虫めづる姫君とサロメの世紀末

平安後期の短篇集『堤中納言物語』の中に「虫めづる姫君」という話があります。

これは、毛虫をこよなく愛する姫君のお話です。

岩波文庫(2002)の註釈で大槻修氏は、こうした設定を世紀末的であると評しています。

平安時代の作品を「世紀末」という西洋的な概念で捉えるのは、なんだか不思議な気がしないでもありません。

しかしながら、CiNiiを調べると、塚原鉄雄「世紀末的な猟奇趣味ーー虫めづる姫君の精神史的座標」(1975)なんて論文もあったりします。

やっぱり、世紀末的と呼びたくなる何かが「虫めづる姫君」にはあるのでしょう。

世紀末的な物語と聞いて思い浮かべるのは、オスカー・ワイルドの『サロメ』です。

ちなみに、こちらも姫君のお話になっております。

言うなれば「首めづる姫君」ですね!

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