マガジンのカバー画像

きのう、なに読んだ?

52
日々読んだ本や長文記事などの、読んだ部分について紹介と感想をメモします。
運営しているクリエイター

2019年6月の記事一覧

私も「女に生まれてモヤってる!」みたい。 | きのう、なに読んだ?

私も「女に生まれてモヤってる!」みたい。 | きのう、なに読んだ?

「シノダさんって、おっさんと女子が同居してますね。」

5年ほど前、気の置けない知りあい何人かでおしゃべりしていて「偏愛マップを書いてみよう」ということになったんです。偏愛マップとは、自分が好きなものを、なるべく具体的に書き出したもので、それを見せ合うとお互いのことが短時間でいい感じに伝え合うことができる、という効果があります。元ネタは齋藤孝さんの本ですね。

偏愛マップに私が書いたものは、たしか

もっとみる
文のレイアウトと身体感覚 (「夢見る帝国図書館」) | きのう、なに読んだ?

文のレイアウトと身体感覚 (「夢見る帝国図書館」) | きのう、なに読んだ?

「夢見る帝国図書館」(中島京子)読了。夕食の片付けも終わったところで、前日の続きを読み始めたら止まらなくなり、深夜まで一気に読んじゃった。

じゃっかんネタバレになりますが、後半に、登場人物の一人が書いた作品が出てくる。これが、1万字くらいあって、ずっと読点(「、」)で文節がつながっていて、改行もなく、区点(「。」)は最後にしかない。

この部分に差し掛かり、「うわ、区点がないのか…」と気づいた瞬

もっとみる
文体と構成 (「夢見る帝国図書館」) | きのう、なに読んだ?

文体と構成 (「夢見る帝国図書館」) | きのう、なに読んだ?

本をよく読み、執筆もしてる友人が小説「夢見る帝国図書館」をとてもほめていた。私の読書はノンフィクション中心なのだけど、これは読み始めたら止まらない。午後に半分くらいまでいっちゃった。

物語の進行というか、構造が良く出来てるんです。主人公の一人称視点と、別の主役が主人公に断片的に語る回想と、合間に挿入される小説的なものの三重構造。登場人物がけっこう多く、特にその小説的な部分には明治以降の文豪がたく

もっとみる
ストイックの語源 | きのう、なに読んだ?

ストイックの語源 | きのう、なに読んだ?

「ストア派」というギリシャ哲学の一派がある。セネカとか、ローマ帝国五賢帝の最後のアウレリウスなどだ。ストア派を英語でstoicism、ストア派の哲人を stoics という。ストイックの語源らしい。

もともとは、数年前から読んでるfarnam street blog で度々取り上げられたのがストア派を知るきっかけ。記事が公開される都度、いいなあって思ってたけど、それ以上深掘りしてなかった。"Me

もっとみる
コードとダイバーシティー ("The Moment of Lift" by Melinda Gates) | きのう、なに読んだ?

コードとダイバーシティー ("The Moment of Lift" by Melinda Gates) | きのう、なに読んだ?

メリンダ・ゲイツは、ビル・ゲイツの妻にしてゲイツ財団の共同議長。ビル・ゲイツと本当に対等なパートナーとして、ゲイツ財団の活動を引っ張っている。初の著書 "The Moment of Lift" を読み、昨日は「翻訳書、ときどき洋書」に寄稿する感想を仕上げていた。そちらの原稿には書かなかったけど、本書にあった「コードとダイバーシティー」の話がとても腹落ちしたので、メモしておく。

本書のタイトル T

もっとみる
ダニエル・ピンクの本の書き方 | きのう、なに読んだ?

ダニエル・ピンクの本の書き方 | きのう、なに読んだ?

Tim Ferris のポッドキャストの、ダニエル・ピンクが出てる回がかなり面白かった。

Tim Ferris は起業家で『「週4時間」だけ働く』など生産性向上本の著者であり、ここ数年はポッドキャストが大人気。本は「そこまでやるか」というエキセントリックさを楽しむ面白さはあるけど、実用書としては私には合わなくて、その印象があったのでポッドキャストが人気なのは知ってたけどずっと食わず嫌いだった。

もっとみる
『こころの対話 25のルール』 再読

『こころの対話 25のルール』 再読

私はあんまり本を再読しない。でも『こころの対話 25のルール』は例外で、何度か読み返している。人に勧める本を探すとき、よくこの本のことを思い出すから。今回も、人にお勧めするのにちょっと内容を確認しようとして、そのまま始めから終わりまでじっくり読んでしまった。

私が要約したり内容を紹介しても、本書の良さは伝えられないので、本書の序盤から、何カ所か引用させていただく。

コミュニケーションの原則から

もっとみる