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過去問分析|広島叡智学園 第2次選抜(グループワーク)2022年度(最新)

こんにちは!公立中高一貫校対策のiBASEです。
全寮制のため全国から受検が可能で、高い人気を誇る公立中高一貫校「広島叡智学園中学校」。2023年は11月19日に第1次選抜が実施され、12月25日(月)〜27日(水)に第2次選抜が行われます。

広島叡智学園の入試は第1次選抜以上に、2泊3日で実施される第2次選抜の「グループワーク」や「面接」がとてもユニークな内容です。今回の記事では、2022年の12月に実施された選抜の内容を、iBASE受講生からのヒアリングをもとにレポート。そして、その傾向と対策についてお伝えしていきます。


出題されたグループワーク課題

2泊3日で行われる広島叡智学園の第2次選抜。夕方に集合する1日目は、一緒に生活する受検生との顔合わせやアイスブレイクに時間が使われるようです。本格的にグループワークの課題が出されるのは、2日目。簡単なアクティビティの他に、次の2題がメインの課題として出題されました。

1.20年後の職業を考える

「20年後に必要だと思う職業TOP3を考え、画用紙にまとめて発表する」という課題が出題されました。次のようなプロセスで進行しました。

①【個人ワーク】6分間
まずは個人で6分間、考える時間が取られました。

②【グループワーク】35分間
次にグループに分かれて、それぞれが考えたことを出し合い意見を集約し合う作業に移ります。出た意見をランキングにし、TOP3を決定。どうしてその3つだと思ったのか?という理由も踏まえて、画用紙にまとめます。

③【ペア発表】
2つのグループ同士がペアになり、それぞれが考えた内容を発表し合います。資料の完成までたどり着かず、口頭での発表となったグループもあったそうです。

※iBASEの受講生によれば、以下のような職業を提案したそうです。
・農業ロボットのプログラマー 
・デジタル技術を活用した農家
・伝統工芸品を受け継ぐ職人
・伝統工芸を広げるための伝統工芸体験ヤードの運営者
・宇宙探検隊

iBASE受講生へのヒアリングより

2.ジャストGO!GO!

「ジャストGO!GO!」というワークの名づけがされていましたが、一般的には「モルック」として知られるスポーツをアレンジしたワークが出題されました。

ルール
・12本の木の筒(ナンバースティック)があり、それぞれに「1」~「12」の番号が振ってある。
・3種類のボールを選んで投げ、ナンバースティックを1本だけ倒せたら、その番号の数だけ得点が得られる。
・ナンバースティックが2本以上倒れた場合は、倒れたスティックの数が得点となる。
・相手チームより先に、得点を「55点」ぴったりに出来たら勝ち。(55点を超えると、30点に得点が戻される)

ワークの流れ
①【練習時間】相手チームが練習している様子を見ながら、作戦会議をする。
②【練習試合】まずは1試合やってみる。
③【1試合目】練習試合を踏まえて、1試合目が行われる。
④【振り返り】ここまでの結果を踏まえて振り返りを行い、2試合目に向けた作戦会議を行う。
⑤【2試合目】振り返りの結果を踏まえて、最終の試合を行う。

いずれの課題においても、1グループに対して3人程度先生がつき、メモを取りながらワークの様子を眺めていたそうです。

課題の分析

ここまで、実際に出題された課題の内容を見てきました。ここからは、その背景にある課題の意図や見られている観点について、分析してみたいと思います!

1.20年後の職業を考える

「20年後に必要とされる職業TOP3」には当然、正解はありません。
ポイントは、①「20年後」という未来をどのように描き、定義するか。そして、②「必要とされる」とはどういうことか。その2点に対して、グループの中での納得解を導く必要があります。

見られているのは、対話のプロセス
受検生それぞれがイメージする「20年後」はバラバラです。もちろん論理的にある程度推測して想像することは出来る一方で、その先にはそれぞれが持っている社会や未来への価値観の違いから、イメージする未来に差が出てきます。そんな「違い」に直面した時、どのように対話を深め、どのように合意点を見つけていくのか。そのプロセスこそ、ここで評価がなされていたポイントであると考えられます。

また、そこからさらに「TOP3」を決めるためには、「必要とされる」という言葉を紐解き、何らかの軸を設定する必要があります。たとえば「すごく大きな苦しみを抱えている人を救う仕事」を「必要だ」と解釈するのか、あるいは「とてもたくさんの人が抱えている苦しみを解決する仕事」を「必要だ」と解釈するのか。課題の質なのか量なのか、どちらを重視するかによってランキングは変わってくるはずです。
その軸の決定もまた、先生としては評価のための見どころの1つだったと考えられます。

2.ジャストGO!GO!

1つ目の課題が対話や合意の力を見ているとすれば、2つ目は協働性・コラボレーション・チームワークをテーマにした課題であると言えます。この課題においてはもちろん、「相手のチームに勝つ」ことが合格に直結するわけではありませんし、当然加点の対象にもならないはず。むしろ、このゲームに対してどのような姿勢・取り組み方で臨み、その結果チームにどんな影響を与えたか?が重点的に評価されます。

iBASE受講生の合格者がこのワークで意識していたことを、昨年ヒアリングしていました。ここでご紹介します。

・人がピンを倒したら褒める。倒せなくても励ます。
・参加してる感を出した方がいい。
・反応・リアクションが大切。一言でもいいからコメントする。
・出来なかったら、「大丈夫大丈夫次いこ!」って言ったり、出来たら「ナイス!」って言うことが大切

iBASE生へのヒアリングより

ご覧いただいた通り合格者の生徒の特長としては、チームとして1つの課題に取り組むにあたって、関係性の向上に寄与しているということが挙げられます。あまりHow Toになってほしくはありませんが、こうした同じメンバーへの心遣いやあたたかい眼差しが、1つのポイントであることは間違いないでしょう。

対策の方針

対策についての考え方・方針

iBASEのグループワークに対する基本的な考え方や対策の指針は、以下の2つの記事に詳細にまとめています。いずれも長い記事ですが、ぜひともご一読いただけたら幸いです。

そのうえで、最新年度の出題課題を元に、広島叡智学園の二次対策において、1つの重要となる考え方をご紹介しておきます。

成功の循環モデル

ここで紹介する「成功の循環モデル」は、マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が提唱したモデルの1つです。

『成功循環モデル』https://www.humanvalue.co.jp/keywords/theory-of-success/

何か組織・グループがよりよい成果を上げる(=上記の図でいえば「結果の質」を高める)ためには、「関係の質」・「思考の質」・「行動の質」の向上が必要になるという考え方です。

これはどこからスタートしてもいいのですが、先ほどの合格者の例でいえば、きめ細やかな声掛けや心遣いによって「関係の質」を向上させることから始めていました。たとえ失敗したとしても許し合い、励まし合える関係性によって心理的な安全性が担保される。そしてそれによって思考の質が変わり、行動の質も変わり、結果として結果が伴ってくるというわけです。

そんな「関係の質」の深まりにも、いろいろなレベルがあることが指摘されています。以下の図は、その深まりについて整理されたものです。「ジャストGO!GO!」に代表されるスピード感のありゴールが明確な課題においては、レベル1~3の関係構築が必要。また、「20年後の職業を考える」課題においては、より深いレベル(LEVEL4の背景理解や率直さ、LEVEL5の一体感信頼など)まで到達することが求められていたと言えるでしょう。

『関係の質の深まり』https://www.humanvalue.co.jp/keywords/theory-of-success/

広島叡智学園の二次選抜においては、はじめて会った受検生同士で、互いに「関係性の質」に目を向けながら1つの課題に取り組んでいくことが必要となります。iBASEの対策においては上記のような表の整理も参考にしながら、いろいろなパターンの課題を練習していきます。その中でグループの「関係性」を見取り、それを豊かにするために「自分が出来ること」に自覚的になっていくこと。それが、二次選抜攻略の大きなカギとなるでしょう。

講座のご案内

2023年度も、iBASEでは対策講座を開講します。毎年、すぐに定員が埋まってしまう人気の講座です。今年度は昨年度の受講生からのご要望にお応えし、11/29まで「仮予約」を受け付けることと致しました。

講座の詳細や申し込みについては、以下の記事からご確認ください。

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