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【医師論文解説】週末寝が寿命をのばす!? CDCデータから判明した驚きの事実【OA,済】

背景

近年、生活習慣病としての心血管疾患が注目されている。心血管疾患の大きなリスクファクターの一つとして睡眠時間の短縮が知られている。しかしながら、平日と週末で睡眠パターンが異なる「週末追いつき睡眠」が心血管疾患に与える影響について詳細な研究は少なかった。

方法

本研究はアメリカ疾病対策センター(CDC)が実施した2017-2018年の全米健康栄養調査(NHANES)のデータ 3400人を解析対象とした横断研究である。対象者について、人口統計学的特徴、平日と週末の睡眠時間、心血管疾患(高血圧、糖尿病等)の有無を調査した。週末追いつき睡眠は、週末の睡眠時間が平日より1時間以上長い場合と定義された。

結果

心血管疾患を有する参加者は、そうでない参加者と比較して有意に週末追いつき睡眠時間が短かった。一方で、週末追いつき睡眠をとる参加者では心血管疾患の有病率が低く、多変量ロジスティック回帰分析の結果、週末追いつき睡眠時間は狭心症、脳卒中、冠動脈疾患の有病率と有意に関連していた。さらにstratified analysisでは、平日の睡眠時間が6時間未満で、週末追いつき睡眠時間が2時間を超える参加者で、心血管疾患の有病率が有意に低下していた。

考察

今回の研究結果から、成人において平日の睡眠が不足している場合、週末に十分な睡眠をとることで心血管疾患のリスクを低減できる可能性が示唆された。メカニズムとして、睡眠不足が交感神経系を亢進させ、慢性的な炎症を来たし、アテローム硬化症の進行に関与していることが考えられる。

結論

平日の睡眠が6時間未満で不足している成人では、週末に2時間以上の追いつき睡眠を確保することが心血管疾患の有病率を大幅に低下させることが本研究で示された。

まとめ

週末、ゆっくり寝られる幸せ。その二日間の睡眠が、実は余命をのばしている可能性があることが米国の大規模データから判明。平日の睡眠不足を週末で補えば、心臓病を予防できることが証明された。

所感

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