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Vol4.”辞めない人”が採用基準?

なぜ書くか

様々な情報が飛び交う現代において重要になる中、日本に住む約1億人にはグローバルでの最新の取り組みやトレンドを学ぶ機会が多くありません。Every Inc.では「HRからパフォーマンスとワクワクを」というビジョンを掲げ、グローバルな取組みやアカデミックな文献から面接に関する歴史、取組み、事例など”日本なら”ではなく、”グローバルスタンダード”な情報を提供しています。


辞めない人を採用したい?

こんにちは、株式会社Everyです。
このメルマガでは、アカデミックな視点で「面接」というものの構造や特性について解説をしていきます。

皆さんは採用枠が1つしかない場合、AさんとBさんのどちらを採用しますか?

Aさん:評価はそこそこだが、長く働いてくれる可能性が高いAさん
Bさん:評価は非常に高いが、すぐに辞めてしまうかもしれないBさん

「せっかく採用した社員にやめてほしくない」という事は多くのHRの方々が思うことだと思います。勿論、私自身も採用責任者をしている際、「願わくば長く活躍してくれる人に入って欲しい」と思っていました

しかし、改めて考えてみて頂きたいのです。「優秀だけれども自社ではすぐにやめてしまう」と採用を諦める事は”ビジネスに貢献するHR”として、合理的な意思決定と言えるのでしょうか。

RITEIによる調査研究の結果では、新陳代謝が進む企業は利益率や労働生産性が上昇するという結果も明らかになっています。

(引用元:雇用の流動性は企業業績を高めるのか:企業パネルデータを用いた検証)

そして、この判断を渋る本質的な理由は、このポジションはどんな役割・責任範囲で、どんな成果を出してもらうのか、という採用の目的そのものが曖昧である可能性が高いと感じている、ないしは、10年後~20年後、例えば経営陣の右腕になってもらうという”超”長期的な目線での採用に偏っているからです。

離職を防ぐためにも、企業文化とのマッチ度が大事である

また、離職を防ぐために企業文化との適合度を測定することも当たり前かもしれません。しかし、面接では「応募者は自分をより良く見せようとする」という事を前提に考えてみて下さい。会社としての考え方や価値観に本当に適合しているかどうか、面接で見抜くことは非常に難しいことであると言えます。

シリコンバレーのGAFAをはじめ、面接回数は7~8回という言われることもあり、それほどの時間と労力をかけて企業文化を知ってもらうプロセスを持っています。

更に、オンボーディングと呼ばれる入社後3カ月~6カ月に対するアプローチも盛んに取り組まれています。中でも有名な取り組みは「お試し入社」ができるZapposです。

5週間のお試し期間を通じて、Zaopposのプログラムでは顧客対応の電話から始まり、企業文化や行動規範に関するレクチャー・ワークショップを提供しています。特筆すべき点はプログラムを通じて違和感を感じた場合は、$2,000ドルを得て退職できる制度を設けている点です。

その他様々な取り組みはこちらをご覧ください。

採用におけるROIを考える

極端に言えば、採用にかけているコストに対して、その社員が在籍期間中に出すインパクトが上回るのであれば採用しない理由はありません。即ち、ROI(投資対効果)がプラスであれば良いのです。

欧米の調査では、人は平均15ヶ月で職/ポジションを変えるというデータもあります。即ち、1年と3カ月です。そのような前提で採用を再考したらどうでしょうか?更にROIに意識を向けられるはずです。

ただ、その中でもし早期離職などの問題が発生したとすれば、それは採用だけの問題ではなくオンボーディングの問題と考えられます。変数は1つ(入社者の志向や価値観)だけではありません。

従って、採用責任者は「(辞める辞めないかを論点からは外し)高いパフォーマンスを発揮してくれる人材」にフォーカスすべきです。辞めない人を採用するのではなく、活躍する人を採用できているか、今一度振り返ってみてください。

<参照>https://www.glassdoor.com/research/app/uploads/sites/2/2017/02/WhyDoWorkersQuit_Glassdoor.pdf

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<その他参考情報>

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著者:松澤 勝充

神奈川県出身1986年生まれ。青山学院大学卒業後、2009年 (株)トライアンフへ入社。2016年より、最年少執行役員として組織ソリューション本部、広報マーケティンググループ、自社採用責任者を兼務。2018年8月より休職し、Haas School of Business, UC Berkeleyがプログラム提供するBerkeley Hass Global Access ProgramにJoinし2019年5月修了。同年、MIT Online Executive Course “AI: Implications for Business Strategies”修了し、シリコンバレーのIT企業でAIプロジェクトへ従事

2019年12月(株)トライアンフへ帰任し執行役員を務め、2020年4月1日に株式会社Everyを創業。企業の人事戦略・制度コンサルティングを行う傍ら、UC Berkeleyの上級教授と共同開発した3カ月プログラムで、「日本の人事が世界に目を向けるきっかけづくり」としてグローバルスタンダードな人事を学ぶEvery HR Academy (HRBP養成講座)を展開している。



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