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本名を捨てることにした

今年の9月に、私はフリーランスになった。仕事内容は、文章の執筆や編集、企画など。

独立したての未熟者。仕事について語るなんて、まだまだはやい。(と勝手に思っている)だからしばらくは、今までの人生や個人的な考えについて書いていこうと思う。今回は、独立前に仕事の名前をつくった話。

生身の自分と仕事の自分を切り離したかった


「柴田 れな」という名前は、姓は本名、名は本名ではない。

なぜ名を変えたかというと、現実世界で生活をする自分と、制作物を世に送り出す自分を棲み分けたかった。これに尽きる。

まあ姓は引き継いでいるので、別人のように棲み分けるというよりは、もうひとりの自分をつくったという感覚に近いのだけど。

仕事の名前について考えはじめたきっかけは、著名人の自殺。芸能人やインフルエンサーが、SNSやネット上で叩かれ、自死を選ぶ姿を見て、匿名による罵詈雑言がいかに鋭利なのかを痛感した。

私もはるか昔、匿名で執筆した記事に「クソ記事(笑)」とコメントされたことがある。名前も顔も知らない、SNS上のたった1人に。それでも心にグサッと刺さって、「もっと優しい言い方をしてくれたらいいのに」なんて思いながら、自分の技量のなさに凹んだ。

企業から出て、自分の名前で活動する。それはつまり、自分の評価がそのまま返ってくるということで、賞賛も批判も名指しで届くということだ。鋭利な言葉が、本名を主語にして自分の元に届くーー想像するだけでとても耐えられない。

無論、批判が集まる記事をつくるつもりも、予定もない。クレジットだって毎回載ると限らないし、仕事で注目されるとも限らない。でも私は臆病者だから、万が一に備えて仕事では本名を捨てて、別名をもつことを選んだ。

実在の自分に、「柴田れな」という殻を被せて、仕事への評価は一歩外側から見つめる。たったそれだけで、何かが大きく変わるわけではない。でも、そうすることでほんの少し、仕事をする自分を冷静に見ることができる気がした。

仕事におけるいいことも悪いことも、すべて「柴田れな」に起こったこと。本名の私は、その隣でこれまで通り実生活を送っていく。ある意味、ワークライフバランスといっていいのかもしれない。

芸名やビジネスネームは、印象をよくするため、個人情報を守るために用いられるといわれている。ただ、実体から切り離して自分を客観的に見るためにも、名前をつくることは有効なのではないか。世間知らずの私は今のところ、そう思っている。

@renashibata_


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