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福島の酒蔵へ行ったら小高が好きになりました。<後編>

※前回からの続きです。


さて、最初の一杯目。

まず、スタッフさんに相談して決めました。そして選んだのが全麹IPA。

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大きな特徴は、「全麹仕込み」と「ダブルドライホップ」。
一般的な日本酒では米麹20%・蒸米80%で仕込むところを、今回は「全量米麹」で仕込んでいます。甘みや酸味、うまみをお米から存分に引き出し、ホップの特徴に負けない厚みのある味わいに仕上げることができました。
また、厚みのあるお酒にホップの香りを強く絡ませるため、haccobaとして初めて「ダブルドライホップ」という2度にわたり多量のホップを投入する技法を取り入れました。
haccoba公式HPより引用

100%麹から造られたどぶろくです。色味が紫色なのは、ホップのポリフェノール由来。非常にスッキリとしていてジュースのようなフルーティさもあって飲みやすい。一杯目にもぴったり!

とりあえずお酒のおつまみになるものを選ぼう!と鶏肉のニラソースがけとおでんを注文。

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鶏肉のニラソースがけ。鶏肉はしっとりとした食感。ごま油がいい塩梅です。

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おでんには鴨だんごやこんにゃくなどお付き合いのある場所の食材を使用されています。素朴な味わいながら紹興酒にもぴったりなおつまみ、おでん。どぶろくもグビグビと進んでしまいますね。

お酒は2杯目。はなうたドロップス。

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かつて東北に伝わっていた どぶろく製法 ”花酛”(はなもと)を再現したお酒。いまや幻とされる花酛で実際に使われていた東洋のホップ “唐花草” の軽やかな苦味を加えることで、お米と麹のやさしい味わいを際立たせたどぶろくです。

お米がもつ和三盆のような甘みを引き出す黄麹に、レモンのような酸味が特徴の白麹をブレンドし、甘酸っぱい味わいに仕上げました。発酵由来の自然な発泡感もあるため、爽やかにお飲みいただけます。
お米と麹と唐花草、素材のピュアな味わいをお楽しみください。
haccoba 公式HPより引用

爽やかな酸味とコクがあってすぐに無くなってしまいました。WEBでは売り切れになっていますね。

すぐさま3杯目。「おこめのスタウト」。これが面白かった!

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日本酒にとっては異文化である "スタウト(黒ビール)" の香ばしさと深いコクを取り入れたいと考え、米麹を焙煎して仕込みました。米麹のもつ甘みやうまみは、焙煎により深みのある味わいへと変化させています。また、カラメルのような香ばしさをお米で表現することにも挑戦しました。

ベースとなる日本酒の製法は、地域性を活かし、古くから東北に伝わる "花酛(はなもと)" で仕込んでいます。東洋のホップ「唐花草(からはなそう)」を発酵初期に使用する製法です。また、江戸期の醸造法に影響を与えたともいわれる乳酸発酵茶の「阿波晩茶」も唐花草と同時に使用しました。唐花草と阿波晩茶により、クリアな甘さの中に、ふくよかでビターなうまみのあるお酒に仕上がっています。
※haccoba公式HPより引用

これ、黄酒の即墨老酒と共通する風味(スモーキー感)があって、日本版ジーモウだ!と1人感動していました。


↓自宅でジーモウとブルーチーズをペアリングしたときの写真

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4杯目。また個性的な「なわチャイ」。

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甘く煮出したミルクティーにスパイスを加えたインドの飲み物、マサラチャイ。その魅惑的な美味しさを、お米のお酒で生み出すことにチャレンジしました。

チャイのもつやさしい甘みとミルキーさをどぶろくで表現することにより、砂糖やミルクを使わずに醸造しています。使用する紅茶は、強いコクが特徴のアッサムティーを選定しました。また、カルダモンを中心にスパイスを構成することにより、爽やかな余韻が広がる味わいに仕上げています。
お米の甘みの中にスパイスの香りが広がる新感覚の味わいを、ミルクティーのような色合いとともにお楽しみください。
haccoba公式HPより引用

スパイシーだけどまさにミルクティーのようで、これもまた瞬殺。どぶろく楽しいな!

ここでまた新しいおつまみをお願いしました。「へんじんもっこの生サラミ」。生のサラミっていうのが珍しいですよね!ドイツでは一般的なのだとか。

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一番左のサラミはふんわりしっとりとしていて独特な食感。(それぞれがどんな違いがあるのか忘れてしまいました・・・)すっきりめの紹興酒に合いそうだなぁと思いました。

ひと通りhaccobaのどぶろくは飲んでしまったので、別の日本酒をチョイス。「宝船浪の音ヒトメボレ90」。

精米歩合90%とあまりお米を削らない日本酒で、アミノ酸由来のさまざまな複雑味が感じられるのかと思いきや、非常にスッキリとしていてフルーティ感もあり!紹興酒も同じぐらいの精米歩合ですが、複雑な風味と精米歩合ってあまり関係ないのかな?と気付かされた一杯です。日本酒も黄酒も、造り次第でいろんな味わいが生み出せるんだなぁと。

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このポテトサラダ、美味しかったなぁ。漬け物が入ってて食感も楽しい。ポテトサラダも紹興酒のおつまみとして結構イケるんですよね〜。

お酒はホップどぶろく「木花之醸造酒」。本当にマスカットの香りがする!ホップの使い方でマスカット臭が出せる、だっけな?佐藤さんが説明してくれたのですがもうこの辺り、フワフワフワしておりましたね・・・

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ずっと飲んでみたかったWAKAZEのお酒も飲んでみました!なんか、ジンみたい?蒸留酒のような味わいを感じて独特。酸・塩・苦味を抽出するような製法で生み出されたらしい。これもまたホップ使用。またポリフェノール由来の鮮やかなピンク色。日本酒はチャレンジングな姿勢が見えて羨ましい!


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〆はカレー。女将の佐藤さんが東京のカレー屋さんで修行して誕生した本格カレー!チャイのどぶろくは、これに合うお酒として考えられたということで、再び注文しました。


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カレーは濃厚な味わいをイメージさせる外見ですが、思いのほかさっぱりとしていてスルスルとスプーンが進みます!チャイの味がカレーに乗っかってきて完成という感じですね。美味しかったです。あっという間に無くなりました。


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1杯60ccぐらいでワンコイン。いろんなお酒を飲みたい人には嬉しいですね。たっぷり食べ飲みして7000円ぐらいでした。満足!

1人でぼーっとしていたら周りのお客さんたちが帰り始め、本当に1人になってしまいました(笑)お会計をしながらhaccobaのみなさんとお話ができました。


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僕が1人で福島へ行った理由。

今回、僕がhaccobaに行こうとした理由は、酒を自由な発想でクリエイティブしているのが面白いなぁとずっと気になっていたのです。黄酒において何かヒントになるんじゃないかなと思っていました。

黄酒は「穀物」を主原料とした中国の醸造酒です。日本酒のように、うるち米だけではなく、もち米、キビ、モロコシ、古代米などさまざまな原料を使用します。麹も麦だけじゃなくて、紅麹や薬膳を粉末にして混ぜ込んだり、さまざまです。

黄酒の世界には、いろいろな原料を使用して造るクリエイティブな酒文化は、自然と醸成されている(止まってしまってもいるのですが)僕は黄酒の面白さはそこにあると思っていたし、haccobaさんのような酒造りを見て、何か通じるものを感じて、直接感じてみたいなと思い、訪問させていただきました。

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僕が本当にやりたいことにも通じるものがあり、おこがましいと思いながら酒の勢いもあってポロッとお話させて頂きました。お話させて頂く中で、僕の中に育っていた種からポンっと芽が出たような感覚を得ました。

驚いたのが、彼らの口から「黄酒」というワードが自然と出てきたことです!しかも、「即墨老酒(青島の黄酒)買いました!」「百吉(内蒙古の奶酒)面白いですよね!」と既に呑まれていらっしゃって、「僕が売っていたお酒たちです!」とテンションがさらに上がってしまいました。

都内でも他の人の口から黄酒という単語を聞けることなんてないのに、福島で聞けるとは思ってもいませんでした。

ちなみに「百吉と似ている日本酒がある」とお聞きして探したところ、完売ばかりで入手困難。ダメ元で友人に聞いてみたら「お店に置いてるよー」というので先日呑みにいってきました。「光栄菊」という日本酒です。確かに百吉に似てる!クリビツ!



話がずれましたが、本当に、小高へ行って良かったなぁと思います。


帰りは歩いて帰ろうと思っていたのですが「めっちゃ遠いです!送ります!」と、結局宿まで送っていただきました・・・後藤さん、ありがとうございました。

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この日の夜にアップしたほろ酔いYouTubeライブはこちらです。僕はあまり見たくないので見返していませんが、隣の部屋に迷惑がかからないよう静かに興奮しておりました(笑)よかったらぜひ(笑)



翌日も、宿から駅まで管理人の近藤さんに送って頂いてしまいました。しかも無言で、フルーツ・オレまでくれました・・・かっこよすぎます・・・本当、感謝感謝です。

実は前日の夜も「22時くらいなら待っててあげるからタクシーが捕まらなかったら電話してくださいよ!」とおっしゃってくれてたのです(優しすぎる)

さすがに申し訳なかったのでhaccobaで呑んでる途中「歩いて帰れそうなのでもう寝てくださいね!」とメールしました。そしたらもう既に寝ていました(笑)

優しさにたくさん触れさせていただきました。ありがとうございました!


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小高、干杯!下次见!

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