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予備校で浪人した私の受験体験記番外編〜浪人生活に大失敗した元同級生の話とそこから得られる教訓〜

さて、予備校で浪人した私の生活も一応前回で最後となるわけだが、今回はオマケというか番外編として「浪人生活に失敗した人」の話をしよう。
前回の記事で東京外大の二次試験を受けに中野のホテルに泊まった時、同じように予備校浪人していた友人がたまたま泊まりに来ていたという話をちょろっとだけ触れた。
その人は私の小学生時代からの腐れ縁みたいな感じの親友であり、それこそ運動も勉強もパーフェクトにできる「THE・天才」であり、成績は常に学年トップクラスである。
しかし、その才能を決してひけらかさず誰に対してもフランクに親しくしてくれるため、私も気兼ねなく話ができる1人でサッカー部所属であったと思う。

その親友は福岡市にある某大手予備校で浪人しており、東京学芸大志望だったので前期試験でたまたま宿泊ホテルが一緒だったから会ったという感じだ。
久々にホテルで会うと「おお、面構えが違う。立派になったな」と言ってくれて、お互いにこの10ヶ月程の話を沢山して盛り上がっていた。
しかし、その友人から聞いた同じ高校の元同級生が大失敗したという話を聞いて私は愕然としてしまった、なぜならその元同級生は私の知人でもあったから。
今回は元同級生のエピソードから得た教訓も含めて「浪人生活で陥る罠」について話すとしよう。

※このエピソードは事前に2人から記事として書いても良いという許諾を頂いています。決して面白おかしく冗談話にしないでください。

中学時代に同じ塾に通っていた元同級生A

大手予備校で浪人した元同級生Aは私が中学時代に通っていた地元にある塾に通っていて、中学時代は本当に輝いており、今風にいう「陽キャ」だったと思う。
背格好は決して高くないものの細身で顔も中々のイケメン、学力も当時の私より上という目の上のたんこぶみたいな存在で、しかも私を結構弄っていた人である。
私は中学時代は誰とも話さない方針の「陰キャ」を徹底していたため、とにかくああいう存在が苦手であり、高校に入っても相変わらずウザい奴だった。
今でも会って話したいかといわれたら嫌なのだが、それでもまあ根が腐っているというわけではないので、こちらから相手しなければ人畜無害ではある。

そんなAと小学時代からの私の親友がなぜ仲いいのかというと、高校時代同じサッカー部だったからであり、その縁で仲良くなって今でも付き合いが続いているらしい。
性格はとにかく明るいのだが、上でも書いたように突出して凄いスーパースターというわけでもないのに、自分を「優等生」と思い込んで下にいる人たちを見下す傾向があった。
容姿がよくて運動もそこそこできるため女子からも人気者だったのだが、それを鼻にかけて調子に乗っている節が見受けられるのはあまり好印象ではない。
だから同じ高校に入ったが、別々のクラスになったこともあり殆ど疎遠になっており、私は私で気の合う友達と仲良くなって喋っていた。

そんな彼を最後に見たのは高校卒業してから約2週間後、私が予備校の入寮テストと説明会を受けに県庁所在地近くの会館に来た時だったとおもう。
試験を終えて昼休みにコーヒーを飲んでいたら、Aが別の元同級生Bと一緒に呑気な顔して歩いてくるのが見えた。
それを見て私は「ああこの2人も浪人なんだな」と何となく察したがこちらから話しかけることはなく、そのまま予備校生活に突入する。
親友はA・Bと同じ某大手予備校で浪人しており、春学期〜夏期講習は同じ寮に住んでいたとのことらしい。

しかし、秋学期からが彼らの運命の分かれ道になったという。

出だしは好調だったが、堕落していく

親友の語るところによると、その某予備校は私が居たK予備の寮とは異なり男女共同であり、他室訪問禁止かつ門限も相当に緩く全く守られていないとのことだった。
それどころか年頃の男女が同じ寮に住むため、当然如何わしいアレなことも日常茶飯事で行われていたらしく、要するに形骸化しているのである。
その癖利用料だけバカみたいに高いためアホらしくなった親友は個別の下宿先を借りてそこから通っていたらしい。
で、AとBはそこの寮に1年間通っていたらしく、春学期〜夏期講習はとても順調にこなしており、第一志望が模試でA判定だったそうだ。

しかし問題は秋学期以降で顕在化し、親友とBは順調に成績を伸ばしていたが、Aはどんどん誘惑に負けて勉強しなくなり、堕落していったらしい。
聞くところによると、当時同じ寮で付き合っていた女子がいたらしく、その子の部屋で如何わしいことをしていたという話を聞いた。
また、センター直前だというのに門限近くまで外で遊び呆けた挙句、帰って来てからはその子とまた行為に及んでいたらしい。
もはや聞くに耐えない転落ぶりであるが、結果からいうとセンター試験でそいつは大失敗して、何と9教科合計の点数が500を切ったのだとか。

気がつくと生気も失われていき「もう俺どこも受けられないよ、ハハ」と言い残してその年の浪人は国立も私立も全滅だったらしい。
皮肉な話である、中学時代から散々俺のことを弄って優等生ぶっていた奴がたった1年でここまで堕ちていくのかと信じられない思いだった。
だがこれは決して他人事ではない、私も一歩間違えたらAのようになっていた可能性があるのだから、そのような地雷を踏まずに済んで御の字である。
私が「監獄」と呼ばれたK予備に入寮した理由はAのように堕落して全滅し二浪するのが怖かったからであり、本当にそうならなくて良かった。

二浪して何とか合格

結果からいえば、親友は東京学芸大に無事合格してBも無事九大に合格したが、Aはその後両親に頭を下げて二浪目をお願いしたらしい。
地元の中でも割と裕福な家庭だったらしいから、二浪目の最後のチャンスとして私が通っていたK予備の別の校舎に通い始めたとのこと。
親友は「最初からそうしろよって正直思った」と言っていたが、私も同感であり、現役時代の失敗から何も学ばなかったのかと呆れ半分だ。
だがまあそこで性根を入れ替えて二浪目できちんと結果を出し、無事に日大に受かったとの報を聞いて私もホッと胸をなでおろす。

浪人生活は決して順風満帆なことばかりではなく、様々な要因が待ち受けているが、わけても大きいのは「性欲」と「都会の誘惑」であった。
親友たちが浪人していた大手予備校は割と都会の中にあるから、誘惑の元になる娯楽施設などが周囲に沢山あると聞く。
その上男女共同の寮で門限も緩く授業も強制ではない、こんな環境に放り込まれたら私なんかは間違いなく同じ大失敗をしていただろう。
結局人は「環境」次第で白くも黒くもなるのだということを思い知らされたエピソードだが、まあ予備校自体に責任があるかというとそうでもない。

現に親友とBはそれぞれ勉強をきちんとして第一志望に受かったのだから、決してAだってできなかったわけではない。
だが、親友とBは元々自己管理がしっかりしていたし、一を知って十を知ってしまう「天才」だから大手予備校でもできたわけだ。
逆にいえば、そのようなごく一部の天才を除いて浪人生活で誘惑に負けずに頑張って合格できる人なんていないのである。
殆どがAのように誘惑に負けてしまい全滅か、合格できても現役時代の実力以下のところにしか受からない。

元同級生Aの失敗から得られる教訓

今回の元同級生Aの浪人生活の失敗からは様々な教訓があるので、是非浪人生の方は参考にしていただきたい。

予備校に通ったから学力が上がるわけではない

最初にわかるのは予備校に通ったから学力が上がるわけではないということであり、これから浪人する人は是非肝に銘じて我が事として落とし込んで欲しい。
これは何も規則が緩い大手予備校だけではなく、監獄で有名なK予備も同じことであり、受動的な勉強をしていると現役時代と同じ失敗を繰り返す。
私はK予備に入った当初センター追試と不合格体験記を基に徹底した自己分析とセンター本番までの戦略・戦術を練ったが、これが大事である。
というか、そもそも自己分析と戦略・戦術ができていないからこそ浪人することになったのであり、どこまでいこうと所詮浪人生は「落伍者」なのだ。

そんな落伍者が現役時代に通らなかった第一志望に合格したいのならば、まず何が敗因だったかをしっかり反省してそこから戦略を練る必要がある。
就活でもビジネスでも何でもそうだが、この「自己分析」と「戦略・戦術」を見誤ってしまうと学力は向上しないし、第一志望には一生合格できない。
どれだけ努力したって第一志望、特に東大京大クラスの難関大は努力だけではなく運など様々な要素が複合的に絡んで初めて合格できる。
その現実を熟知した上で、予備校が与えてくれる環境をどれだけ有効活用できるかによって合否が決まると言っても過言ではない。

予備校はあくまでも大学合格のための「手段」であって「目的」ではなく、一番大事なのは「合格」を勝ち取ることである。
無論「行ける大学」で妥協してもいいが、そんな大学ならわざわざ浪人してまで行く価値はない。
浪人するからにはやはり「行きたい大学」に行くのだというのを念頭において緻密な自己分析と戦略・戦術を立てる必要がある。

浪人生活には強靭な精神力が必要

2つ目に、これはもうAが誘惑に負けたことからもわかると思うが、浪人生活を1年しっかりやり通すには強靭な精神力が必要である。
浪人の1年は長いようで短く短いようで長いマラソンであり、合格するまでの11ヶ月には様々な困難が待ち受けていることを肝に銘じてほしい。
Aが負けてしまった「性欲」「都会の誘惑」は正にそれであり、浪人生にとって最大の敵となりうる要因だ。
私がいたK予備が男女別々の寮で恋愛禁止、徹底したスケジュール管理がなされているのもそういう誘惑となるものを排除するためである。

18〜19という年齢を考えれば特に男は最も性欲を滾らせているわけだが、それをうまく勉強のエネルギーに昇華させることが大事だ。
全てを捨て去ってでも大学合格のための戦闘マシーン、とまではいかなくても臨戦態勢で授業に臨むガッツとバイタリティを持った戦士となる必要がある。
それぐらいの気概を持ってしても結果が出る本番まで成績が出ない、勉強が学力に直結しないというスランプに陥るのだから相当な覚悟が必要だ。
その苦しみすら我が物として本番まで諦めずに勉強し続けることが出来たものだけが合格を手にしてキャンパスライフを謳歌できるのである。

浪人の1年だって決してタダではなく、あくまでも両親が汗水流して稼いだお金でさせてもらっているということを忘れてはならない。
寮自習前に必ず「両親に感謝します」と諳んじていたが、本当に両親の支えがあってこその浪人生活であり、謙虚さを持ち続けることだ。
それを忘れて誘惑に負けて己を律することが出来なかったら、Aのような全滅で二浪する羽目になることを覚悟しておこう。
二浪する価値があるのは東大京大クラスか医学部のみであり、それ以外は何が何でも一浪で決めたいところである。

模試の結果を当てにしてはならない

そしてこれも大きな要因だが、Aは春学期〜夏期講習で出たA判定で調子に乗ってしまい、秋学期以降の努力をサボってしまった。
これは浪人生に限らないが、A判定を取ったところで所詮模試は本番を想定した「練習試合」に過ぎず「本番」ではない。
あくまでも「現状の自分の学力」がどのくらいあるのか?何が得意で何が苦手か?という自己分析の判断材料にすぎないのだ。
そこで得られる点数が大学入試本番でも全く同じ点数であるとは限らないし、本番で全く同じ問題が出るわけでもない。

例えるならば模試の結果に一喜一憂するのは漫画「ドラゴンボール」で言うスカウターの数値を鵜呑みにするのと同じである。
画像を見てもらえればわかるように、ナメック星にいたフリーザ軍の手下がチビの悟飯とクリリンの戦闘力をスカウターで見て油断した。
しかし、クリリンも悟飯も相手に警戒されないよう「わざと」戦闘力を下げており、気のコントロールで相手を油断させるのである。
それを知らなかったこいつらは呆気なく倒されてしまうわけだが、模試の結果が良いからと浮かれるのもこれと同じではなかろうか。

ましてや春学期〜夏期講習で取れる模擬試験の点数はあくまで現役がまだ本気を出していない時期の先行者利益であることを忘れてはならない。
秋になると模試は本番に向けて難化していくし、現役のパッパラーも本気を出してくるため浪人生は下からの追い上げという脅威に晒される。
そこを承知の上で「本番でしっかり結果が出せれば良い」という大きな割り切りができるかどうかが浪人生には大事なことだ。
大学入試は時の運、だからこそいつ何時どんな問題が出たとしても対処できるだけの学力を蓄え続けておく必要がある。

まとめ

今回は番外編として元同級生Aの失敗談を本人の了承のもと語ってみたが、浪人にはこのような落とし穴も待ち受けている。
むしろ余程意識的に己を律して勉強に励まなければ、Aのような末路を辿ってしまうわけで、決して他人事ではなく明日は我が身だ。
既に浪人を終えて素敵なキャンパスライフを送る人も、これから浪人しようという人も、是非教訓化していただきたい。
慎重に慎重を期して、最後まで自分と戦い続けた者しか行きたい大学への合格を勝ち取ることは不可能である。

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