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「大村湾の美しい風景に見せられて」後編 対談者:ハウステンボス設計士 池田武邦様

皆さまこんにちは!ヒューマングループnote編集担当 朝永です(*^-^*)

今回のヒューマントークは、先週掲載したハウステンボス設計士 池田 武邦様との対談の後編です!

前編は下記のリンクからご覧になれますので、後編の前に読み返したい!前編をまだ読んでいない!という方などはこちらからご覧ください♪

2003年にヒューマンニュースレターに掲載した、池田 武邦様とのトークを当時の文章で掲載いたします。


「大村湾の美しい風景に見せられて」後編

note ノート 記事見出し画像 アイキャッチ (5)

内海:オランダ村に最初風車が建った時からずっと見ておりますが、オランダ村構想というのは最初から※神近さん(ハウステンボスの創業者 神近義邦氏)が構想をされていたのですか?

池田:最初はレストランの改装計画からちょっと大きくしただけなのです。そんな大きなことは最初っから考えていたわけではなく、だんだんだんだん夢が大きく膨らみ、それがハウステンボスになったのです。

内海:今あるハウステンボスの場所というのは、水も無いし難しい土地でしたからハウステンボスが出来たことは私ども地元早岐の住民からすると非常にラッキーでした。

池田:もしそこに工場が出来ていたら大変です。工場の排水処理が悪かったら大村湾はたちまち汚れていたでしょうね・・・。

内海:そうですね。日曜日の夕方、家族でよくハウステンボスに食事に行くのですが、あの緑や運河を見ていると、私達からすると非常にラッキーだったと改めて思います。

池田:私達にとっても非常に良いチャンスやタイミングでした。とくに銀行・企業様が支援してくれたからできたのです。(経営的に厳しい状況ですが、あの環境は誰も壊すわけにいかないから・・・。)

内海:あれだけのものを創るプランニングというのは相当のエネルギーが必要ではなかったかと思います。

池田:そうですね。超高層ビルを建てるのと同じで、色んなエンジニアが集まり、一緒になってやらなくてはいけませんね。今の計画というのは専門がものすごく深くなってしまっているので、一人ではカバーできません。その為には明確なポリシーが必要なのですね。明確なポリシーがあるとどんな立場の人でもそのポリシーに対してどうであるかということで共通の道ができる訳です。だからビッグプロジェクトになればなるほど皆が納得し共鳴できるポリシーで、しかも社会が基本的に望んでいるポリシーが重要です。それがないとできませんね。
僕はそのポリシー作りをやっていたようなもので、あとは専門の技術者の方々達が大勢集まってやってくれたのです。

内海:ハウステンボスのポリシーというのはやはり環境都市ということですか?

池田:そうです。とにかく日本の自然を大切にするということ、蘇らせるということです。
ある意味では・・・国土防衛ですよ。
僕が太平洋戦争で日本の国土を守るために戦争に参加した目的と同じです。日本の国土を日本人が平気で経済に置き換えて壊しているから、今度の会社更生法だって経済が不良債権と、とんでもない楽行をしてしまったんですよね。少なくとも自然を回復させる蘇らせるポリシーは、オーダーとして30年待ってもらわないといけないのです。
30年の期間で経済的にどうかという評価なら充分に勝負できます。10年でしかも単年度決算でまた赤字だと、不良資産だと言って平気で潰してしまうということは、日本の将来は非常に危ないという事になりますね。

内海:私達も単年度の決算書を見ながら一喜一憂ちょっとしすぎかもしれませんね。

池田:でも一般市民の方々は直感的にわかって下さるから非常によくサポートしてくださってますね。

内海:※226事件(ハウステンボス会社更生法申請)以降すさまじかったですね。私達ができることはハウステンボスにお客様を出来る限り呼んでいきたいとそう思っています。

池田:それはもう本当にありがたいことですね。

内海:こちらのご自宅は先生が設計されたのですか?

池田:30年間春夏秋冬ずっとみて設計しました。普通だと南に太陽がくるようになっているのですが、ここは南が山ですから、日当たりはあまり良くないのですが、でもこの山があるから台風の時などは全く大丈夫です。海は凄く荒れるのですが、建物は全然平気ですね。その土地を完全に読みきれないと家造りは難しいですね。

内海:住んでみて初めてその土地のこととか自然のよさがわかるからですね・・・。最後にハウステンボスに対する思いをお話していただきたいのですが。

池田:私達のご先祖様が何千年も守ってくれた自然環境を戦後、ドンドン壊して、経済に置き換えて、高度成長とか経済大国なんていうことに力を入れてきました。僕はその張本人の一人なのですが・・・超高層建設などをしてきて、その誤りに気がつき、日本の国土を日本の自然を守らなければならないと思いました。

一度我々の手で壊した自然を回復させるにはどうしたらいいか、大変膨大な資金とそれにかかわる人間の動力、日常のメンテナンスというのが必要です。回復させるには、作法をもった対応の仕方というのがとても大事になるのです。

それをハウステンボスは実践したつもりです。その実践の結果、生態系が以外に早く、ハヤブサとかコムラサキが自然に蘇ってきました。僕らが予測しないくらい10年という非常に早い期間で蘇ったのです。
この九州という土地は自然環境に恵まれたところで、人間が手助けすれば、早く回復できることを実証できたということですね。
これからこの環境を育てていくことでハウステンボスを1つのモデルとして、全国に拡がっていけばいいなと思います。

皆様がハウステンボスを見てどの程度理解していただけるかということが今後の課題だと思うのですが・・・。私としては、日本の21世紀の一つのモデルケースとしては、かなり良い結果がでてきていると思うのですが・・・。それは、もちろん従業員の皆さんの大変な努力もさることながら、ハウステンボスをサポートして下さっている多くの方々のお陰で、着々と地についてきているものと思うのです。
なかなか口で言ってもわかるものではなくてね、やはり直接行って体感していただければとても大事と思っていただけると思います。
これからもハウステンボスは地元の方々に支えられて、健全になっていくことを期待しています。


※池田 武邦 様
・日本設計名誉会長
・池田研究室代表
・ハウステンボス環境文化研究所所長
・長崎総合科学大学教授工学博士
・日本初超高層ビル霞ヶ関ビル・京王プラザホテル・新宿三井ビルなどの超高層建築設計建築家
・オランダ村開発、ハウステンボス計画設計者

著書『大地に建つ』
  『ハウステンボス・エコシティへの挑戦』
共著に『建築技術』
  『モデュール』
  『超高層建築』などがある。


朝永のつぶやき

最後まで読んでいただきありがとうございます!ここからは、私がヒューマントークを読んだ感想をまとめたミニコーナーです。

今回のトークは、ハウステンボス設計者 池田 武邦様とのトークを2週に渡ってお送りしました!

前編・後編ともに大村湾・ハウステンボスをはじめとした「自然」に関する内容でしたね(*^-^*)

後編では特にハウステンボスについてのお話だったので、アイキャッチにヒューマンバスのドライバーが撮影したハウステンボスの風景を使用しました!

SDGsの影響で持続可能な開発や環境についての注目が集まっているなか、美しい日本の自然を回復・維持を目標とした環境都市というポリシーのもと、何十年も前にハウステンボスが作られたということにとても驚きました。

地球環境を守るために自分にはなにができるのか、改めて考えてみようと思います♪


それでは今回はこの辺で!また次回お会いしましょう(^o^)/


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