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48-46、36÷18は?
「最後に一枚、いいですか?」
大阪から来た彼はカメラを握りしめた。そういえば、昨晩も彼が撮りためた写真を見せてもらった。そこには沢山の人の姿があった。
「嫁さんとはカメラで意気投合する部分がああって」
ほぼ同い年だった我々は仕事の話、ちょっと背伸びした人生の話とたくさんのことを話した。ただこうして振り返っても、カメラや写真、そしてそれにまつわる思い出を語る彼の姿が最初に脳裏に浮かぶ。
彼は大学までは東京で生まれ育った。しかし、いまや大阪の風土を愛し、あげく大阪出身の妻を捕まえた。もはや東京に帰るつもりはないという。
ファインダーを覗きながら、
「写真撮るときに48-46は?って大阪の家族が言ってたんですよ。さすが大阪ですよね」
「僕もお客さんの写真撮るとき、よく36÷18は?って言います」
そんな話の合間に、彼は朗らかに笑いながらシャッターを切る。
あまり生まれ故郷の大阪に愛着のない私ではあるが、今日ばかりは大阪生まれであることをとても嬉しく思った。
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