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【第5章】50代社員の活躍を急ごう|ミドル・シニア社員の生産性を上げるための人事の仕掛け

最終更新日:2024年5月23日

本連載では、当社マネジャーの柳瀬大地が「月刊 人事マネジメント」にて執筆した、企業業績向上のための50代社員の活躍を引き出す人事の仕掛けを分かりやすく紹介いたします。

本記事では、近年企業が対応を迫られているDXを前提に置きながら、デジタルリテラシーについてご説明します。

*本記事は、10分以内で読むことができます。

「50代社員の活躍を急ごう|ミドル・シニア社員の生産性を上げるための人事の仕掛け」は、全6回にわたる内容ですので、ぜひ全てご覧いただけると嬉しいです!

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スキルアップ教育(デジタルリテラシー編)

第4章では、50代社員に求められるスキルの1つとして、「ポータブルスキル」をご紹介しました。

ポータブルスキルは「対課題スキル」「対自己スキル」「対人スキル」に大別される、特定の業界や組織によらず有用なスキルです。
ビジネスパーソンが企業の成長に貢献しながら活躍するために必要不可欠なスキルといえます。

今回は、近年企業が対応を迫られているDXを前提に置きながら、ポータブルスキルの発揮度をさらに高めるための重要な要素となる「デジタルリテラシー」についてご説明します。

それに加え、社員のデジタルリテラシーの習得に向けた、会社の取り組みポイントもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧いただけると嬉しいです!

全社員に求められるデジタルリテラシー

近年、社会構造や働き方の変化などによって、消費者行動の移り変わりが早くなり、かつ多様化しています。
また、テクノロジーの急激な進化もあり、ビジネスモデルも激しく変容しています。

こうした環境下で企業が成長していくためには、DXの考え方の理解と実践が求められます。
すなわち、デジタル技術を理解・活用して、業務プロセスや事業モデルを変革しながら顧客ニーズに応えられる製品やサービスを絶えず生み出し、市場における競争優位性を獲得する必要があるのです。

ここでポイントとなるのが、消費者のニーズや業務における改善点等をいかに「早く」「正確に」把握し、対応できるかどうかです。

国内企業では伝統的に、デジタルに関する知見やスキルをITベンダーに外注したり、社内のIT系の部門に集約するなどしてきました。(図表)

これは現状の組織を維持する観点では合理的な方法ですが、現場レベルでデジタル人材が不足するため、デジタル部隊と現場との連携の不備を招きます。
結果として環境変化への対応が遅れ、ビジネスチャンスを失うことにもつながりかねません。

そのため、環境変化に「早く」「正確に」対応していくためには、デジタル部隊だけでなく、現場の社員にもデジタルに関する基礎的な知識、すなわちデジタルリテラシーを獲得してもらう必要があるのです。

デジタルリテラシーとは

デジタルリテラシーは一般的に、最新のデジタル技術を理解・活用し、生産性の向上やビジネスチャンスの創出・拡大に結びつけるために必要な能力を指します。

プログラミング言語やシステムコマンドを使いこなせるような高度な専門性は必要なく、デジタルに関する基本的な知識を「知っている」「リスクに注意しながら使いこなせる」レベルの知見を意味します。

具体的な中身について、経済産業省が発表している「DXリテラシー標準」を参考に以下の通りに整理しました。

①DXの重要性を理解するために必要な、社会・ユーザー・競争環境の変化に関する知識

②ビジネスの場で活用されているデジタル技術に関する知識、基礎的な確率・統計の知識やデータ分析・データ抽出・加工方法など、AI・クラウド、ハード・ソフトウェア、ネットワークの基礎的な仕組みや活用可能性などのデジタル技術そのものの知識

③ビジネスの場でデータやデジタル技術を活用する方法や留意点に関する知識・デジタル技術活用の際のセキュリティやモラル、コンプライアンスに関する知識

現場社員がこうした知識を身に付けることで環境変化を自分事としてとらえ、自発的な行動を起こすことが期待されます。

50代社員へのデジタルリテラシー教育の必要性

50代社員の方々の若手時代は1990年代です。
当時はIT化が進み、インターネットやハード・ソフトウェアに関する基本的なデジタルスキルも蓄積されてきた世代です。

ただし近年、AIやクラウドなど新たなデジタル技術の社会への実装が急激に進んでいるため、デジタル技術の進化にしっかりキャッチアップし、日々スキルをアップデートしていく必要性が増大しています。

昔分かっていたから今も大丈夫」という状態ではありません。

50代という年代に関わらず、個々人の意識が高ければ、経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が開設しているポータルサイト「マナビDX」などを活用し、独学でデジタルリテラシーを学ぶことは可能です。

しかし、多様な選択肢のなかから自身の学びに必要なコンテンツを特定し、 継続的に学習することはなかなか難しいことです。

そもそも、個人に学びを任せてしまうと、企業側も社員個々のデジタルリテラシーの習得状況を把握できず、組織としてのデジタルリテラシーを高めることが難しくなります。

こうした課題を解決し、デジタルリテラシーを従業員に習得させ会社の成果につなげる取り組みとして、リスキリングがあります。

リスキリングでデジタルリテラシーのアップデートを図る

リスキリングは、会社主導のもと、継続的な実施により組織全体のスキル向上につなげることを目指します。

外部のeラーニングコンテンツを活用して実施するケースが多いのですが、その際、会社の事業環境や現状の課題、予想される市場変化などを把握し、全従業員が備えるべきスキルを特定したうえで、獲得に向けたコンテンツを充実させる必要があります。

デジタルリテラシーについては、 デジタルに関する基本的な知識であり、業種や部署を問わず汎用性の高いものであるため、先ほどご説明したデジタルリテラシーの具体的な中身を参考にしながら、外部コンテンツを積極的かつ有効に活用するようにしましょう。

ポータブルスキルとの一体的管理で効率を上げる

環境変化に対応し、生産性を向上させ、ビジネスチャンスを創出・ 拡大させるためには、デジタルリテラシーだけでは不十分です。

デジタルリテラシーを前提としながら事業変革に結びつける課題解決能力、すなわちポータブルスキルも必要な要素となります。
前章にて解説したとおり、ポータブルスキルもオンラインでの学習が有効ですので、デジタルリテラシーと一体的な管理を目指しましょう。

まとめ

第2章ではスキルの可視化、第3章では自律的なキャリア志向に基づくモチベーションの向上を、そして前回と今回にわたり、リスキリングを通したポータブルスキルとデジタルリテラシーの獲得についてご説明してきました。

どれも社員自身の活躍を実現するために必要な仕組みではありますが、同時に会社が積極的に支援していくことも必要不可欠です。

最終章である第6章では、50代社員の活躍を促すために、会社としてどのようなバ ックアップができるのかについてご紹介しますので、ぜひご覧ください!


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