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【鴨ブックス】副社長の仕事

前回書かせていただいたように、本を企画・編集・制作して販売する出版社の仕事は非常に多岐に渡ります。また、それを継続させる前提で、ワークフローやビジネスモデルを築きあげなければいけません。僕が鴨ブックスの副社長になった5月から、その構築作業を行ってきました。

整理するためにあえて二つに絞るなら、出版社の屋台骨は「編集」と「営業」といえるでしょう。出版取次での25年に渡る職務経験がある僕にとって、「営業」は部分的に見えていました。しかし「編集」はほとんど見えていませんでした。

「営業」も「編集」も足りない知識については、これまでに「同志」といってくれる出版社の友人に色々とアドバイスしていただきました。本もたくさん読みました。そうしていくうちに徐々にイメージができてきたのです。教えていただいた皆さま、ありがとうございました。

昨日、テレビで映画「鬼滅の刃 無限列車編」を観たのですが、まるで「煉獄さん」のように後から続く僕に熱く語りかけてくれました。煉獄さんは敗れましたが、後輩と乗客の命を守り抜きました。後に続く者のために協力を惜しまない姿に僕は感動を覚えました。今でも胸が熱くなります。

いずれ僕もそういう存在になれるように、鴨ブックスを成功に導きます。

まず、鴨ブックスを成功させるのが先決です。

でなければ、誰も僕のところに話を聞きにきてはくれないでしょう。

だから、出版社として成功させるために「僕が副社長としてすべきことは何か」を最初に定義する必要がありました。僕はそれは「編集」においても「営業」においても同じだと考えました。それは、若き鴨ブックスメンバーに足りないところを補完するということです。

「編集」において、鴨ブックスには旧かも出版で18冊の原稿をまとめた経験を持つ頼りになる編集長がいます。その下には、これから本を作る経験を重ねていこうと胸を躍らせている駆け出しのメンバーが複数います。

最初に企画を考え著者に声がけするのは、基本的に社長の鴨さんの仕事です。ただ、僕や編集長もアイデアをだすことができます。企画が決まったら、全体的な方向性を僕と編集長を中心に決めることになります。売れる本にするにはどうしたら良いか考えること。ここが僕の出番です。

例えば動画にかっこいいサムネイルを入れたり、ネットで商品を売ったりするノウハウは鴨ブックスの強みです。僕は謙虚に学んでいきたいと思います。というか、すでにもう毎日驚きの連続。刺激に満ち溢れています。しかし僕には、誰も持っていない二つの特殊な経歴があるのです。

日本中を探しても珍しいかもしれません。

一つは、約5年間、取次の仕入窓口に持ち込まれる全ての本(1日200点くらい)を一つ一つ手に取って品定めし、オンライン書店e-honでプッシュする本を決める仕事をしていたことです。誰も売れると予想しなかった本のヒットを見事に当てたこともあります。

もう一つは、そうして選んだ本のおすすめコメントを書き、毎週数十万通のメールマガジンを送り続けたことです。こちらは延べ送信通数で1億通を超えます。メールマガジンの長所は、プロモーションの成否がすぐにハッキリとわかることです。

これにより「メールタイトルの書き方」「推しどころ」「メール本文の見せ方」などを実地で習得できたのです。そしてその後部署が変わっても新刊や売れ筋本を日々チェックする習慣は続き、少なくとも、いまだにこの点は「プロフェッショナルだ」と胸を張ることができるのです。

本屋さんの店頭や分類などもイメージしながら、本のつくりやパッケージ、タイトルを考えたり、推しどころを設計するのは、間違いなく最終的に僕が責任を持った方がいい仕事なのです。僕に強みがあるのです。

一方「営業」においては、取次での業務経験から全体がどういう風に動いているのか知っています。新規出版社は最初のうちはなかなかこれを掴むことができません。何度も壁にぶち当たりながら、自己流を構築できる鋼のメンタルを持った出版社は別ですが、途中で離脱してしまいがちです。

書店様と有効な関係を築けず、代行会社に任せっきりになるケースもあるときいています。まだデータがありませんので細かいマネジメントはできませんが、今から全体を俯瞰して最短距離でそこに近づくことができるのです。それも僕の強みです。

ただ「編集」「営業」に僕の経験を活かしたとしても、すべての本が売れるわけではないことも経験上知っています。メンバーの心のマネジメントも大切ですね。でも必ず来年には、ほとんどの書店様が鴨ブックスの名前を覚えるような出版物が出せる、と思います。

鴨ブックスには強みがいっぱいありますので。

ところで、心のマネジメントに活かそうと思っているのが僕のグレイヘアです。

僕がサラリーマンを辞めて一番気に入っているのは「世界が、僕より偉い人も偉くない人もいない世界になった」ことです。すべてがフラットで、誰にも気軽に話しかけることができます。鴨ブックスの中も、基本的にそうありたいと思っています。

しかし、それでは話が決まりません。不満の温床にもなります。若い鴨ブックスの中で50代の僕は特殊な存在ですが、グレイヘアを豊富な経験に裏打ちされた頼れる存在の「象徴」にしたいと考えています。イメージとしては「鴨ブックスのジョージ・クルーニー」です。

副社長の仕事はめっちゃ広いですが、それがキモだと思っています。
それがって何?ジョージ・クルーニー?

「この髪を活かせなければ、成功は覚束ない」
そう思いながら、僕は毎朝、グレイヘアを整えています。

うはは。それより、もっと痩せろ~~~~~~☆

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