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夫から「きみはもう仕事には戻らないほうがいい。」と言われたはなし。
頭の中で言葉が氾濫している。
思考がぐちゃぐちゃしていてまとまらない。
何かしていないと、という謎の焦りに追い立てられているような気がする。
でも、きっと今日はそういう日なのだ。
「きみは、もう仕事にもどらないほうがいい」
仕事に行かなくなってもう半年が経つ。
先日、夫と仕事について話をしていたときに彼は私にこう言い放った。
「きみは、もう仕事にもどらないほうがいい」
驚いた。
仕事によって私が健康を大きく損ねたこともあるだろうが、彼がそういう言葉を口にするということは私にとっては結構なことだった。
在職中、私の収入は非常に安定していた。暮らすに困らないお金が毎月手元に入ってきて、ボーナスもあった。
一方、フリーランスの音楽家だった夫は収入が月によってまちまちで結婚してからもしばらくは別の仕事も同時にやりながら、音楽の仕事をしていた。
数年前、私が「仕事を辞めたい」と彼に言ったことがあった。
娘を妊娠中のころだっただろうか。真剣に、ではなく「だったらどうする~?」くらいのテンションで聞いたのだと思う。
(もっとも「やめたいな」という思いは心のどこかにずっとくすぶってはいたのだけれど)
ただ、そのときの彼の反応は「・・・そうしたいんなら、いいと思うけど・・・」というような何とも言えないものだったと思う。賛成!というわけにはいかないのだろうな・・・と、その態度を見て私は感じた。
実際彼の収入だけでやっていくとなると、厳しかったのかもしれない。
今となっては過去に戻ることもできないし、わからないが。
そういうこともあって一家の安定した生活のためには私は仕事をやめることはできないと思っていたし、続けるべきだ、と考えていた。
私が無給になって夫が変わった。
しかし、育児をはじめて2年目、私は無給になった。職場のシステム上「育休とってもいいけど1年目以降は給料出さないよーん」ということだったからだ。今までお金に無頓着だった私も、さすがに自分の通帳の残高を気にするようになった。
独身時代にためていたお金を少しずつ使った。育休は結局3年とったが、ためていたお金はきれいにすっからかんになった。笑
でも、そのお金のおかげで今までやってみたかったことに片っ端からチャレンジすることができた。悔いはない。
とっとけばよかった、とかは別に思わない。笑
ただ、夫はきつかったと思う。
夫は、私に対して基本的に弱音や愚痴を言わないが最近になって当時金銭的にかなり厳しかったことをぽつぽつ話すようになった。
当時の私は育児ノイローゼ気味で話をするにも瞬間湯沸かし器のような状態だった。ちょっとした一言で、すぐにキレる。泣く。(我ながら扱いにくすぎる。夫には感謝しかない。)
でも、夫は頑張った。毎月ほとんどの生活費を自分の稼ぎでまかなった。
私も貯金を切り崩したりはしたが、基本的に夫のお金で生活していた。
今思い出したが、私は毎月小遣いまでもらっていた。(多分1万とか)
あるとき、私の母が言った。
「彼はえらい。自分の稼ぎで、妻子をちゃんと養っている。」
私の実家はいろいろな事情があって、母親が馬車馬のように働いていた時期があった。父親が病気で働ける状況ではなかったとか、ほかにもいろいろあったのだ。
母も田舎の人間だから「お父さん大黒柱説」を心に持っている人である(私もなんとなくそうなんだけども)
だから夫が家族を支えているということに感銘を受けたようだ。
どうせだから書いてしまうが、私たちの結婚に親は大いに賛成、というわけではなかった。結婚を決めたとき彼の仕事がまだ安定していなかったからだ。「大学までだしたのに・・・」そんなことを結婚後にポロリと言われたこともあった。
友人たちも基本的には反対していた。「そのひと、ヒモなんじゃないの?」「あなたの収入が目当てなのでは」「はやく離婚したほうがいい」そんなことを言われることもあった。
でも、夫は頑張った。
こつこつやっていた夫のところに、だんだんと大きな仕事がくるようになった。仕事が、また仕事をよんできた。その仕事スケールのでかさにびっくりしたこともある。
そういう彼を見ていて食事で体調管理ができれば、と私も料理を勉強するようになった。
いつの間にか副業をする時間はなくなり、夫は音楽一本で食っていけるようになっていた。そして今年、事業をおこそうとしている。
なんなら。もっというなら。
その事業をいざ始める、という時にコロナの流行が開始。
内装工事をお願いしていた業者も、銀行も、動けなくなった。
でも、夫はすごい。
「よし、それなら自分で工事するわ。逆になんか燃えてきたぜぇ~!!」
そう言って、事務所を作る予定だった建物の床をばりばりはがし、壁を壊し、リノベーションという名の大幅な工事を自力で行った。
自分でコンクリートを練り、駐車場もつくった。
そして、足りないお金はスクールの講師料を前借したり、友達からかりてきた。
「金など人から借りるものではない」という教育をうけてきた私はその行動にめちゃくちゃ驚いたが、スクールの社長は前借をあっさり了解したし、夫の友人に至ってはお願いした翌週には夫に大金をかしてくれた。
国からのいろいろな給付金や自前の工事で節約したりでなんとかお金をまわし、借りたお金は返済。今も地道に準備をしている。
私の夫最強説。
そんな夫が私に言った「仕事に戻らなくていい」は私にとってかなりパンチのある一言だった。
「きみは一人でどんどん好きなことをやっていったほうがいいと思う。自分の好きなことをして生きていけばいい。」
「好きなことにお金を使わずに、何に使うの?」
それで、はた、と気づいた。
そして好きなことをやることにした。
そんなこんながあり、私は仕事をはなれた。
以前から興味のあった分野についての勉強を今日から本格的に始めた。
正直、私は結婚してからしばらくは夫のことを心の中で小馬鹿にしていたと思う。それは私の人の価値の判断基準が「いくら稼いでいるか」というところだったから。
でも、一緒になって彼の「生きる力」に度肝を抜かれる瞬間がすごくたくさんあった。
今では「私、この人と結婚してよかった」と心底思っているし、周囲の友人たちからも「ひゃくめちゃんの旦那さん、ホンットいいよね。最高。」などと言われる。それに対して私も「うん、ほんとそうなの。助かってる。」とにっこりできる。
このブログの冒頭書いてるあたりまではなんだか悶々としてたんだけど、
夫のこと書いてたらなんだか元気になってきました。笑
夫婦は、他人だけど、他人だから気付くことやできることがあるよな、と思います。
私の価値観やいろんな概念をぶち壊してくれた夫の存在のありがたさをかみしめて、今日もおいしいご飯を作ろうと思います。
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