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バルタン星人は「難民」だった

「バルタン星人って、かわいそうなんだよ」

と小学5年生の男の子が私に教えてくれた。バルタン星人?地球を侵略し、ウルトラマンに倒されるあの化け物だろう?

「自分の星が核実験でなくなって、宇宙をさまよっているときに偶然地球に来たって、お兄さん知ってる?」

知らない、知らないぞ。私はバルタン星人は単なるセミ型の気持ち悪い輩程度にしか認識していなかった。

少し調べてみると、バルタン星人が地球にやってきた理由は、どこかテレビの向こう側で耳にするような内容に近い。

バルタン星人20億人が暮らすバルタン星は、一人の狂った科学者による核実験で壊滅してしまう。彼ら20億人は偶然にも宇宙旅行中だったために死を免れることができたが、故郷を失ったバルタン星人たちは「難民」となってしまった。
そんな折、宇宙船の修理で立ち寄ったのが地球だったというわけである。その後、彼らは地球を気に入り、地球への定住を試みるが地球人こと人類と対立。ついには、地球への侵略を開始したというわけだ。

もちろん他星(国)の領土を侵略するという点だけをみれば、バルタン星人はシンプルに悪役に映ってしまうのかもしれない。
しかし、彼ら自身が「難民」として住処を求めているという条件を踏まえると、少しバルタン星人の立場も理解できなくない気もしてくるのだ。

小学5年生の彼がバルタン星人を「かわいそう」と表したのは、こういったバルタン星人たちの状況を鑑みてのものなのだろう。

正義の味方、ウルトラマン。
ただウルトラマンの敵が常に純粋な悪でもないらしい。
きっと正義の対義語が悪なんていう二元論自体が、そもそも思考停止なのだろう。

もし今後も単純すぎるな二元論に陥ってしまうのであれば、バルタン星人にフォッフォッフォと笑われてしまいそうだ。


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