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【医師論文まとめ】ネコが危ない!? 飼うと精神疾患リスクが2倍に!?

背景

これまでの研究では、ネコの飼育やネコへの接触が、精神分裂病スペクトラム障害や精神病的体験(PLE)の発症リスクに影響を及ぼす可能性が示唆されている。しかし、ネコとこれらのアウトカムとの関連についてのエビデンスは限定的である。本研究の目的は、ネコの飼育や接触と精神分裂病関連疾患およびPLE発症リスクとの関連について、すべての関連研究を体系的にレビューしメタアナリシスを行うことである。

方法

1980年1月1日から2023年5月30日までに発表された、世界中のあらゆる地域や言語の文献を対象に、Medline、Embase、CINAHL、Web of Science、灰色文献の5つのデータベースで文献検索を実施した。ネコの飼育や接触と精神分裂病関連アウトカムに関するデータを報告した観察研究を対象とし、介入研究は除外した。文献選択とデータ抽出は2人のレビューアーが独立して行い、不一致があれば第3者が判断した。ネコの飼育や接触の定義は研究によって異なるため、広義の定義(ネコの飼育、ネコへの接触、ネコにかまれる経験)を用いてメタアナリシスを実施した。

結果

1915件の文献が特定され、17件の研究が最終的にメタアナリシスに含められた。ネコの飼育や接触は、精神分裂病スペクトラム障害の発症リスクを約2倍に増加させることが示された(調整済みオッズ比2.24、95%信頼区間1.61-3.12)。一方、PLEに関しては結果が一貫せずメタアナリシスを実施できなかった。

論点

本研究では、ネコへの接触と精神分裂病スペクトラム障害発症リスクの関連を支持する結果が得られた。しかしPLEに関するエビデンスは限定的であり、高品質の前向きコホート研究による更なる検証が必要である。ネコがどのような生物学的メカニズムを通じてリスクに影響を与えるのか不明確なため、ネコが宿主の免疫系や神経系に及ぼす影響の解明が重要課題となる。

結論

本メタアナリシスでは、ネコの飼育や接触が精神分裂病スペクトラム障害の発症リスクを高める可能性が示唆された。さらなる高品質の研究によって、この関連の因果性とメカニズムの解明が期待される。

まとめ

海外の研究で、ネコを飼う人は精神疾患になりやすいことが判明。ネコにかまれたりするとリスクは最大2倍に跳ね上がるという衝撃結果。ネコ派の方は要注意です。

所感

本研究の結果は非常に興味深いと思います。確かにネコを飼育することで精神疾患リスクが高まる可能性が示唆されました。しかし、この関連についてはまだ不明な点が多く、因果関係を示すにはエビデンスが不十分だと考えます。ネコを飼育すること自体がリスクを直接高めているとは断定できません。

可能性として、例えば元々精神疾患リスクが高い人がネコを飼い始める傾向にあるのかもしれません。その場合、ネコが原因というより結果に近いと言えるでしょう。また、第三の要因が両者に影響している可能性もあります。

精神疾患の発症原因は非常に複雑です。ネコが関与しているとしても、そのメカニズムの解明が必要不可欠です。生物学的裏付けが重要視されるべきでしょう。

結論として、ネコを飼育する方が直ちにリスクを感じる必要はないと考えます。今後、より高品質な研究成果が待たれます。

文献

McGrath, John J et al. “Cat Ownership and Schizophrenia-Related Disorders and Psychotic-Like Experiences: A Systematic Review and Meta-Analysis.” Schizophrenia bulletin, sbad168. 2 Dec. 2023, doi:10.1093/schbul/sbad168

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