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HR豆知識⑯職場でフロー状態を作るあげる9つのステップ

「完全にフローに入った」

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【写真:Getty Images】

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スポーツの世界では、フロー状態をゾーン状態と表現する事が多いそうですが、フロー状態とは「研ぎ澄まされた集中状態」という風に理解できるものです。五郎丸選手のルーティン、イチロー選手のルーティン、桜木花道の「親父の栄光時代はいつだ?俺は”いま”なんだよ」もまさにフロー状態と言えます。

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今回は、「職場でフロー状態を作るあげる方法」について、ポジティブ心理学的なアプローチから書いていきたいと思います。

また、いつも読んでくださり有り難うございます。もしよければ「いいね」「シェア」して下さると嬉しいです。

1.What is Flow?(フローとは?)

Put simply, it’s a state of mind you achieve when you’re fully immersed in a task, forgetting about the outside world. (簡単に言えば、外の世界を忘れて、自分のタスクに没頭している状態)

ポジティブ心理学者であるミハーリー・シークスジェントミハーリーによって提唱されたこのコンセプトは、日に日にその注目度が増しています。

フロー状態は、具体的に以下のような状態を指します。

When you’re in the state of Flow, you:
・are completely focused on the task at hand;(目の前にある事に完全に集中している)
・forget about yourself, about others, about the world around you;(自分自身、他人、あなたをとりまく周囲を忘れている)
・lose track of time;(時間を忘れている)
・feel happy and in control; and(幸せや自治感を感じている)
・become creative and productive.(創造的で生産的になっている)


従って、私たちが中学生や高校生のころ、熱中したアレ。そう、ソレをやっていた時は「フロー状態」だったのです。


2.Why is Flow?(なぜフロー?)

フロー状態が重要となっているその理由の一つには、「本当の生産性とは何か?」を考えるアプローチがあっても良い、と著者のLeo Babauta(Zenの専門家)は述べています。

I believe the ability to single-task (as opposed to multi-task) is one of the keys to true productivity. Not the kind of productivity where you knock off 20 items from your to-do list (although that can be satisfying), where you’re switching between tasks all day long and keep busy all the time.(私は、一日に20個ものマルチタスクをこなすこと”だけ”が生産性が高いという状態ではないと考えている。1つの事を終える事、即ち"シングルタスク"が本当の生産性における鍵である)

The true productivity I mean is the kind where you actually achieve your goals, where you accomplish important and long-lasting things.(本当の生産性とは、長期的に続くことができ、重要である目標を達成することである)
~中略~
It means quality instead of quantity.(それは”量”ではなく”質”である)

すなわち、”仕事”をしている最中に降りかかる様々なイベントによって自分のタスクが中絶されることなく、”集中状態”を継続していることが重要であり、フロー状態というのはその鍵であるという事を述べています。

これは誰にも当てはまる例で、スポーツ選手のみならず、営業職もエンジニアも、コンサルタントも、「今、ここにフォーカスする」という事が出来れば生産性というものは上がっていくという事は、比較的容易に想像できるのではないでしょうか。

3.How to achieve flow and happiness in your work?(どうやったらフロー状態と幸福状態を職場で実現できるか?)

フロー状態を作り上げるためには、9つのステップがあると言います。

1. Choose work you love.(好きな仕事を選ぶ)
2. Choose an important task.(重要なタスクを選ぶ)
3. Make sure it’s challenging, but not too hard.(チャレンジングで難しすぎない目標を立てる)
4. Find your quiet, peak time.(静かで、ベストな時間を見つける)
5. Clear away distractions. (気をそらすものから離れる)
6. Learn to focus on that task for as long as possible.(続く限り、タスクに集中することから、学ぶ)
7. Enjoy yourself.(自分自身で楽しむ)
8. Keep practicing.(練習を続ける)
9. Reap the rewards.(報酬を得る)

1.好きな仕事を選ぶ

日本人の社会人の方はがっかりするのかもしれません。「別に好きな仕事をしているわけではない」という事を思う人は少なくはないのでしょうか。残念ながら、科学的なアプローチでは「好き」という感情がとても大切であり、「嫌い」な状態を見直す必要があると述べています。

If you dread a task, you’ll have a hard time losing yourself in it. If your job is made up of stuff you hate, you might want to consider finding another job.(もし作業に憂鬱さを感じるなら、自分自身を見失う辛い時間を過ごすことになる。もし仕事があなたが嫌いなものなのであれば、別の仕事を探すことを考えてください)

この考え方の見直しは「ジョブ・クラフティング」と呼ばれるもので、職場エンゲージメントの改善にもつながるアプローチ方法として注目されています。

アメリカのイェール大学の教授であり組織心理学者であるAmy Wrzesniewskiは、「ジョブクラフティング」を提唱し、仕事を別の視点からとらえてみるという方法を進めています。具体的には「タスク・関係性・思考」の面から見え方や解釈を変えるというものです。(詳細はこちら

2.重要なタスクを選ぶ

続いて、タスクを大きく2種類に分けます。いくら好きな仕事でも「簡単で将来にとって重要でない」ものと「難しいが将来にとって重要である」の2種類に分けるのです。

例えば、私にとってみると留学のための受験勉強や留学中の勉強もそうでした。英語やエッセイはやっぱり大変です。でも今の自分にとっては留学という体験がとても大切なものになっています。これはまさに「難しいが将来にとって重要である」仕事だったんだと思います。

3.チャレンジングだけど、難しすぎない目標を立てる

フローの専門家でアメリカの心理学者であるミハイ・チクセントミハイはそのモデルを以下のように説明しています。

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そして、この部分は何度も繰り返し練習が必要だと述べています。なぜならば、自分の能力や仕事の難易度などは100%客観的に測定することが出来ません。だからこそ、繰り返し、やってみて、調整するという作業が必要なのです。

また、自分で目標を決めることが出来る人など一握りです。だからこそ、上司の匙加減や日々のコミュニケーションを通じた目標修正も、フロー状態を作り上げる上で重要だと言えます。

4.静かで、ベストな時間を見つける

これは「場所」と「時間」を指しています。出来る限り騒音のない場所を選び、出来る限り自分のパワーがある時間(朝方・昼型・夜型)を選ぶという事です。

5.気をそらすものから離れる

現代社会においては、この5が最も重要です。ポップアップ、ノイズ、全てのツールから距離を置くことが重要です。視覚的にも聴覚的にも、距離を置いて目の前に集中できる環境を作ること。

私の場合、とても誘惑に弱いタイプであるため、まずスマートフォンを遠ざけます。集中するときは一切携帯を見ないようにする。そして、Webのウィンドウも一つしか開きません。また、出来る限りカフェで仕事をするようにしていますが、それは①机に余計なものがない、②静か、の2点からそうしています。

6~9.楽しむ、続ける、学ぶ、褒める

この1~5の前提条件を整えれば、ほぼ準備はできました。あとは「気楽に楽しんで続けてみましょう!」というステップです。1週間でも継続してみると、皆さんのアウトプットのクオリティや上司からの評価、または部下のパフォーマンスが大きく変わる可能性を持っています。

注目すべきは、1日でもチャレンジしてみた自分、または2日継続できている自分を、きちんとほめる事。何かご褒美的な報酬があってもいいでしょう。これはポジティブ心理学の世界でSelf-Compassionと言いますが、Well-beingの観点からはとても大切なマインドセットです。



如何でしたでしょうか?組織変革を進めているHRの方、マネジメントクラスの方、または個人として、最近集中できないと不安を感じている方、全ての方の参考になっていると嬉しいです。


私は誰ですか?
著者:松澤 勝充

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神奈川県出身1986年生まれ。青山学院大学卒業後、2009年 (株)トライアンフへ入社。企業向けの採用支援・組織開発支援、総合商社で2年半採用経験を経て、2017年より、執行役員として組織ソリューション本部、広報マーケティンググループ、自社採用責任者を兼務。2018年8月より休職し、Haas School of Business, UC Berkeleyがプログラム提供するBerkeley Hass Global Access ProgramにJoinし2019年5月修了。同年、MIT Online Executive Course “AI: Implications for Business Strategies”修了。卒業後、シリコンバレーのIT企業でAIプロジェクトへ従事。2019年12月(株)トライアンフへ帰任し執行役員を務め、2020年4月1日に株式会社Everyを創業。

保有資格:The Science of Happiness(UC Berkeley)、DiSC認定トレーナー、ピープル・アナリティクス(authorized by the University of Pennsylvania)、ポジティブ・サイコロジー・ワークショップ(Japan Positive Psychology Institute)、他


お問い合わせ先:contact@every-co.com


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