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HR豆知識⑰ The science of Happiness (失敗に直面した時の立ち直り方・立ち直せ方)

みなさんも日々の仕事の中で小さな失敗、大きな失敗、夫々を経験してきたと思います。そしてその壁を乗り越えた方、乗り越えられなかった、という感覚を同時にお持ちだと思います。

「失敗を成功の糧とせよ」

「今を乗り越えれば必ずいい未来が待っている」

「やまない雨はない」

そのような言葉をかけられた方もいるでしょう。そして人の言葉というのはとても素敵な力を持っているのも事実です。

今回は、ポジティブ心理学の観点から、「失敗に直面した時の立ち直り方・立ち直せ方」についてご紹介していきます。

1.Self-Compassion(自己同情)とは

瞑想の専門家であり、スタンフォード大学でリーダーシップを教えている教授のLeah Weissはまず「Self-Compassion(自分を赦す)」というマインドと行動が重要だと述べています。

その理由は「なぜ●●になってしまったんだろう」と原因を探ることは、負のループを作り上げるきっかけになるからです。仕事において、これが本当のゴールだという100点の状態はありえません。(完璧主義は、自らのメンタルヘルスを害するという研究結果もあります)

従って、「自分で自分を赦してあげること」がそのような困難な状況を対処する上で重要なアクションとなる。それをSelf-Compassion(自己同情)と呼ぶのです。このSelf-Compassion(自己同情)は、Well-beingに強くつながっており、このアクションを取れることによってメンタルヘルスは安定し、レジリエンス(回復力)を高めることが研究で明らかになっています。


2.リスクを高めるSelf-criticism(自己批判)

一方で、Self-Compassionの逆の概念にSelf-Criticism(自己批判)があります。これは、「なんで私は・・・。」、「絶対私には無理だ・・・」、「絶対に失敗したくないから」と考えるネガティブトークの事を指します。


研究の結果では、このSelf-Criticism(自己批判)≒ネガティブトークは、目標を達成するためのアクションを妥協させ、自身の行動の弱体化を招く。また、自己批判がうつ病、回避行動、自尊心の喪失、否定的な完全主義、先延ばし、および反すうを予測することを示唆している。


上司からの批判や指示として「原因を考えろ、対策を考えろ」との言葉は多いかもしれません。しかし、問題の原因を考える上で自己批判的なアプローチには工夫が必要なのです。

「"なぜ"駄目だったのか?」ではなく「"何をしたら"もっと良く出来たのか?」と視点を変える事が必要だということだ。Why(なぜ)ではなく、What if(もし仮に)で考えてみること

3.WhyではなくWhat if

思考の整理をしてみましょう。

Why("なぜ"駄目だったのか?)
あの時、自分の●●がいけなかった。→思考停止
あの時、あの人の●●がいけなかった→責任転嫁

このプロセスは深めれば深めるほど、自分のパーソナリティや普遍的な特性に行きやすいのです。

一方で、What ifで考えてみると、

What if("何をしたら"もっと良く出来たのか?)
あの時に●●ができたらもっと良く出来たはず
あの時に●●さんが●●できたらもっと良く出来たはず

上記のようにポジティブな解釈に発展している事がわかります。

4.Self-Compassionを成し遂げる3つのステップ

1. Find physical soothing techniques that work for you. (自分に合った身体を落ち着かせるテクニックを見つける)
2. Be a friend to yourself. (自分自身をあなたの大切な友達のように扱う)
3. Ask for help. (助けを求める)

とはいえ、自分に厳しい人は自分を赦すなど、想像が難しいことなのかもしれません。自分を見つめる、自分をコーチする、自分を大切にするなどなど。

どんな解釈になってもよいのですが、予測もできなかった失敗経験で、メンタルの状態がネガティブな時、後悔をして自分を責めても意味がないということを理解して頂ければ嬉しいと思います。

逆に、あなたがマネジメントクラスで部下が思う通りに動かない、自意識過剰的で指摘しても直さない場合は、敢えて失敗させてみた方が良いということでもあります。そして、その対象者が"失敗に対してどんな解釈をしているか"という思考プロセスを確認しましょう。

ただ、ここでは相手を打ちのめす、鼻っ柱を折る、などとのニュアンスはありませんので誤解はして欲しくありません。

それでは、Self-Compassion というスキルを身につけるためのアクションをご紹介します。

4-1. Find physical soothing techniques that work for you. (自分に合った身体を落ち着かせるテクニックを見つける)

1. Find physical soothing techniques that work for you. (自分に合った身体を落ち着かせるテクニックを見つける)

私たちは肉体的精神的ストレスを受けたときに、反射的にそこから逃げようとします。例えば上司から怒られた時に席を離れたり、資料作成やデータ分析が行き詰った時には、メールや別の簡単な作業に無意識的に意識が向いてしまうのです。しかし、恥ずかしさや圧倒されたという感情から目を背けるのではなく、それをじっくり見つめる事が肉体的な反応を抑えてくれるという研究結果があります

ネフは自分に親切な言葉を繰り返すことを勧めています。「これは苦しみの瞬間です。苦しみは人生の一部です。私に必要な思いやりを与えてください。」

それ以外にも、散歩をする、机に気持ちの良いセーターを置く、お茶を飲む、お気に入りの音楽を聴くなど、心地よいプロンプトを見つける事がSelf-Compassionを実践する上で重要とされています。

4-2. Be a friend to yourself. (自分自身をあなたの大切な友達のように扱う)

2. Be a friend to yourself. (自分自身をあなたの大切な友達のように扱う)

ヒトは時として自分自身を詐欺しのように否定的に見る瞬間があります(専門用語で言うとImposter Syndromeと呼ばれ、詐欺者症候群と呼ばれます)。あなた自身を不適切だとみなすのです。

この状況は多くの人に降りかかる状況で、Self-Compassionを実践するためには「自分を一人の友達として捉え、客観的にアドバイスを送ってみる事」が効果的だと彼女は推薦しています。

自己暗示かもしれませんが、「自分をコーチする」という感覚が重要だという事です。

4-3. Ask for help. (助けを求める)

3. Ask for help. (助けを求める)

周囲に助けを求めるということは、”当たり前”ではなく、時として過剰な要求はネガティブな結果をもたらすのですが、Give And Takeの発想で助けてもらったことを具体的な形で恩返しする事が重要で、周囲の仲間もさらに協力的になってくれるでしょう。彼女はそのリスクを以下のように解説しています。

当然ながら、上司や同僚、友人がいつもそばにいるとは限らないことを覚えておくことは重要です。または、要求が過度に繰り返されると、引き下げられたように感じる場合があります。あるいは、あなたが助けを求める人々は間違った種類のサポートを提供するかもしれません、そしてあなたは挫折するかもしれません。

しかし、研究では、自己同情は私たちがより良い目標に到達し、協力し、学び、他者を導くのに役立つという事が何度も実証されています。だから、自分に自分が辛いことを望んでいると感じたときはいつでも、少しだけ思いやりを自分に与えてください。また、皆さんが誰かの上司であれば、ぜひそのような問いを部下に与えてみてください。

皆さんの参考になっていると嬉しいです。

私は誰ですか?
著者:松澤 勝充

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神奈川県出身1986年生まれ。青山学院大学卒業後、2009年 (株)トライアンフへ入社。企業向けの採用支援・組織開発支援、総合商社で2年半採用経験を経て、2017年より、執行役員として組織ソリューション本部、広報マーケティンググループ、自社採用責任者を兼務。2018年8月より休職し、Haas School of Business, UC Berkeleyがプログラム提供するBerkeley Hass Global Access ProgramにJoinし2019年5月修了。同年、MIT Online Executive Course “AI: Implications for Business Strategies”修了。卒業後、シリコンバレーのIT企業でAIプロジェクトへ従事。2019年12月(株)トライアンフへ帰任し執行役員を務め、2020年4月1日に株式会社Everyを創業。

保有資格:The Science of Happiness(UC Berkeley)、DiSC認定トレーナー、ピープル・アナリティクス(authorized by the University of Pennsylvania)、ポジティブ・サイコロジー・ワークショップ(Japan Positive Psychology Institute)、他

お問い合わせ先:contact@every-co.com

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