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☆2. 課題をポジティブな発想に変える為にJDを取り入れよう!

現在では、数えきれない程のマネジメント、Diversity Equity & Inclusion (DEI)、組織構築、変革の為の研修やワークショップがあります。これらは、学びや知見を広げるという意味では、大変有効であると思います。しかしながら、持続的に成長を続けていかなければいけない組織にとって、それだけの時間とコストを継続的に投入するのは、簡単ではないと思います。なぜならば、日本には、歴史的な慣習にとらわれたマインドセット(考え方)が根強く残っており、一時的な研修やワークショップだけでは、日本的マネジメントスタイルを変える事は出来ないからです。まずは、良いループの流れになるように、「女性だから」「子育て中だから」「介護中だから」「日本だから」などのネガティブな発想を取り払う作業が必要だと思います。そういった意味でも、JDを活用していくのは、非常に有効であると考えています。

JDをどの様に活用するのか:☆1でも説明したように、職務内容など組織の業務に必要なRole&Responsibility、必要な経験、コンピテンシーなどを詳細に記載したものです。従って、業務に必要でない、性別、年齢(若年層、シニア層を含めて)、宗教、国籍、育児の有無、婚姻などの差別的条件等は、この段階で全て排除されます。万が一、採用手続きで、これらの差別的条件が加えられたとしたら、HR/人事は、組織に対して速やかに改善の手続きをとる必要があります。(これはHRの重要な役割であって、組織の方針に反する行為ではありません。そして、それができないHRなのであれば、HR職務を辞めた方が良いでしょう!)このJDは、市場の全ての人財(組織内の人財を含めた)に、公平な働く場所(職務)の機会をつくり、組織が求めている最適な人財に活躍してもらう働く環境を可能とします。

日本で良くある課題についての例をあげます。
性別:体力的、身体的な理由で、女性などの候補者に対して適さない業務などを取り上げられます。JDを公平に開示する事により、可視化されたJDを個人が納得し、理解するプロセスができます。このように、選択肢が広がる事が大切です。
年齢:日本では年功序列という慣習があり、年齢とともに給与や待遇が自然に良くなるシステムがあります。組織内での経験値という視点では間違っていないですが、適財という意味では、適切であるかは職務しだいです。また、早期退職制度のように、年齢制限で退職条件を区切るような差別的な施策もあります。JDを活用して、現状の組織に最も必要な専門知識と知見を可視化して、適財に適所で活躍してもらう事が望まれます。
育児の有無:日本のみならず欧米でも取り組んでいます。女性ならではの課題ではなく、育児中の親、社会の課題です。業務と子育ての時間配分をどの様にするのか、子に親が必要な時、業務をどうするのか?まず欧米では、非常にフレキシブルな働き方を認めています。だからこそJDも、そのフレキシブルな働き方を支える上で重要な役割を果たします。職務のRole&Responsibilityが明確であれば、個人の働き方のフレキシビリティーを可能にします。これは、コロナ禍でリモートワークの生産性が課題となった理由につながります。

日本では、子育て中のマネジャーなどの採用や活躍を妨げる組織が大変多いです。その理由は明らかで、組織にとって不都合であると考えられているからです。例えば職務に関して:1.時間外労働を想定、2.組織の都合に合わせられない、3.チームや部門全体の管理(*)という漠然とした職務を前提、4.緊急事態に対応が必要、5.家庭の理由による突然の欠勤、6.ワークよりライフが大事だろう、などの理由です。最近は、様々な機関がサーベイをデータ化していますが、これらは少なくとも30年前から、同じように在り続けてきています。これらが改善されない理由は、#1.2.3は、可視化されたJDが存在しない為に起こる、暗黙の了解、阿吽の呼吸を前提にした組織優位の考え方です。暗黙の了解や阿吽の呼吸で行う職務は存在しません。#4.5.6は、可視化されたJDが無い為に、組織とのコミュニケーションが充分にできず、人事制度をフレキシブルに活用できない事で、組織優位の人事制度となる為です。【尚、(*)の管理という日系の職務理解も良くないと思っています。】
但し、外資系では、職務の責任によっては、一時的に、ライフのイベントよりもワークを優先する人もいます。これができるのも、可視化されたJDにより、組織と個人の双方がお互いに同じ理解をする事により、フレキシブルでかつサポート体制がある働く環境があるからです。

ライフイベントは、誰にでも起こり得る事象です。出産、育児、介護のみならず、インシデント(予想もしなかった地震や感染症など、人間がコントロールできない事象)も含みます。この様な事態が起きた時に困らない様に、マニュアル作成、BCPプランなどによる、人事施策の取り組みも必須です。短時間業務、数か月の間の休暇、リモートワークなどを速やかに可能にするプラン作成が必要で、これにはJDが非常に有効です。ここで詳細は書きませんが、方法は沢山ありますし、組織の業種や職務内容によって、フレキシブルに選択肢を考えておくのが良いと思います。外資金融は、JDと業務マニュアル(経験者が読んで職務を遂行できるレベル)は、セットで作成されていますし、BCPプランも規定されています。

「女性だから」「子育て中だから」「介護中だから」などの差別をしてバイアスをかけるのでは無く、女性でも、子育て中でも、介護中でも専門性を持って職務責任を遂行できるように直ぐに実行する事、「日本だから」グローバル化や欧米化を無視して良いのではなく、日本でもグローバル化や欧米化の仲間入りを可能にできる方法を直ぐに実行する事、が大切であると考えています。その為にも、まずは欧米に馴染みやすく、労働市場の比較がしやすい、JDというツールを活用する方法が非常に有効であると考えています。

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