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恋物語はまだ始まったばかりなのに。

好きな人ができた。
共通の友達がいて、そこから知り合った。

彼のことは、去年から知っていたが、
インスタをフォローし合うくらいの仲だった。

同じ学校の先輩で、1つ上の学年。
顔がタイプだったから、いつか話してみたいな。
と思ったこともあったが、
真顔が怒ってるのかっていうくらい
怖い。笑

そして、何より韓国人の彼女と
付き合っていて
遠距離していることを
知っていた。
だから、無理に仲良くなる必要もないなと思って
特に話したことはなかった。

彼との会話は英語。

ある時、彼が私のあげたストーリーにリプライしてきた。

私の地元の高校のことで
そこからなぜか話が続いた。

何気もない会話で特に意識もしていなかった。
強いていうなら、英語の勉強になるな。
そのくらい。

1ヶ月くらい話が毎日続くので、
流石に少し気になり始めた。

彼のインスタを見ると、
前にいた韓国人の彼女との写真が消えていた。
どうやら別れたのだろう。

私は少し期待してしまった。

彼との連絡をしていたある日
月の話になった。

次の日がちょうど満月で、
彼が夜のドライブに行こうと
誘ってくれた。

次の日、彼が夜私のお家まで
迎えにきてくれた。

オンボロの車で、
でも全然嫌じゃなかった。

彼は、私のことを乗せると。
いろんな話をしてくれた。

思っていたより、
ずっと居心地が良くて、
少し心がザワザワする。

そして、彼が少し日本語を話せることも発見した。
でも、片言でなんだか可愛らしい
ギャップだった。

1時間ほどドライブして、
あっという間にビーチに着いた。

彼がリュックを背負い、
砂浜を歩いた。

彼との距離は、
少し肩が当たりそうなくらい。
お互い意識していることが
わかったけど、何も言わなかった。

ビーチに着くと
彼が砂浜にバスタオルをひいてくれて、
一緒に明るい空を見た。
海がキラキラ月の光で輝いてて、
とても綺麗だったのを覚えている。

彼はたまに冗談を言ったり、
真面目に星のことを教えてくれたり、
とにかく第一印象の怖い真顔とは
全然違う人だった。

また、彼が、私の左側を指差して、
この星見える?そう私の方にそっと腕を回した。

私は、少しびっくりしたが、
すぐに受け入れられた。

そして、彼の肩の中に私の頭がすっぽり
それから、顔を見つめられた。

目を瞑ったらそっと唇に
ちゅってされた。

嬉しくて、恥ずかしくて、
あまり顔を見れなかったのを覚えてる。

満月の夜空は私たちの恋を照らしてくれた。


それから、定期的に会うようになった。

彼も私の学校があるから
休日や、夜にドライブに行ったり、
幸せいっぱいだった。
でもそう勘違いしていただけなのかもしれない。

周りから見るとカップルのような
距離感だと思う。

っていうよりカップルとの違いは
付き合っているという事実がない以外は
同じだった。

毎日連絡はとるし、
一緒に映画を見たり。
デートもする。
イチャイチャもして
お泊まりもした。

相手は外国人だから
いわゆるデーティングタイム
って言われるお試し期間なのかな。

ある時、彼からのテキストで
返信が遅い日があった。

返信が来たと思ったら、
彼は、昨日も、今日も、明日も忙しい。
そう言ってきた。

だから、私は、そうなんだ。
そう言って、仕事で忙しいの?それとも
楽しいこと?
そう聞いたら、彼は仕事だよーって。

少しその返信に安心した。

でも、その安心感はすぐにどっかにいってしまった。

ある日、私が学校のコンサートに行く予定があり
女子友達と私二人で始まるのを待っていた。

フェスみたいな感じで席が決まってないから
3時間前から好きなアーティストをまった。

前から4列目くらいの場所を取れて
やっと始まった。

ワクワクドキドキしながら
そのアーティストを見ていた。

その10分後。

左側に、見覚えのある人がいた。
白いTシャツに黒いズボン、
なぜか嫌な気持ちになった。
私の予感は的中していた。

私の好きな人がコンサートに来ていた。
しかも斜め左、3人くらい人を跨ぐと
会いに行ける距離、

だけど、その横には女の子がいた。
びっくりした。

というより驚きが隠せなくて、
思考停止した。

彼と仲良くなってからは
まだ交流が浅い。
でも、プレイボーイではなさそう。
そう感じていた。
だけど、同時に一緒にいない時は
何してるかあまり知らないことも事実だった。

それからのことコンサートで楽しいはずの
音楽は、全然耳に入ってこなかった。

彼のことが気になって仕方がなくて、
ずっと見張っている自分にすごく嫌気がさした。

彼と彼の女の子の距離感は、
判断しにくかった。
手は繋いでないし、
肩も当たってない。
でも、2人できてるし。
音楽がうるさくて、何か話しかけるときは
耳元までお互いの顔が近くなる。

嫉妬と腹が立って
コンサートどころではなかった。

突撃するべきなのか、
それとも後からメッセージするべきなのか。
頭の中で何度も趣味レーションが行われた。

だけど、実際コンサートが終わると
到底彼のところには怖くていけなかった。

友達が行ってみよ、って言ってくれたけど、
後ろでずっと二人のことを見ていた私に
そんな勇気も体力ももう残っていなかった。

彼とギリギリすれ違うくらいのところで、
彼からあれ、なんでいるの?!って話しかけてきた。

びっくりしてる感じにも見えたが、
女の子を特に気にしている素振りはなかった。

話しかけられたものの、苛立ちと悲しみと
辛さとなんでって気持ちと
あらゆる感情が一緒になって
心臓の音で今にも死んでしまいそうだった。

だから、彼を避けるように進んだ。

帰り道、彼は女の子とどこかに行ってしまった。

私はどうしたらいいかわからなくなって。
連絡してみた。
これからどこに行くの?
そう聞くと、クラブに行くって返信が来た。

彼がクラブに行くのは
前にもあったから知っていた。

その時も少し嫌だったけど、写真も送ってきてくれるし、
男子友達と言って音楽を楽しんでるのを知っていたから
信頼していた。

でも、今回ばかりは信じられないと思った。
私はメッセージを無視して、友達に
泣きながら電話した。

確かに、彼は嘘はついてないし、
コンサート終わりに私に話しかけてくれた。

でも、根本的に、
なぜコンサートに私は誘われてないのか
わからないし、
何より忙しいと言っておきながら
遊びで忙しいなんて、ひどいと思った。

彼に返信をしなかったら、
私のあげたストーリーに
追いで連絡が来た。

でも、クラブからメッセージを
送ってきてる男に話しかけたいなんて
思わない。

とにかくショックの大きい日だった。

この恋は、まだ始まったばかりだと思っていた。
彼のことは、尊敬できて、一緒にいて楽しい。
気になるから、好きという言葉に
変わってしまったのに。

その頃には、彼の知らなかった部分が同時に見えて
私の心はまだ恋心を持ったまま。

終わりの見える幸せを掴むのは屈辱でしかない。

恋物語はまだ始まったばかりなのにな。



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