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僕らの金メダル

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息子の小6最後の1年を、少年野球を通して、その仲間との絆や 泣き笑いを…子供目線で綴った作品です。…練習、試合にと…共に過ごした日々を…親子の思い出としての記録です。
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#仲間

僕らの金メダル 3話

僕らの金メダル 3話

3月某日
今日は、僕らのチーム主催の大会の日だ。3月に入ったというのに風が冷たく、時折、小雪がちらついていた。
朝…まだ暗いうちから起き出して、眠い目をこすりながらユニフォームに着替える。母が作ってくれた、おにぎりを少し無理をして、お腹に入れる。外に出ると朝の冷たい空気で目が覚める。これが、試合の日の朝の光景だ。
先日の大会で、予想外に良い成績を残した僕たちは、今日のこの大会で無様な試合をするわけ

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僕らの金メダル 10話

僕らの金メダル 10話

試合と試合の合間に、おにぎりやバナナを頬張って決勝戦に備えた。
準々決勝から苦しい展開を何とかものにして勝ち上がってきた僕たちは、最高潮に達していると言ってもよかった。そんな僕らと決勝戦で戦う相手は…そう、あの全国大会3位、中国大会優勝を成し得たチームだ。僕らが、ずっと目標としライバル視してきたチームだ。今期、4度目の対戦となる。まだ1度も勝てていない。
こんなチャンスは2度と無いかも知れない。僕

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僕らの金メダル 11話

僕らの金メダル 11話

僕らのピッチャーの速球と緩急をつけたチェンジアップに、相手チームは翻弄されていた。1番ショートのキャプテンは、選球眼を活かして四球を選んで塁に出る。そんな積極的なプレーが、後に続くバッターを奮起させる。塁に出れば、すかさず盗塁。この頃の彼はノーサインで抜群のセンスで試合を掻き回す。キャプテンとして、グイグイと仲間を引っ張って行くというタイプでは無いが、こうしたプレーで仲間からの信頼を得ているキャプ

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僕らの金メダル 13話

僕らの金メダル 13話

11月も半ばの日曜日。もうすっかり秋で、早朝の空気は冷たかった。いつも通りに小学校に集合して、何台かの車に乗り合わせて試合会場に向かった。左手に広がる海を横目に見ながら、海岸線をひた走る。もう少しして朝日が昇ってきたら最高に綺麗だろうな…なんて思いながら車に揺られた。
ちょうど1年前にも、同じように試合会場に向かっていた。ワクワクしながら、久々の試合に、9人でやれる試合に胸を躍らせて。結局…1試合

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僕らの金メダル 最終話

僕らの金メダル 最終話

12月半ばの日曜日。僕らがずっとライバルと思っているチーム主催の大会だ。この大会が、僕らにとって最後の試合となる。決勝戦で、また戦い優勝することが、この日の目標だった。
1試合目…1番あたりたくない相手との対戦だった。いつも接戦で苦戦する。なかなか打てないでいた。いつも投手戦だ。サードの彼は、この日初めて相手投手のチェンジアップに上手く合わせ事が出来た。『行った!』と思った。これで逆転だと…相手の

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