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心のすさみを抑制するもっとも良い力とは…(前編) 対談者:鍵山 秀三郎 様

皆さまこんにちは!ヒューマングループnote編集担当 朝永です(^o^)

ヒューマントークVol.22は、自動車用品大型小売店 株式会社イエローハットの創業者であり、日本を美しくする会 相談役として社会活動に従事されている 鍵山 秀三郎様をゲストにお送りいたします。

今回はヒューマングループのスタッフも参加させていただき、話をお伺いしました!

まずは弊社社長 内海と鍵山様との出会いからご覧ください。

鍵山 秀三郎様との出会い 

社長に就任した時に、知人からイエローハットの社長 鍵山様という方が”すごい社長らしい”と聞き、お会いしたいと思っていた時に東京の会合でラッキーにもお会いする機会をいただきました。

穏やかで、謙虚なお姿に接して、この方から経営を学ぼうと念じ連絡を取りました。

東京で30分の面談時間を頂き”トイレ掃除”の話を聞き、経営とトイレ掃除?ここからヒューマングループの環境美化・整理整頓への改革がスタートしました。

とても奥が深く、凡事徹底の社風づくり、まだまだ道半ばです!


※対談の本文は、2008年11月にヒューマンニュースレターに掲載したトークを当時の文章で掲載いたします。


心のすさみを抑制するもっとも良い力とは…(前編)

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<ヒューマンニュースレターVOL.33(2008年11月発行)より転載>

鍵山 秀三郎 様
ヒューマングループ 代表取締役 内海 和憲

内海カ:今日は、鍵山相談役に弊社に来ていただいて、お話をいただきたいと思います。7月に発行されました、鍵山相談役の本「経営問答塾」に自動車学校のことが書いてあり、たくさんのヒントが書いてありますので、ぜひ皆さんにも読んでいただきたいと思います。今日は懇談という形で進めさせていただきます。では鍵山相談役よろしくお願いします。

鍵山:今、人の心が荒れております。心のすさみは、ねたみ、ひがみ、それが発展して恨みとなり、それが凶悪な犯罪につながっていく。その一番のもとが心のすさみから始まります。心がすさんでくるとどうしてそうなるかと言いますと、まず心が荒れている人は忍耐心がありません。些細なことでも我慢ができない。
すぐに頭に血がのぼってくる。そういう状況になるんですね。そこで私は心のすさみというものをまず自分自身が持たないようにして、会社の人にも持たないようにしてもらいたいし、さらにそれだけではなく、社会にもそういうことを広めたいと思ってはじめたのが、「日本を美しくする会」なんですね。活動を通して、環境をきれいにすることが、まず心のすさみを抑制するもっともよい力になります。

環境が汚れて、ごみだらけで乱れていると、心が乱れてくるんですね。ですから、暮らしの環境、住まいの環境、職場の環境、それから少し離れている周囲を、少しでもきれいにすることによって心が穏やかになると私は信じています。現にそのことを通して、ありがたいことに荒れていた学校がみごとに立ち直ったとか、誰も手がつけれなかった非行少年がみごとに立ち直ったとか、なかには暴力団の下っ端が暴走族を操って上納金をめしあげていたなんてことをしていた人が、改心をして正職についたとか、そういうことが全国方々に起こることになりました。ですからこれは絶対に間違いないと信じています。

その忍耐心がどうやって壊れるかということをわかりやすく言った人がいます。佐賀県出身で作家の下村湖人という方です。作家というより哲学者と言ったほうがいいのですが、この方が書いた「青年の思索のために」という本にわかりやすく書いてあります。ちょうど私が22歳のとき、昭和30年にこの本を買って読みました。文庫本で当時は100円でした。「100円なんて安い!」と思いますが、安くはないんです。当時ラーメン1杯25円の時代だったので、ラーメンが4杯食べられたんですね。その当時は私はお腹が空いていてラーメン4杯のほうがよっぽど魅力的だったのですが、どういうわけか、ラーメン4杯の魅力を押しきってその本を買いました。買って良かったと思いました。

日本人の持つ美徳はたくさんあるのですが、下村湖人は4つあげております。忍耐、謙譲、調和、勇気。この四つの美徳は、土台でささえていないとこわれてしまいます。この土台のない人あるいは土台がもろい人はすぐに悪徳に変わります。美徳を保ちきれない、これがないと忍耐は怨恨の源になる。これが今の犯罪の大きな要素ですね。親子兄弟夫婦の間でも恨むんですね。命まで奪ってしまうんです。ちょうどこの本を読んだ時代は、私はある会社に勤めていて、先輩に散々虐められていたんですね。掃除をしているということだけで虐められたんですね。いろんな陰湿ないじめをうけながら、「私は間違ったことはしていないのに、どうしてこんな目にあうんだろう」と思って、ともすればその先輩を恨みそうになったんですね。そんな時代にこの本を読んで、私は悪徳の道に絶対に行ってはいけないと心に誓ったのです。謙譲は卑屈の姿、一見、謙遜的な姿ではあるけれども中身は卑屈である。調和は妥協の産物である。勇気ある粗暴の別名にすぎないと書いてあります。いずれも思い当たりました。

じゃあこの土台とは一体何なのか、人に対する愛と思いやりである。つまり他者への配慮、常に保てる人、これが土台になっている人は美徳を維持している。常に持ち続けていることができる。けれども人に対する愛、他者への配慮がない人は簡単に悪徳の世界に落ち込んでしまうと書いてあります。私はその当時、自分自身の境遇が思い当たることばかりだったんですね、そしてこの本のおかげで何があってもどんなつらい苦しい思いをしても、絶対に悪徳の世界に入らないようにしようと心に誓いました。それだけではなく、悪徳の世界にいる人を一人でも自分の力によって美徳の世界に導いていこうと、これが社会に対するもっとも大きな貢献であると思いました。

この薄い文庫本をボロボロになるまで読みまして、あまりボロボロになりましたので、昭和64年に再度買い直しました。今から20年前、48刊刷りになってましたから、いかにこの本が売れてきたか、しかしこんないい本なのに今は絶版になっていまして、もうでていないんですね。インターネットのオークションで¥100の本を¥3150で手に入れた方がおられました、もう一人の人は¥2100で買ったといっておられましたね。私も1冊持っていますがいくら¥5000で売ってくれと言われても売る気は全くないですね。そのくらい大切な本です。

今の世の中が荒れてきているのは、美徳の世界にいる人が少なくなって、どんどん悪徳の世界で生きていく人が多くなっているんですね。ですから悪徳の世界にいる人たちを逆に美徳の世界へ導いていく使命があると思います。それは理屈や論理ではない、日々の姿勢、活動の姿勢、考え方、心、そういうものでしかできないとそう思っております。

皆様方は教習指導員として1対1で人と対話ができます。この機会はまたとない機会ですね。この機会に美徳の世界へ導く機会がたくさんありますね。昔は自動車学校では心を荒らして帰すというのが多かったようです。でも最近では自動車学校の指導員の質が上がって、とても良くされることが圧倒的に多くなりました。またそういう状態じゃないと生き残れないですね。

そこで、私が指導員の方にお願いしたいのは、この教習課程を通して受講者に感動を与える。これをお願いしたいですね。なぜかと言うと、感動する心を持っている人は、忍耐力もあるし、積極性もある。でも感動する心のない人は消極的で何事にも躊躇して、何かをするのが億劫だ、特に良いことをするのが億劫だ、嫌だというふうになりがちです。

皆さんは感動と感激の違いがわかりますか?
人はよく「感動した!感動した!」と言いますが、あれはほとんど感動ではなくて、感激です。感激と感動はどう違うかというと、感激と言うのは外からの与えられた刺激に心が反応したということです。例えばサザンオールスターズの最後のコンサートに行って感動したというのは、あれは感動じゃないですね。熱狂的な舞台を見て感激をしただけですね。これはのちのち薄れます。感動というものは何十年たっても薄れるものではない。自分の心の中に湧き上がってくる。こういうものが感動です。皆さんには感激ではなく、感動を与える指導をしていただきたいですね。それには指導員の方々お一人お一人ご自身が感動できないといけない。これが大事ですね。自分が感動しないのに人に感動を与えることはできないわけですから、ご自身がそういう心を持っていただきたい。

今は、人間の心というのは、実によく伝わる時代になりました。昔は心で飯が食えるか、心はどうでもいいという時代が長く続きました。今は、心を非常に大事にするようになりましたし、わかるようになりましたね。心自体は見ることができないですね。しかしその人がとっている日頃の言動、表情、眼差し、態度、しぐさというのがその人の心を表していまして、すべて人に伝わってしまうという時代ですね。ですからまずはご自身が自分の心を人に伝えていいような心を持っているかどうか、ここからスタートしていただきたいですね。もし、やましい荒れた心を持っていたとしてそんなものを伝えたらとんでもないことになります。ご自身が人に伝えて恥じない心をもって、そこからスタートしていただきたいと思います。

NHKの大河ドラマを見ることがありますが、主役になった女性はほとんど目で演技をしています。目だけでものを言ってます。目の動きだけで十分、自分の意思、自分がどういうところに置かれていてどういう思いをもっているのか、パッと見るだけでわかる。だからすごい演技力だなと感心しますね。心というのはそういうところに表れてきます。とくに受講生は敏感ですから、指導者の心を一挙に全部感じてますよ。またとないチャンスですからそのチャンスをただ運転技術を指導するということではなく、人間として所詮どうあるべきかというところまで立ち入って御指導していただきたいと思います。こんなチャンスのある仕事は、他の仕事にはないんじゃないんでしょうか。

内海カ:そうですね。当校に入校される方というのは、18歳から22〜23歳の年代の方で、大人に変わる年頃ですから、人間としてアドバイスしてあげる絶好のチャンスですね。

鍵山:そうですね。ぜひこのまたとないチャンスを大きな力に転換をして活かしていっていただきたいと思います。

内海カ:ありがとうございました。せっかくの機会ですので、スタッフの皆さんから鍵山相談役に質問や感想などがあればぜひお願いします。

高野:そうですね。わたしがいるヒューマンスクール松浦はヒューマンスクール早岐に比べると入校生が少ないのですが、入校生が少ないと、出勤するときに足が重く、嫌々ながら出勤する事があります。でも仕事の前に、教えていただいたトイレ掃除や教室の掃除を汗びっしょりかきながら行ないますと、終わった後の清々しさは、いつのまにか嫌だった気持ちが、「さあ仕事をするぞ」という気持ちに変えてくれますので驚きです。

鍵山:そうですか、なぜそうなるのかと言いますと、人間というのは目は開いていても、心は寝ている。そういう状態になります。そうしますとね、すべて消極的、億劫になるんです。その眠っている心を起こすには自分自身に変化、刺激を与えないといけないんですね。変化を与えるというのも億劫なので、それがなかなかできないんです。でも掃除に取り組むと、自分の心に変化を及ぼすんですね、処理させるもとになるんです。

内海コ:先日、鍵山相談役の本「経営問答塾」の一部を読ませていただき、非常に重みを感じました。とくに教習の面を振り返った場合、検定にとにかく合格させないといけない、早く卒業させなきゃいけないという思いがあり、ついついテクニックだけを教え、どんどん先に進めていくような教習の中身だけを考えていました。一番肝心の部分を教習生の方々に伝えていこうという姿勢が抜けていると感じました。相談役のお言葉で改めて思い起こし、また心までの質を求められているというところを痛感しました。18歳の年齢の方からご高齢の方まで幅広くお見えになっていますので、改めて自分を切磋琢磨していこうと思います。

鍵山:1教程終わったあとに今日の受講者の運転について、「あなたは今日はこういう運転でしたよ」という統括のお話はされるんですか?

内海コ:はい最後のところで、総評をしますし、車を降りたあとは、教習中はどうしても厳しいことを言わないといけないこともありますから、降りたあとにフォローしたりしますね。

鍵山:そうですか、それがとても大切ですね。運転中はなかなか難しいですよね。運転が終わってから、指導員が、「今日のあなたの運転の癖はこういうところにありましたよ」と、教習生がこれから何十年も運転をされていく中で起こしそうな事故を未然に阻止をしてあげる、そういう指導の仕方をしていくと、この指導員は私の先のことまで心配してくれていると感じて、これが信頼に繋がっていくんですね。

内海カ:綾部校長はいかがですか?

綾部:私はこの会社に入社して約2ヶ月ですが、教習の難しさというのも十分にわかってきましたし、相談役が言われますように、人を更正させるためには、地道な取り組みが必要であるということ、更には、更正して貰いたいという思いが内面から自然に滲み出るような心を持っていることが一番大切だと思いました。

内海カ:そうですか、前田教頭はどうですか?

前田:はい、今日はありがとうございます。私は青少年の犯罪というのは、子供の親が十分に親になれていない、子供のままの状態で子供を育てる、だから未熟な人間が増え犯罪が起こっていると物事を片づけていたのですが、お話を聞いて忍耐力というのが一番大切なんだと改めて感じました。そのためにも心が歪まないようにきちんとしていかなければいけないということに気づかされました。また、悪徳の道に少しでも足先が入らないようにしていきたいと思いました。ありがとうございました。

(後編に続く)

朝永のつぶやき

最後まで読んでいただきありがとうございます!ここからは、担当が今回のトークを読んだ感想をまとめたプチコーナーです♪

今回は鍵山 秀三郎様をゲストにお迎えし「心のすさみ」を抑制する方法についてをお伺いしました。

お話を読んでいて、コロナ禍であったり国際的にも様々な問題が起こっている現在にも当てはまる部分がたくさんあるように感じました!

やはりネガティブな感情は周りにも自分にもよくないですよね。全ての人がコロナなどで悩まされている現在、ストレスが溜まってしまい、つい人の悪いところに目がいったり、ネガティブな気持ちになってしまうこともあると思います。

そんな時に、お話に登場した「掃除」のような自分の心の平穏を保つことができることを見つけておくことが大切ですよね!

自分の心をいい状態にリセットするために、私ももっと「掃除」に力を入れてきたいと思います(^-^)


それでは今回はこの辺で!また次回お会いしましょう。

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