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『植物ヲタな料理男子が、異世界で王立海軍の専属料理人になりました! / 遠坂カナレ』(コスミック文庫α)を読んで。

はじめましてこんにちは。自称本好きの春風ともうします。

前回の投稿で感想を書いたシリーズものの小説は発売されたのが数年前でしたので最近発行された本から、遠坂カナレ先生著の『植物ヲタな料理男子が、異世界で王立海軍の専属料理人になりました! 』(コスミック文庫‪α‬)の感想を書いていきたいと思います。押忍。

 ―― 注意 ――

・感想を書くにあたりこの記事内では作品の内容に関わる #ネタバレある程度しています。事前になにも知りたくない方はご注意ください。

・タイトルが長っ! 失礼いたしまして記事内の一部におきまして『植物ヲタな料理男子』と略しております。


◆植物ヲタな料理男子が、異世界で王立海軍の専属料理人になりました!  / 遠坂カナレ

(あらすじ)料理研究家だった祖母が大切にしていたハーブ園で、木にひっかかっていた大きな翼が生えているうさぎを助けようとした高校生の優馬はバランスをくずして異世界に落っこちてしまう。うさぎは異世界の『生命の森』を守るために、優馬の祖母を勧誘しにやってきた天使らしいが失敗して優馬をつれてきてしまったのだ。あせる優馬だったが、とりあえず『生命の森』を破壊しようとする海軍から森を守るために、植物と料理が好きな優馬は、森の素材を使った料理で隊員達の病気を治す約束をしてしまい―!?

◇コスミック文庫αの本は初めてです

以前の記事であれだけ『富士見L文庫』を持ち上げておいて他のレーベルです。色々読みます、表紙がイケメンなら。だってしょうがないじゃんイケメンなんだし。ただしBL以外をお願い…… #弱腰

見たことがないレーベルだなぁと思って調べると創刊は2015年と意外にも前。そういえば『神様の子守はじめました。 / 霜月りつ』は本屋で見たことがあります。わたしの認識不足でした。なにを隠そう第一の趣味は睡眠でして起きてるときさえ目をつぶって生きてるような人間の言うことはあまり気にされないでください。

コスミック文庫αは発行してる本の数が少ないようです。たとえば2020年が11冊、2019年が14冊。シリーズものの発行が多いようで『植物ヲタな料理男子』も続きがでないかなぁ。この話はあとにまわします。

ライト文芸は競争が激しく、書店では日増しにひとつのレーベルに本棚の幅を取れなくなってきているように思います。見逃さないようにしていかないとですね。

◇表紙から誤解していた

表紙というより、装丁題字の書体でしょうか。この表紙の雰囲気、大判(B6判)の本に多い見た目にしかみえません。

単行本、なかでもソフトカバーと呼ばれるもので定価が1200~1500円ほどするものです。なかなか初見(表紙買い)では挑むことのできない価格帯。買いたい本があるわけでもないときは大判コーナーに近づかないです。ウィングスノベルをたま~~に買って、現在集めてるのは『穏やか貴族の休暇のすすめ / 岬』くらいでしょうか。ライト文芸は文庫で650円くらいなので財布に優しいですね。

植物ヲタな料理男子』をラノベの杜(https://ranobe-mori.net/)で見かけたものの、高くて買えないよーと泣いていた本でした。しかしなんと書店をさまようとライト文芸のコーナーに見覚えのある表紙の本があるではないか。気付いたら普通に『植物ヲタな料理男子』買ってました。徘徊とは大事です。

◇作者は遠坂カナレさん

初読みの作家さんです。折り返しの作者紹介より、

愛知県出身。エブリスタ小説大賞2018でメゾン文庫賞を獲得。翌年『おとこまえ天狗のあやかし学食ごはん』(一迅社)でキャラクター文芸デビュー。ごはんもの、バディものなどを中心に執筆中。

◇読む前から遠坂カナレさんを知っていた

といいましても知り合いとかじゃないです。Twitterでお見かけしたことがある、という程度ですのでご注意を。

遠坂カナレさんのTwitterアカウント( @kanare_t )

わたしもほぼ見る専の知人としか交流してないTwitterアカウントを持っておりまして、そちらで中村ふみ先生の本についてをツイートしたときに、いいねやRTをしていただいていた方が遠坂カナレさんでした。中村ふみ先生といえば男二人のバディモノが代名詞の作家さん。遠坂先生もお好きなのかなと思っておりました。

遠坂カナレ先生の既刊を見てみると、

メゾン文庫が創刊されてわりと初期に見た作品です。くにみつさん( @9nimi2 ) の表紙で気になっていたんですが購入資金がなくてですね。くにみつさん、ごはん、『卯ノ花さんちのおいしい食卓 / 瀬王みかる 』(オレンジ文庫)を思い出さずにはいられない。あれは良作だった。

とある界隈の方々に御用達の二見サラ文庫。語るに及ばずでした。

表紙を見ただけですとイケメンがいるっぽい。私が『植物ヲタな料理男子が、異世界で王立海軍の専属料理人になりました! 』が気になったのも表紙から男二人のバディモノではないのか?と思いましてからの興味でした。

◇登場人物とキーアイテム

・高瀬優真(たかせゆうま)

本作主人公。異世界ではユーマと呼ばれることになる17歳の男子高校生。両親を事故で亡くして以降祖母に育てられる。植物好き料理好きは祖母ゆずり。祖母が亡くなった日、彼女と間違われて『生命の森』の守護者としてうさぎっぽい謎の生き物ミルルと一緒に異世界に落っこちてしまう!? が、植物だけを好きだった引っ込みじあんのユーマに森の守護者になれるだけの素質はなかったのです。偶然出くわしたロレンツォ殿下やお付きの人達に植物の知恵を生かした自慢の手料理を振舞ううちに国の中でも存在感を示したり国同士の争いにも巻き込まれたり他にもいろいろ。チャームポイントは泣きぼくろ。

・ミルル

うさぎの見た目に翼が生えた自称『天使』。まじで天使らしい。ウタガッテナイヨ。『生命の森』の守護者の選抜して召喚したあとにはアシスタントをするのがお仕事。ユーマ以外には姿は視えない。都合のいい記憶操作、意思操作のちょっとした魔法も使えるし、神様のいる天界にもいけちゃう、なんだかすごーい謎の生き物。ただし食べ過ぎると太るらしい。ユーマと出会ってちょっと太った。天使とは。

・ロレンツォ殿下

ユーマが降り立った王国・リオーネの第一王子、王位継承権第一位。姉二人と弟一人がいる。19歳。王族とは思えないほど順応力が高い心やさしい有能お兄さん。リオーネでは子どもにしか見えないサイズのユーマだが初対面のユーマの話を真面目に聞こうとしていたのはロレンツォ殿下だけである。名実ともに優秀なものだから国民にも愛されまくる。実は甘党。ユーマは彼の胃袋を完全に掴んでいる。優秀過ぎて書けることはないがひとつ弱点は女性が苦手らしいがユーマには気軽に抱きつくし手も握る王子。

・魔石

他にもあるけどこれだけ紹介します。物語のちょっとしたキーアイテム。生命の森のエネルギーが生み出す天然石。魔石に魔力を込めて使うと火力調理や燻製など、はては軍事力にも使えたりする便利な石。しかし魔石に魔力を込められるのは王家の血を引く一部者のみ。その魔力が群を抜いて最強なのがロレンツォ殿下。火の魔法が得意だ。他の国には氷の魔法が得意の人もいたりするよ。

◇装画は鈴倉温さん

主にはBL小説の表紙で活動をされている方のようです。

『植物ヲタな料理男子』については登場人物の見た目は表紙の印象がかなりそのままだと思います。ロレンツォ殿下のつやぷるのくちびるが直視できない。

ミルルがかわいいけど、さすがに太ると悲惨そうなのでユーマはミルルの食べ過ぎに気を付けてあげてほしい。注目したいのはユーマの×××の色。読後にあれ?と思い、気付きました。読み終わった後にも見て、ふふっと楽しくなる表紙はよきですね。

◇序盤はゆるふわ、中盤は戦火、終盤は壮大、ラストは甘々

異世界転生モノらしく、序盤はやはり手近な人々に自分の能力を認めてもらわないといけないのでユーマもそんな感じにがんばりはじめます。ロレンツォ殿下やお付きの人達、海軍兵さん達に料理をふるまって、収穫祭のメインのお菓子職人にも選ばれて、国王陛下や国王妃殿下や弟王子のブルーノなど、あれよあれよと国家の中枢の胃袋を掴んでいく。最初にロレンツォ殿下が興味を持って話を聞いてくれなかったらどうなっていたことか。それも含めて命運だと感じます。

ロレンツォ殿下は普段から国民やそうでない人でもひとりひとりの声に耳を傾けているんだろうということがうかがえます。こんな絵に描いたような王子様が次期国王ならリオーネは安泰そうです。

しかしそうともいいきれず。リオーネは魔石が豊富で周辺諸外国に狙われる存在でもあったのです。彼の率いる海軍で海の見回りにユーマが料理人としてついていくあたりが物語の中盤。ロレンツォ率いるユーマの乗る船はゴーリオという巨大国家の奇襲にあってしまいます。ゴーリオの国王・エグゼビア陛下はロレンツォ殿下の弟王子を人質にして魔石を寄越せといってくるし、ユーマとミルルがゴーリオでまた魔石が採れるようにしてあげれるよ、というと、もしできなかったら魔力最強のロレンツォ殿下を置いて行けという、なんともいい趣味している国王陛下なのである。

ロレンツォ殿下を我が物に。なんだよ、王様になるような男って夢もでかいんだな!? 30代半ばの秀麗眉目。今の時節だとレ〇ナかマ〇ウスを想像しておけばいいんじゃないでしょうか。それにしてもその夢ちょっと見せてほしいな。ダメなのかな。

さて終盤はそんなこんなで世界を救っていくことになります。世界というか、リオーネとゴーリオのそれぞれの国を、ですね。ゴーリオは国力を増大させたいがゆえに無暗に森林を伐採し過ぎてしまっている状態です。人間は知らないことなのですが『生命の森』のもたらすエネルギーで、作物は育つし、魔石もできるんです。滅びるしかないゴーリオ。リオーネを攻めるしかないゴーリオ。リオーネだってそれは困る!ゴーリオの生命の森の守護者を叩き起こすしかない。さて、ユーマの料理で世界が救えるのかどうか!?そしてそしてロレンツォ殿下の行く末は!? と詳細は省くのでぜひ小説をお買い上げの上、『植物ヲタな料理男子が、異世界で王立海軍の専属料理人になりました!』を存分におたのしみいただければと思います。

ラストにはユーマとミルルの住む小屋にロレンツォ殿下がお忍びで訪ねてきたりするお話が。この王子、甘党王子なんであまあまと題しました。深い意味はないです。

◇細かいところを突っ込むと面白くないということを教えてくれる

『植物ヲタな料理男子』もそういう話です。わたしは『なろう系』を読まないので特に感じてしまうほうだと思います。

違和感はあります。ユーマ、17歳にしては知識がありすぎる。スマホや本も手元にないのに彼の知識はものすごいです。植物も料理も専門的。これには突っ込みたい人もいるのではないかと思います。わたしだってほんのすこし思いました。あとはロレンツォ殿下の順応力もちょっと心配になります。悪い奴に騙されたりしないのかな、ドキドキ。

とはいっても芦田愛菜さんとサンドウィッチマンさんがMCをされているテレビ番組の『博士ちゃん』(略)には10代かそれ以下かで専門家も唸るような専門知識を持っている方を散見するのでユーマもこの番組に呼ばれるくらいの人材だったと思えばいいんじゃないかな、と思います。

普段読む小説とは傾向が違うのか、会話文の多さも珍しく感じました。こんなのあるんだぁ~って新天地。特に序盤は会話文だけの場面が多いので「活字は苦手だ~」な人にもオススメできそう。今流行りのオーディオブックで聴けたら特にいいかもです。ユーマとミルルのやりとりがこれは絵本か児童書かな、みたいにかわいいのでかわいい声の方に読んでほしいです。

◇続刊、シリーズ化希望


これはコスミック文庫αさんに期待するしかない。『植物ヲタな料理男子』はしっかり一冊で面白いようにまとめられてますので、いかにもシリーズ化しそうに伏線未回収に終わっている作品というわけではなく、続刊が出る構想が(出版社側に)あるかどうかが読んだだけではなんともわかりませんが、この『植物ヲタな料理男子』続編があったら面白いのでは、と思います。

ユーマとミルルが誰かのためにがんばってる姿がもう一度観たい!

ユーマやロレンツォ殿下に海の男という雰囲気がないのが玉に瑕ですが、(だって潮焼け知らずで肌ぴちぴちの髪サラサラそう)これからは一週間交代で海の男、森の男をやれるみたいですし、弟王子ブルーノの恋の行方も気になりますし、ルカがどこまでユーマのお手伝いとして活躍するかも気になりますし、姉姫二人についても気になるし、他の国にもあるといわれる生命の森の『天使』がいるならそちらも会ってみたいような気がします。あとは、エグゼビア陛下みたいな強欲なイケメンがいるならケチケチしないで見せてほしい。

◇『植物ヲタな料理男子』は男二人のバディモノかどうか

立場が違い過ぎるので相棒という雰囲気はないですね。一緒には行動しているんですけど、他にもミルルやお付きの人がいるので。あえていうならユーマとミルルがバディだと思います。ロレンツォ殿下はふたりにちょっと仲間に入れてもらってる立ち位置のやさしいお兄さんな気がします。

ということで今回の判定は、△。

◆外部リンク

コスミック文庫α ( https://www.alpha-bunko.com/ )

◆後記

noteに感想文は3記事目。感想自体は下書きもなくバーッと上から下に書いているだけですが、読書中にnoteにこれを書こうあれを書こうなどと意識が逸れてしまって読書に集中しづらくなったというゆゆしき問題が発生。なんとかしよう。

ヘッダーに小説の表紙の画像を使わせていただけないかどうかをコスミック文庫αさんに問い合わせたところ、サイト上の画像を使うならいいですよとのお返事をいただきました。これはわたしの今回の場合のみの許可だと思うので、他の方、他の場合は個別による問い合わせが必要だと思います。画像を使うときは気をつけたい著作権。

・ちょっと気になること。おとこまえ天狗にもミルルっぽいのが出てるの??

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