見出し画像

目標管理のフレームワーク集

目標設定のおすすめフレームワーク集について書いていきます。

こんな課題や要望をお持ちの方におすすめの記事です。

・自社に合った目標管理のフレームワークを知りたい
・目標管理を導入したが社内で上手く機能していない
・目標管理の種類とフレームワーク毎の特性について知りたい

1.目標管理とは

目標管理とは、組織目標と個人目標を擦り合わせ、個人それぞれに自己目標を設定し、組織全体目標→チーム目標→個人目標と紐付ける「パフォーマンスの向上」を目的としたマネジメント手法のことです。

2.目標管理で得れる効果

目標管理を導入し、機能した場合には、以下の効果を組織にもたらすことができます。

・従業員エンゲージメントの向上
・従業員のスキルアップ
・企業理念やMVVの浸透
・納得性の高い人事評価の実現
・効果的なマネジメントサイクルの実現

目標管理で効果を発揮するためのノウハウは別記事にてご案内予定です。

3.目標設定のフレームワーク集

こちらではMBO、OKR、KPIといった目標管理のフレームワークについてご案内します。

一言で目標管理といっても、1954年、ドラッカーによって目標管理が提唱されて以来、時代に合わせて改良・改善が繰り返され、現代では様々なフレームワークが存在しています。

目標管理を導入し、上手く機能させるには、組織にあった手法で運用する必要があります。組織にあった手法で目標管理を行えていないばかりに、目標管理が形骸化してしまっている組織も多くあります。それぞれのフレームワークを参考にして、組み合わせたり、いい部分をとってカスタマイズすることで、組織にあった手法で目標管理を行うことができます

①OKR
②KPI
③MBO

全体像の違いのイメージ画像

スクリーンショット 2020-09-14 17.48.23

①OKR
OKRとは、「Objective and Key Result」頭文字を取った略称です。Objective(O)は「目標」とKey Result(KR)は「重要な指標(目標の達成のためにやるべきこと)」で構成されています。

OKRを簡単に説明すると、「チームメンバーを同じ目標に導くためのフレームワーク」と言えます。それぞれの立場や役割は違っても、メンバー全員が勝利を目指して点を取りに行くサッカーのような団体競技のイメージが近いです。

スクリーンショット 2020-09-06 15.11.20

引用元
https://www.kaonavi.jp/dictionary/okr/ 


■OKRの特徴
・組織の目標から個人の目標まで繋げて設定する
・達成率が60〜70%ほどが予想されるチャレンジングなObjectiveを設定(OKRの世界ではムーンショットと呼ばれます)
・人事評価に直結させない
・目標に関する情報はオープンにする
・やるべきことを明確にするために、Objectiveは1つ、Key Resultは3つから5つ
・環境や状況の変化に対応できるよう、目標期間は3ヶ月1サイクル

■OKRのメリット
・会社全員で高い目標に挑戦することで、生産性が向上し、組織力が向上する
・会社・部署・個人が同じ方向に向かって進むことで、エンゲージメントが上昇する
・情報公開性が高いので、社員間のコラボレーションが生まれやすく、コミュニケーションが活性化する
・高頻度のフィードバックによって、目標の意識付けができる
・目標期間は短期間のため、世の中の変化や状況に柔軟に対応できる

■OKRのデメリット
・すぐに機能することは珍しく、トライアンドエラーが必要となる
・挑戦的な目標を設定する必要があるため、目標設定の難易度が高い
・フィードバックは高頻度であるため、時間を確保する必要がある
・評価制度と直接的には結び付けられない

■OKRの本質
OKRの本質は、「全員で同じ方向を向いて、目標達成に高揚感を持ちながら、高い目標を目指す」ということです。個人よりも組織の団結力や成長が重要と言われている現代で非常に理にかなったフレームワークです。また、3ヶ月という短いスパンでレビューを行うので、状況や環境の変化に柔軟に対応できるという点も現代社会にあっているのではないでしょうか。

OKRについて詳しくは、こちらをご覧ください

②KPI
KPIは、「Key Performance Indicator」の略で、日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。簡単に言うと、KPIは「プロジェクト単位の目標を達成するためのフレームワーク」です。KPIを設定することにより、プロジェクトがどの程度目標達成に向かって進んでいるのかを確認することができます。

またKPIと共に紹介される概念として、「KGI」というものががあります。KGIは「Key Goal Indicator」の頭文字をとった略称であり、「重要目標達成指標(ビジネスの最終目標を定量的に評価できる指標)」と紹介されることが多いです。

まとめると、KPIはプロジェクトの最終的な目標であるKGIを達成するための、過程を計測する中間指標のことで、KPIを適切に設定することで、KGIの達成へどれだけ進んでいるのかが分かるようになるということです。

KPIイメージ図

スクリーンショット 2020-09-14 18.04.09

■KPIの特徴
・プロジェクトチームごとの少人数単位で行われる
・定量的に数値で計測する
・目標期間はプロジェクトの期間
・KGIから逆算してKPIが設定されるため、100%以上の達成を目指す
・レビューの頻度は高頻度が望ましいが、プロジェクトリーダーに裁量あり

■KPIのメリット
・目標達成に向けての行動が明確化する
・目標達成までのプロセスを可視化し、計測することができる
・定量的な目標を設定するため、解釈が統一される
・優先順位が明確化する
・数字の進捗を短いスパンで追っていくため、方向転換がしやすい

■KPIのデメリット
・数値的な「量」が重視されることで、仕事の「質」が下がってしまう
・ルーティンワークになってしまいがちで、モチベーションが低下しやすい
・数値を追うべきであるという指標のため、イノベーションの余地が少ない
・指標であるKGIと目標の関係性が直接的ではないため、KPIをクリアしても目標は達成しないということが起こってしまう

■KPIの本質
KPIの本質は、「目標達成のためのプロセスを数字で計っていくこと」であり、プロジェクト単位の定量的な目標を達成するためには効果的なフレームワークであるといえます。数値目標を追う上では、指針として活用できるフレームワークであるといえるでしょう。

③MBO
MBOという言葉の由来は、ドラッカーが唱えた目標管理の原文「Management by Objectives」の頭文字です。そのため目標管理とMBOは同義であり、部下のモチベーションを高め生産性を高めるマネジメント手法を指す言葉でした。しかし日本では、MBOという言葉は、ドラッカーが唱えた本来の理念とは異なる「フレームワーク」として拡がっていきました。こちらでは、日本の多くの企業で導入されている「フレームワークとしてのMBO」について解説します。

フレームワークとしてのMBOは一言でいうと「目標と評価を密接に紐づけた」目標管理フレームワークです。ドラッカーの提唱した目標管理から得られる「納得性の高い人事考課の実現」というメリットを生かした目標管理です。

スクリーンショット 2020-09-14 18.29.09

■MBO導入の流れイメージ

スクリーンショット 2020-09-14 18.28.20


■MBOの目標測定基準
MBOは組織ごとにその基準が変わってきますがよく挙げられるのは

1.明確で具体的な目標
2.適正な目標レベルに設定されているか
3.時間軸が設定されているか
4.目標達成するための方法が明記されているか
5.会社目標との関連や自分の使命が考慮されているか

などがポイントとして挙げられます。

■MBOの特徴
・目標と評価・給与が密接に結びつく
・目標と評価が結びつくため、目標に関する情報公開範囲は「上司と部下のみ」
・組織の給与改定に合わせるため、目標期間は半年、もしくは1年
・目標を上回る成果を出せば高い評価、目標を下回った場合は低い評価
・達成水準は100%

■MBOのメリット
・目標設定と結果が明確なのでシンプルな評価制度ができる
・納得感のある人事考課の実現
・目標達成が報酬に反映されるため、個人のモチベーションに紐づきやすい
・自分自身で行動を定めるため指針が明確になり、スキルアップにつながる
・組織によって解釈の余地があり、カスタマイズしやすい

■MBOのデメリット
・評価に紐づくため、社員は達成できるラインの目標ばかり設定する可能性がある
・評価がかかわるため、情報公開性が低くなり、誰が何しているのかわかりづらい
・目標期間が長いため、目標を忘れてしまい、モチベーションが継続されづらい
・評価のための目標であるため、本当に目指したい個人目標とかけ離れてしまう
・目標管理ではなく、評価制度として運用になりがち

■MBOの本質
フレームワークとしてのMBOの本質としては「給与に直結する目標を設定し、従業員のモチベーションを高める」ことです。ドラッカーが唱えた本来の目標管理の意味合いは薄くなってしまっていますが、評価制度と目標管理を連動させたい場合には、参考にすると良いかもしれません。

3.目標管理が失敗する理由

フレームワークやメソッド通りに目標管理を運用しても、目標管理がうまく機能せず、失敗に終わるという状況は起きてしまいます。ではなぜメリットを感じられるはずの目標管理が失敗してしまうのでしょうか?よくある理由をまとめてみました。以下をご覧ください。

・組織の目標と個人の目標が紐づいていない
・目標管理=人事評価にしてしまう
・フィードバックが行えていない
・経営理念やMVV、経営戦略が具現化されていない
・目標管理への理解が浸透していない

それぞれについて説明します。

■組織の目標と個人の目標が紐づいていない
目標管理の最も大事な目的は、「組織の目標が達成されること」です。部署目標やチーム目標が組織の目標と結びついていない状態で個人目標を作成し、達成しても、組織の目標に紐づいていないため、目標管理自体が成り立っている状態とは言えないでしょう。

組織目標をしっかり設定し、個人目標まで落とし込むことが目標管理においては大切なのです。


■目標管理=評価制度にしてしまう
目標管理を評価制度として認識している方は、実際に多くおられます。目標管理を人事考課の一部として活用することはできますが、目標管理=評価制度ではありません。

直接目標管理が評価制度になってしまうと、個人は目標を達成すると評価が上がるという考えに至ってしまい、部署目標や個人目標を設定する際に、達成できそうな目標しか設定しなくなってしまいます。そうなると組織の目標が達成されることはなくなってしまうので、目標管理として機能していないと言えます。

目標管理は評価制度ではなく、評価をする上の一要素として捉えましょう。


■フィードバックが行えていない
以下のように目標管理では、様々な場面においてフィードバックが重要となります。

・目標設定時:目標を設定の擦り合わせを行うため
・目標期間中:進捗状況の確認や目標の見直しのため、目標意識向上のため
・目標終了時:達成度の確認、目標のレビューを行うため

上記のようにコミュニケーションをとってフィードバックをする機会が非常に多いため、フィードバックが少なくなってしまうと、目標管理が正しく運用しにくくなります。

目標管理の運用にはフィードバックが必要です。1on1や面談、チームMTGを活用し、適切なフィードバックを行いましょう。


■経営理念やMVV、経営戦略が具現化されていない
目標管理の一番の目的は、「組織目標の達成」です。そしてその組織目標は、経営理念やMVV、経営戦略から設定されます。それらが具現化されていないと、適切な組織目標が設定されることはありません。どれだけ組織にあった優れた目標管理制度を導入したとしても、目標管理自体は本来の目標が果たせず、意味が無くなってしまいます。

目標管理を導入する前に、組織の経営理念やMVV、経営戦略をしっかりと整え、それらをもとに適切な組織目標を設定してください。


■目標管理への理解が浸透していない
目標管理を導入しても、組織のメンバーが導入した目標管理を正しく理解していなければ、現場において正しく運用されません。
「どういう目的」で「どのような目標管理を導入しているのか」組織に周知し、理解を浸透させることが定着のポイントです。

また役職者の方々は、メンバーの個人目標の設定をフォローし、フィードバックを行う立場ですので、より深い理解が必要となります。役職者の方々に向けては、勉強会や共有会など行い、頻繁に理解を促す機会をつくると良いでしょう。

現場において適切に目標管理が運用されるために、組織全体での目標管理への理解を深めましょう。

今後も人事に関するノウハウを書いていくので
もしよければフォローしてもらえると嬉しいです..!!!







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?