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短歌

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#短歌

短歌連作「Blue」

短歌連作「Blue」

耳鳴りよ 工事現場の輝きがあけすけに拳をひらかせて

Life is Party 安っぽい祈りであなたが阿弥陀籤はじめれば

純白の日々だと告げた 情けなく焦げた魚を眺めてる間に

*** ***

火を握る 君が吸いこむ鉄粉はどうすればいい Blue Matches

雪は寂しさの号外として鳴いて 素足で駆けていいのだろうか

映画館であなたは小さく頷いてそれから合図となった 全ての

*** 

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短歌連作「生誕」

短歌連作「生誕」

生活ってさ薔薇なのか命とかのことテレビで喋っているし

はぐれないスピードを続けてんのはさチルいじゃんって衛星になる

折り紙の銀色じみてその後も雑なロマンスだった感じで

明滅を(暫く会ってなかったしせっかくだから)見といてやった

象の夢こわくて起きてスプーンで蜂蜜ねぶる夢のみじかさ

生誕はこれからも来る換金所のお姉さんが欠伸をしている間

ストップって言ってください次の日に来なかった人がや

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短歌連作「指先」

短歌連作「指先」

たそがれを白鷺がゆく相槌のかわりにあなたの手を握ってる

祝祭を恐れ草葉の陰で吐く あなたが入れるまぼろしの手指

고인물은 썩는다(コインムルンソンネンダ)まだ友達が階段をのぼるのを待ちながら

社会から流氷をなぞりゆくここち 狂おしいほどピースの写真

心当たりがある人は手を挙げて逃げない鳩がいるバスプール

またはまばたきとなりたい脳内のwisdomは蝶のページ破れて

返されなかったピン

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短歌連作「slight sleep」

短歌連作「slight sleep」

通過する音に紛れて(可笑しくない?)アリスは薬を飲まされている

頬の体温で割れてしまう茉莉花の匂い あなたの手記として燃えたなら

愚かさから逃げようよ ゲームセンターでゾンビを殺す車に乗ろう

梟の振りをしていて 微睡はイーハトーヴォへの道のりだから

眼を剥いて初冬の高架を闊歩する ここに台湾映画の画角

油塗れの手で星空を謳った inondation 一瞬そうだった

ハイネケン踏み抜いて

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短歌連作「rob/sub」

短歌連作「rob/sub」

片翅をもがれて振れる鬼蜻蜓 実存は怪しくてこんなにも

高校の時知り合ってたらきっとマーブル模様だっただろうね うるさい9月

笑わなくなった従姉妹の右手には月の剥げた絵札 鯉が浮く

秋の停車場で萎びた朝顔を千切る 集団下校の匂い

Wedding cakeに満ちる水面の重み した/してくれた事柄

持ち去った季節を覚える義務があり 夜間急行は嘶き声で

それからの fuel 生活の記録と fo

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短歌連作「lucid/confused」

短歌連作「lucid/confused」

これは天使の方法ですからねと密やかに刺青を見せては

焼肉屋で同じ匂いになる ふたり 駅前のショーウィンドーに映る

腰掛ける 決まってそれは薄紅のハンカチ 初雪葛の蕾

困惑を押し付けられて 枕には柔らかい羽はひとつもなかった

たましいのかたち知らないけれど吸殻みたいなんだろう 記憶の

大幅な遅延が見られます 祖母は花の茎を切り揃えていたと

明確に味方だと口にしなくても 歩調 静かに降る若

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短歌連作「wake」

短歌連作「wake」

生傷のごとく短い八月のビデオテープに再生機能

未完とはゆれる海面 お茶の味変わっちゃったしもう帰ろうか

「猫いたよ」とかの連絡されて ああ 守ろうとしてくれたんだよね

夕暮れの眩しさ握りしめる 俺ジーンズ似合うねって言われたい

知っている街のバス 知らない街で頼むのは辛い麺類ばかり

満席の居酒屋チェーン 歌っても踊っても火薬みたいな匂い

願っても砂屑まみれの髪だから きぼうの子供達にさ

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短歌「Lucky Boy」

短歌「Lucky Boy」

もう胸に電光掲示をつけてやりうっすらスマイルマークを流す

この鍵は実家のだったと呟いて ごめんねって右耳下げていた

生活はこんなに美しかったっけ歯を磨くたび歯は永らえて

運命があればいいのに辛いなら車海老だって剥いてあげるよ

月は武器 声は振動に過ぎなくて無理に話さなくてもいいから

歯並びが綺麗じゃないしクリスマスソング歌えるから恥ずかしい

おれは詞にあのこは北に行きついておなじ運河を

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Photo🌃×tanka📝

Photo🌃×tanka📝

円盤の形のパンがあったけど買わなかったりした疲れてて

読み差しの本の結末なんとなく聞いて棚探してもなかった

乗り換えで寄る駅の特集記事ブックマークした記憶だけある

きのこって洗わなくても良いんだと信じ切れずちょっとだけ流した

父はビデオ通話に変更できなくて言い訳の儀式だろう正月は

今日も律儀に服を着る引落は罪の大きさのようだから

通信簿の丸少なくて横文字のそれっぽさに頼らんでもない

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短歌連作「シュレディンガーの夏」他

短歌連作「シュレディンガーの夏」他

『シュレディンガーの夏』

道のりを早さで割って出たものが実感として伴わなかった

校庭で弾むあの子のタイムならコンマの先まで覚えてるのに

「こんなんじゃにげきれないよ」非常口のフォームにダメ出ししているところ

エナメルが西日を反射していつも横断歩道で見失ってる

ハロハロを頬張る 春の気配ならストーリーと一緒に消えた

いつまでも寝れない夜は件名の:reの数を数えて寝ます

勘違いされたいリ

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