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新常識「競争」でも、無償の「貢献」でもない!これからは「共創」の時代である

「三方良し」という考え方をご存じでしょうか?

有名なことばなので、
ご存じの方もいるかもしれません。

近江商人の中村治兵衛(法名宗岸)が
残した書置(遺言状)「宗次郎幼主書置」
の考え方が起源と言われています。

売り手良し
買い手良し
世間良し

たとえ他国へ行商に出かけても、自分が持参した商品を、その国の人々が皆気分よく着用してもらえるように心掛け、自分のことばかりを思うのではなく、まずお客のためを思って、一挙に高利を望まず、何事も天道の恵み次第であると謙虚に身を処し、ひたすら行商先の人々のことを大切に思って、商売をしなければならない。そうすれば、天道にかない心身ともに健康に暮らすことができる。自分の心に悪い心が生じないように、神仏への信心を忘れないこと。地方へ行商に出かけるときは、以上のような心構えが一番大事なことである。このことをよく心掛けることが一番である。

現代文出典:吉田實男(2010)『商家の家訓』清文社

つまり、自社も顧客も社会にとっても
それぞれに利益があることが望ましいと
いう考え方です。

私たちは、ビジネスの場面で安易に
お客さまファーストを主張しがちで
「お客さま満足に貢献することが使命」
という考えに囚われていると感じてします。

社会への貢献は企業側の負担で賄われ
ボランティアは個人の善意により
無償で行うことが当然と考える節がある
そのように感じています。

また、マーケティングやブランディング
において、顧客を知ることが一番大切だと
これまでも解説してきました。

しかし、誰か一方だけが得をするような
考え方で、今の不安定な時代を生き抜くこと
は難しいと感じています。

そこで、
前回の記事でも少し触れた
共創」の考え方から、
私たちのあるべき姿を考察したいと思います。

今回はテーマが抽象的過ぎるため
イメージしにくい所があるかもしれませんが
最後までお付き合い頂けると嬉しいです。


1.ODAの考え方から共創を学ぶ

共創」といえば、
日本の政府開発援助(ODA)の方針として
掲げられている理念となります。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/p_pd/dpr/pagew_000001_00748.html

突然ですが、一つ質問です。

日本の政府開発援助(ODA)の
支援の仕方が海外の国とは違うことを
ご存じでしょうか?

一方的にお金や物資の援助を行い、
自国のために高利子で貸し付けて、
思い通りに動かそうとする国もいます。

日本の場合、自分たちで自立していけるように
何をするべきか、よく現地の人たちと話し合い
低金利で資金を貸す形で、支援しています。

政府が関与していますので、
当然のことながら、政治的な意図はありますが
一方で軍事的な意図をもって動いていないと
言い換えて問題ないと思います。

日本のODAの考え方が良く分かる動画を
見つけましたので、以下に貼っておきますね。

そして、支援の内容も
身の丈に合わないものを提供する
ということはしません。

あくまで自主自立がゴールなのです。

魚を与えるのではなく、
魚の釣り方を教える方針である

と言えば分かり易いでしょうか?

支援が必要な国の地元の人たちが
自立することを前提に考えており
例えばケニアの水不足の例で言えば、
国内のような巨大なダムは作りません。

ケニアは乾燥地帯が多く、水を汲み往復して
1日の大半を過ごしていました。

彼らに必要なダムとはどのようなもの
だと思いますか?

こちらの写真をご覧ください。

写真:カロリーヌ・ヴィゴ/在ケニア日本大使館

彼らに必要なものは、砂ダムと呼ばれるダムで
簡単に言うと川の水と一緒に流れてくる土砂ごと
ダムの中にため込む形となります。

表面は砂に覆われていますが、これが乾燥した
ケニアの気候には必要なものだったのです。
(水分の蒸発を防ぐ役割がある)

これを技術協力のみで、現地の人たちが
自分たちで作業に参加し、技術を習得して
国内の別の場所で自分たちでダムを作る…

このように日本のODAは「三方良し
による「共創」の考えが浸透しています。

提供する側 :ケニアとの良好な外交関係
提供される側:農業の大幅な生産性UP
社会への貢献:水不足の解消


2.三方良しを取り入れている企業


では、冒頭にご紹介した「三方良し」の考えを
理念に取り入れている企業をご紹介します。

伊藤忠グループ

自社の利益だけでなく、取引先、株主、社員
をはじめ周囲の様々なステークホルダーの
期待と信頼に応え、その結果、社会課題の解決
に貢献したいという願い。
『三方よし』は、世の中に善き循環を生み出し、
持続可能な社会に貢献する伊藤忠の目指す
商いの心です。

本田技研工業

ホンダも三方良しの精神を経営に取り入れ
ており、創業者の本田宗一郎氏は
「つくって良し」
「売って良し」
「使って良し」
と自社向けにアレンジしています。

メーカーならではの考え方である
つくって良し」の精神は

商品やサービスの品質が良く、仕入先・
取引先・地域社会・環境にも貢献できるもの
をつくろう
という考え方です。

これは、ホンダが掲げる基本理念である
三つの喜び(買う喜び・売る喜び・創る喜び)
にも強く結び付いています。


3.採用の場面に活かせるのではないか?


このような理念で用いられる三方良しは
自社の利益のみ追求しない
顧客の満足度に囚われ過ぎない
そして、
社会へ、どのように良い影響があるのか?
これも視野に入れるといったものです。

これは「共創」の考え方とも
非常によく似ており、持続可能な発展を
目指すには必ず必要になる考え方です。

これらを企業理念企業姿勢に取り入れ
採用広報に活かせるのではないか?

それが平たく言えば私が主張したい部分です。

ただし、言うだけで実態のないものは
逆に企業ブランド棄損を招くため
自社の商品・サービスがこのような視点で
見た時にどのように展開できるのか?

あるいは既に社会に貢献している事業や
地域の発展のために、官学共同の事業で
取り組んでいることがあれば、
それを盛り込んでいくことをお勧めします。

また、インターンにおいても
現在は行っていなくても構いませんので
事業企画という名目で学生を交えて考える
という方法でも集客はできると思います。

あとは、これを言うだけに留めず
事業へと発展させることができるか?
これがポイントとなります。


如何だったでしょうか?

自社の商品・サービスが地域の社会に
どのように貢献しているのか?
そして、事業として成立させるために
「共創」の形になっているか?

これらの両立を目指すことが
これから企業に求められる姿勢であり
利益のみを追求する「競争」の時代から
脱却していけるのではないだろうか?

このように考え、いくつかの事例を
参考にしながら考察をさせて頂きました。

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