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採用活動において、スカウトメールだけでは効果が薄い理由

中堅・中小企業の多くは求職者にとって「知らない存在」

こんにちは。道場(どうじょう)です。

今日は、スカウトメールについて書こうと思います。データベース・リクルーティングの手法が一般的となり、各企業の採用活動も新卒、中途問わず「ダイレクト・リクルーティング」にも取り組んでおられると思います。

クライアントからも、「スカウトメールの文面はどうしたら反応が良いの?」という相談をもらうことがありますが、もちろん、スカウトメールの文面の中身を改善し、しっかりと求める人物像に対して、刺さる内容で訴求することも大切です。しかし、これだけでは実は限界があります。

どう言うことかというと、スカウトメールをもらってから初めて、その企業の名前を聞き、どういう会社なのかを理解し、スカウトを受けて面接まで足を運ぶ。この行動を取ってくれる求職者って、よほど温まっている状態でなければ起こり得ないからです。新型コロナウイルスの影響によってリモート対応が一般化したことによって、実際に足を運ぶ行動は思っている以上にハードルが高くなっていると言えます。

ましてや、スカウトメールを送ったとしても、誰もが名前を聞いたことのあるナショナルブランドを持つ企業でなければ、「初めて聞く名前の会社だな。。。どんな会社だ?大丈夫なのかな?」という、疑いの目からスタートするわけで、中堅・中小企業の多くは求職者にとって「知らない存在」であることを、まず認識した上で採用市場で戦う必要があります

「知っている(認知状態)」と「知らない(不認知状態)」の壁は大きい

かなり単純化していますが、求職者目線から見たときの採用活動の導線は、こんな感じです。

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ここで、スカウトメールを打つ行為というのは、4番目にある求職者が求人サイトやスカウトサイトに登録をして、「就職したい」「転職したい」という意欲になった状態の顕在的な「行動」を起こした人にしか、実はアプローチをしていないことになります。(それがこれまでの採用活動の当たり前でもあったわけですが)

求職者は、「就職しよう」「転職しよう」と思う前からもインターネット、SNSなどを通じて様々な情報に触れています。そして、就職・転職活動の顕在層になっていない状態でも、「いまよりも良い会社や価値観に合うところ、キャリアを伸ばせそうな会社はないかな?」と自分のペースで企業の情報を探していたりしています。

求職者の情報取得環境から見ると、エントリーのタイミングからの情報の提供は圧倒的に遅いんですね。さらに、顕在層の求職者は、活動を精力的に行っていますので、当たり前ですが他社バッティングも多くなります。そんな中で、スカウトメールで初めて知る会社の優先順位を高めるのは、かなりパワーがかかることは想像に難くありませんよね。

求職者は、スカウトメールが届いて初めて企業のことを知るのでは、先に知っている会社よりも優先順位は下がります。だって、会社名も良く知らないし、よほど刺さる魅力的なものがなければ、調べるパワーもかかるし面倒だな、となるんですね。

「知っている(認知状態)」と「知らない(不認知状態)」の壁は、実はかなり大きな壁だと言えます。

スカウトメールの返信率は、スカウト以前の空気で決まる

では、改めて「スカウトメールだけでは効果が薄い理由」というテーマに戻りますが、つまり、知らない(認知されていない=不認知)ということを克服することにカギがあります

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上記の黄緑色で示している、求職者が潜在的な状態の時に、企業のことを知ってもらえる情報を発信しておくこと。「知っている」状態をつくることで、スカウトメールの効果は上がると言えます。その方法として、「採用広報」の取り組みが盛んに行われている、という背景です。

採用広報に取り組む目的として、大きくは、各フェーズのエンゲージメントの向上を目的として取り組むのですが、

・認知フェーズの強化(情報発信)
・選考フェーズの強化(アトラクト・選考歩留まり向上)
・入社後フェーズの強化(インナーコミュニケーション・定着向上)

上記の3つのフェーズのうち、認知フェーズの強化ができれば、スカウトメールの反応率は上がるわけです。つまり、スカウトメールの返信率は、スカウト以前の空気で決まります

たとえ話になりますが、知らない会社からスカウトメールがいきなり届くのって、知らない人からいきなりラブレターが送られてくるようなものだと思うんですよね。で、気になって一応、調べようと思ったら、検索しても情報が出てこないし、相手のことも良くわからない・・・みたいな。これでは歩留まらずに、離脱するのは仕方ありませんよね。

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逆に、上記のように求職者の潜在段階で自社のことが知られている状態だった場合、ラブレターが届くと嬉しくなりますよね。「なんだ、この会社?」という不信感ありきのスタートではなく、「あっ!●●で見て、知ってる会社からスカウトが来た!」と。

現在の採用チャネルのパフォーマンスを活かすために

ベンダーだけに依存しないSNSによる母集団形成、採用広報面のコンテンツプランニングを通じて、企業の“自前採用”の確立を目指し、採用ブランディング向上とコスト削減を同時に実現させていくこと。それが、私たちがクライアントにご支援する際の大目的ですが、一朝一夕でできるものではなく、採用広報の発信、採用活動体験の細かな微調整など、コミュニケーション改善の地道な活動によって、積み上がるようにできあがってくるものです。

したがって、短期視点で見れば、いかに現在の採用チャネルのパフォーマンスを最大化するか、が採用力向上において大切なポイントだと思っています。人材紹介、求人広告などの現在の母集団形成施策に採用広報施策を掛け合わせて、求職者の反応率を高め、歩留まりを高めること。

採用広報は、狙って、継続する。地道な中長期戦です。続けた先にこそ、タネをまいて、じっくり育てた後の果実が得られるものでもありますが、まずいまの自社の採用チャネルの施策の取り組みと絡めることで、短期的な成果(移行率向上/歩留率向上)を狙いましょう

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

採用戦略立案、採用マーケティング設計支援、採用ブランディング、採用広報など、インナーの理解を通じた戦略上流を中心とした支援をHRパートナーとして活動を行なっています。経営と近く、事業理解を必要とするサイズの企業の伴走型サポートがメインです。

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