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名詞/Noun

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2018年2月の記事一覧

『スピッツ』#69

他ならぬ、日本を代表するロックバンド、スピッツ。わたしのCD購入デビューはあの2枚組のCYCLE HIT1991-1997,1997-2005である。中学生だった。あの中の、半分も知らなかった。1991-1997なんてあの3曲、空も飛べるはず、ロビンソン、チェリー、、これだけだ。だけど、あの2枚にスピッツが詰まっていて、それからはレンタルCDで、スピッツのB面、アルバム曲をちょこちょこと耳に入れていくようになる(買いの前に、スーベニアだけは聞いていたはず、レンタルで)。 なん

『マスキングテープ』#68

原体験は中学校の美術の授業だったようにも思うし高校の美術の授業だったようにも思う、記憶の中の体験がごっちゃになっててそれぞれ美術室と美術の先生とクラスみんなの光景は個別に覚えているんだけどなぜだか手元だけ記憶を定着できていない。手元だけは意識がそこだけに集中していたってことだろうか。 文字だった。自分の名前やニックネーム等をロゴ化するデザインの授業だった。私は3文字のゴシック体のアルファベットを、縦に3分割して中段だけ半文字ぶんズラしたシンプルな形にしていた。デザインの根拠と

『ペットボトル』#67

いまダイニングの机の上には3本ある。おーいお茶、2本、妹。トクホ黄金烏龍茶、1本、母。ダイニングテーブルの包容力の高さを讃えるべきか。いや。 薄くて軽くて持ち運びが容易で、飲み口をフタで閉めることができて、形状もさまざまある。水筒として大変有能な道具。私もよく使う。 こう書いていると、自分がペットボトルを使う、という意識があるように書けてしまうのだけど実際にはペットボトルは飲料メーカー・企業に使われているのであって私自身は、使われているのを選ぶ、という立場だ。本来のペットボト

『襟』#59

襟は。場のフォーマルさ及びカジュアルさを示し、意気のフォーマルさ及びカジュアルさを示す。場の環境・アーキテクチャを構成し、個人の参加意思・想像力を発露させる。男性の装いを形作るもののなか重要な役割を果たす。襟は。 学ランで、なかに何も考えずワイシャツを仕様として着ていたころは、スラックスの腰の高さと学ランの丈の長さと、冬場はカーディガンぐらいにしか意識が届いていない。思い出してみると、女子のブラウスの襟もほぼ差異のないものだった一方、わずかに記憶に残っているのは、丸襟と角襟を

『チョコレート』#58

他ならぬバレンタインデー、象徴されるチョコレート。連続して食べ物をテーマにしてしまったけどご愛嬌。 学校の下駄箱とは、靴と上履きが交互に入れ替わる箱であって、誰かの想いが預けられる箱であったことは自分にはない。ただ、物語的にそう機能する箱としては知っていて、それはおそらく誰もが共通して知っている「象徴的な出来事」を示唆する。2月14日ほどその物語性が自分に及ぶこともあるまいと思う。チョコレート、あるいは手紙。とはいえ私の頃もケータイのメールは便利なもので、ロッカー式の下駄箱の

『ベクトル』#60

2022年度から変更になる高校の指導要領に関して、数学のベクトルが数学Bから数学Cに移行されることに決まったそうな。代わりに数学Bには統計が加わる。つまり、文系志望の人は必修科目ではベクトルを習わず統計を習うという。ちなみに整数は数学Aから除外される。 最初に心境を書くと、ベクトルに触れる機会が無くなるのは(文系科目専攻であっても)まことに残念。整数に関しても同じで、自然数を(この概念自体と名称についてはピンと来ないので悩ましいけれど)習わないで“1”って概念を習得することは

『障子』#66

悪い子ではないので「へへへ、えいっ」と破ったことはない。しかし、わが実家の障子は下半分がたいへんよく破れているのが現実である。もう、いつ過去に張り替えたかわからないほど黄色くなっている障子紙には、ところどころ継が当てられている。いったいいつ穴をあけていつ継いだのかわからないが、かさぶたと傷跡を往復しながら別のところにかさぶたをつくる小僧の、肌のようだ。ただし肌は元どおりになるところも、あるが。 物心がつく頃には、幸いに私は障子がある家で育ち、祖父母の家にも必ず障子があった。「

『太字』#65

自分でも妙なテーマにしたと思っている 。これまでのnoteで使ったわけでもなく、何か象徴するわけでもない。何を書こうか、ふーっと考えたときに思い出したのが読み始めた本、劇作家・演出家である平田オリザさんの書いた新書「わかりあえないことから」(講談社現代新書、2012)だった。 まだ、読み終えていなくて中盤くらいまでしかいってないけれど、「“若者”あるいは“学生”に、社会から要請される“コミュニケーション能力”というもの」について話が進められる。まえがきでは、日本のコミュニケー

『電柱』#63

映画「風立ちぬ」を観たことがあるだろうか(このnoteは時折、読者無視で共通認識を作らなかったり、またはいきなり問いかけて共通認識を持たせようとしたり、スタンスがバラバラだ)?その映画のなかで、主人公の二郎(飛行機の設計者で天才的で努力家でもあり善良な性格でもあり非の打ち所がない彼)の夢の中に、彼の憧れるイタリアの飛行機設計者カプローニが表れて自ら設計した飛行機を案内しながら二郎に問う。「きみは、ピラミッドのある世界とピラミッドの無い世界、どちらが好きかね」と。戦時中、軍国主

『砂時計』#62

いつ好きになったのか定かではない。きっかけになりそうな記憶はそこそこにある。いやそもそも好きなのかどうか、定かではない。ただ、象徴的にかっこいいものとして持っているのかもしれない。所有欲のあらわれ。わたしの部屋の、普段座る椅子の斜め前、本棚の上、居並ぶ雑然としたものもののなかに、3分間を計ることのできる砂時計がある。純度の高い砂鉄で、中が(たしか)真空で作られているために周囲の湿度や温度に左右されず一定に“3分間”を計ってくれるもの。2,000円くらいで買ったような記憶がある

『バーベキュー』#61

なんとなく、行為のイメージや体験はあるけれど定義を知らぬまま大人になってしまった、言葉の一つにあった。バーベキュー。大人になってから(いや高校生くらいかな)、BBQをバーベキューと同じものを指す言葉だとも知った。 屋外で炭とか薪を使って、肉とか魚とか野菜とかを焼く行為。簡単に私の定義を書いてみるとこうだ。 語源を当たってみると、半日以上じっくりと火を通した豚の丸焼き(火の通りにくい肉・かたい肉)等に用いる器具を指すよう。それが、スペイン語の「barbacoa」に転化した。広ま

『打率』#52

ひとつ前のnoteが51番だったことにつられたわけじゃない、と言ったら嘘だ。スーパースター・イチローは物心ついた頃からスターだった。今回の文章で、イチローについては敬称を一度もつけないのですが変に思わないでください。 日産の、お年玉みたいなやつだったと思う、円形のトランプが当たった。小学生の低学年ごろだったと思う。そこにはオリックス・ブルーウェーブのユニフォームを着てバットを立てて持ったイチローのバストアップ写真が使われていた。その頃はWikipediaによるとイチローが首位

『麦茶』#57

いま手元に「やさしい麦茶」(グリーン ダカラ/サントリー)がある。コンビニでお茶系を買うときの比率は、緑茶2割・十六茶および爽健美茶4割・麦茶4割、といったところ。ぐびぐび飲めてカフェインもなく歯の黄ばみもあまり気にしなくて良いところがありがたい。あと、550とか600mlとか多めに入っているものが大半なので、ガブ飲み人間にはたいへんありがたい。麦茶としては、鶴瓶師匠のミネラル麦茶が味は好きなのだが、やさしい麦茶は650ml入っていたので買っちゃった。 子供の頃から今までおそ

『餃子』#56

練って包んで焼く、食べる。ニラやニンニク、生姜に白菜、そして挽肉を混ぜたタネが主なもの。そして天津飯とは兄弟弟子の関係にある。餃子。 妙な話である気もするが、中学生になるくらいまで、餃子に関しては「餃子である」以上の感情も以外の感情もなく、「そういう見た目のそういう味の食べ物」だった。スーパーのチルドのか冷凍のか、それらを家で焼いた餃子しか食べたことがなかった。付属のタレを、付ける量が多ければしょっぱくて、少なければ小麦粉とひき肉の味、というなんともそっけない味覚だった。 中