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【詩】ずぶ濡れ

そっと差し出された傘を
私は受け取らない

他人の言葉の陰に身を寄せることなく
私は雨に打たれたい

そっと差し出された傘を
私は受け取らない

無遠慮に降り注ぐ雨に打たれるものたちと
私は同じ気持ちになりたい

そっと差し出された傘を
私は受け取らない

傷つけてしまったことを忘れぬよう
私はこの身を曝し刻みたい

そっと差し出された傘を
私は受け取らない

雨に打たれる姿が憫然たる有り様だとしても
私は自分の言葉で雨を語りたい

そっと差し出された傘を
私は受け取らない

ずぶ濡れになっても肌身で感じ邁進すること
私はそれを愛と呼びたい

そっと差し出された傘を
私は受け取らない

雨と向き合わないと見えない世界が見たいから
私は土砂降りの中、飛び出した

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