼんやりと浮かび上がってきます。この選抜を通して求める人物像を(iBASEなりに)定義するとすれば、こんな感じでしょうか。

「異質な他者と共に学び合い、自らも成長しながら、1つの価値を共に創造できる人(リーダー)」

2.最新のリーダーシップ論から考える

かつて「リーダー」とは「優れた支配者」であると考えられていた時代がありました。明確に命令を出し、ルール・規則を強く敷くことによって多くの人を束ね、強制力を持って組織を動かしていたのです。しかし産業構造が変化し、時代が移ろうにつれて好ましいとされるリーダー像は変わってきました。

いま、多くの企業ではトップダウン型の組織からの脱却が図られようとしています。全ての人がフラットで、自分自身の能力を最大限発揮できる。そしてチーム全員が自組織の存在意義を感じながら、自律的に動き出す。そんな組織は「ティール組織」と呼ばれ、世界中で注目が集められています。

ティール組織においては「心理的安全性」が重要だとされます。つまり、何を言っても大丈夫で、それぞれがそれぞれの価値観から、多様な意見・アイディアを出し合うことが出来る。それぞれの違いを対話で乗り越えることを通して、よりよい未来を創っていく。そんな組織作りが今、メジャーとなってきたのです。

そんな新しい組織観が拡がるにつれ、組織を支えるリーダーについても新しい考え方が登場しました。「オーセンティック・リーダーシップ」と呼ばれる概念も、そうした時代の流れの中で生まれた考え方の一つ。「自分自身の価値観や信念に正直になりながら、リーダーシップを発揮すること」を意味しています。

オーセンティック・リーダーシップに必要な5つの要素
①目的
:自分・組織の役割をしっかりと理解している
②価値観:自分の道徳・美徳に基づいて行動する/弱みも見せる
③真心:真心を込めて人をリードする/共感を大切にする
④人間関係:永い関係性を築く/孤高のリーダーはNG
⑤自己統制:価値観に基づいて一貫した行動をとる

ビル・ジョージ『ミッション・リーダーシップ』を元に、iBASEが一部加筆

広島叡智学園のグループワークに臨むにあたっても、この5つの観点は非常に重要になると考えています。ややもすれば、無理に議論をリードしようとしたり、自分の主張を押し付けるコミュニケーションを取ってしまったり…そうした「古いリーダーシップ」が正しいと思い込み、当日臨んでしまう受検生を、これまで数多く見てきました。

しかし、おそらくいま求められているリーダー像は、決して強いだけの存在ではありません。自分の弱みもありのままに受け入れながら、自分自身の価値基準に沿って行動できる人。そして各々の価値観の違いを共感と対話によって乗り越えるしなやかさがある人なのです。

3.実際の過去問から考える

最後に、過去問からも分析を続けてみましょう。2021年に行われた2次選抜では、以下のような問題が出題されました。

地域の方々と交流することを目的とした、新しいスポーツを考えましょう。

この問題は「多様性(ダイバーシティ&インクルージョン)」がテーマ。多様な価値観を持つ人々が、みんなで共に学び合う「ラーニングコミュニティ」となることを目指す、実に広島叡智学園らしい出題です。

ポイントは「地域の方々と交流する」という目的からずれないようにすること。地域にはお年寄りから小さなお子さんまで、たくさんの方々が暮らしています。そんな方々みんなが「スポーツ」を通して交流を深めるのは、意外と難しいことです。もしかすると、歩いたり走ったりするのが難しい方もいるかもしれないし、スポーツに対して苦手意識があり、「やりたくない!」と感じる人もいるかもしれません。

そもそも小さなお子さんと大人が同じルールで楽しめるのか? 老若男女、全員が同じスポーツを楽しむことなんて可能なのか…? そんな問いを、色々な角度から想像力を働かせて乗り越えていく。粘り強い対話力と、エンパシーが必要となる問題でした。

この問題に、絶対的な「正解」は存在しません。チームそれぞれの人が各々の価値観でスポーツに対する見方・考え方を出し合い、「納得解」を導き出していくしかないのです。その際に必要なのは、やはりオーセンティックであること。それぞれの意見や考えを、ありのままに自分らしく発露することから、話し合いは始まっていくはずです。

4.まとめ&合格に向けて

今回はいろいろな角度から、広島叡智学園がグループワークを通して求める「リーダーシップ」の姿について、分析と考察を行ってきました。

まとめると、重要なのは次の2点です。
★広島叡智学園は「異質な他者と共に学び合い、自らも成長しながら、1つの価値を共に創造できる人(リーダー)」を求めている。

★そんなリーダーには「自分自身の価値観や信念に正直になりながら、リーダーシップを発揮すること」が必要。

では、具体的にどうやって対策するのか?
何となくお察しの通り、うわべだけの”How To”や、チェックリスト的な”To Do”をたたき込むことは、何の意味もありません。重要なのは、受検生一人一人が「ありのまま」「自分らしさ」に気づき、それを発揮したリーダーシップの姿を体現できる準備を行うことです。

各々が実践の場を通して自分らしい強みに気づき、それを自覚的に発揮できるようになっていくこと。その積み重ねによって発露するリーダーシップの芽生えを講師が見取り、即時にフィードバックを返していくこと。この2点をiBASEでは基本的な指導方針として掲げます。地道に一人ひとりとの対話を続け、それぞれの「オーセンティックなリーダーシップ」の結実に向け、伴走を続けていきます。

5.2次選抜対策講座2023のご案内

毎年大好評の対策講座を、2023年度も開講いたします。例年、すぐに定員が埋まってしまう人気の講座です。過去の受講生からのご要望にお応えして、今年は「仮予約」を受け付けることといたしました。講座の詳細について、以下の記事よりご確認ください。

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