【第13回 中小企業診断士 資格取得に向けて -企業経営理論 「PPM」-】
こんにちは!椎名悠です!
この記事では来年度(2021年度)の中小企業診断士資格取得に向けてリアルタイムで学んでいる内容を分かりやすく解説したものです!
以下のマガジンで連載中のため、同じく来年合格目指されてる方の参考になれば幸いです。
ちなみに前回の記事はこちらをご覧ください。↓
さて、今回はいよいよPPMについてお話ししていきます!
大学時代に聞いたことあるようなフレーズのオンパレードになるかと思うので、「あーなんか聞いたことあるなこれー!」という感じで読んでいただければ幸いです!
〈そもそもPPMってなーに?〉
PPMとは、超一流コンサル会社ボストン・コンサルティング・グループによって開発された戦略策定支援ツールのことです。
なんだかスケールがすごいですよね・・・!
そして、このツールは企業が多角化することを前提として、複数の事業を展開する時の総合効果を分析、各事業への資源配分を決定する時に利用されます。
つまり、多角化していない(しない)企業には使わなくても良いツールかもしれません。
そのため、何でもかんでも企業に対してPPMを使うのは早計であるということは覚えておきましょう!
〈PPM=市場成長率×相対的市場占有率〉
PPMは縦軸を市場成長率、横軸を相対的市場占有率(相対的市場シェア)で構成したチャートを基に、各事業がチャート内のどの部分に当てはまるのかを視覚的に捉えていきます。
そしてこのチャートを基に資金の流入・流出について考えていくのですが、その前に、市場成長率と相対的市場占有率の高低により次の4つのカテゴリーに分けていきます。
①問題児
②花形
③金のなる木
④負け犬
それぞれのカテゴリーについて詳細をお話しします。
〈①問題児(Problem Child)〉
こちらのカテゴリーの詳細は次の通り。
市場占有率:低い
市場成長率:高い
製品ライフサイクル:成長期(初期)
資金流入:少ない
資金流出:多い
資金流出が多く、資金流入が少ないため、キャッシュフローはマイナス。
まさに世話の焼ける子供というわけです。
しかし、うまくすればここのカテゴリー内の事業は次の項目で話す「花形」に生まれ変わります。
ここにうまく投資を行うことで競合企業からはシェアを奪い、市場占有率を高めることができれば、資金流入は増加するからです。
ただし、問題児に当てはまる全ての事業が花形に育つのではないため、その選別が重要です。
〈②花形(Star)〉
カテゴリー詳細は次の通り。
市場占有率:高い
市場成長率:高い
製品ライフサイクル:成長期(中、後期)
資金流入:多い
資金流出:多い
成熟期になって市場占有率が低くなれば、「金のなる木」に移行します。
そのため、花形事業には投資を続行し、市場占有率を高く保つ努力をする必要があります。
花形になるパターンとして、問題児から移行する場合と、研究開発により花形を取り出す場合の2パターンがあります。
〈③金のなる木(Cash Cow)〉
カテゴリー詳細は次の通り。
市場占有率:高い
市場成長率:低い
製品ライフサイクル:成熟期
資金流入:多い
資金流出:少ない
資金流入が多く資金流出が少ないため、キャッシュフローの源になります。
ここで獲得できるキャッシュフローを、花形や問題児、さらに研究開発部門へ投資します。
注意しておきたいのは、このカテゴリーの市場成長率は停滞しているため、積極的な追加投資は控えましょう。
必要以上のリスクを取らないことが経営における大前提なので。
〈④負け犬(Dog)〉
一番可哀想なネーミングのカテゴリーです。泣
詳細は次の通り。
市場占有率:低い
市場成長率:低い
製品ライフサイクル:衰退期
資金流入:少ない
資金流出:少ない
やはりと言いますか、資金の流入・流出共に少ないです。
子のカテゴリー内の事業の原則として、すでに投資した経営資源を回収して撤退し、他の事業での有効利用を図ります。
要は「せめて使えるものは別の将来性のある事業にさっさと回せ」という身も蓋もないお話しです。
ただし、こんなカテゴリーですが、資金流出は少ないため、売上規模が少なくなるものの高収益事業になる可能性はあります。
さらに、この負け犬の事業と金のなる木の事業でシナジーが起きている場合があります。
つまり、安易に負け犬事業だからと撤退させると、金のなる木の事業が成り立たなくなる場合もある、ということです。
そう考えるととてもダークホースな感じがしますね!
〈PPMの理想〉
以上のことを踏まえ、資金の流れとしては、まず資金源となる金のなる木から得た資金を問題児と花形に投入します。
そうすることで、問題児の市場占有率を上げ、花形の市場占有率を高く維持させます。
また、その後の資金の流れとしては、問題児から花形へ、花形から金のなる木へ行く流れが理想的です。
金のなる木から負け犬にならないよう、市場占有率を維持します。
そして、可能であれば、金のなる木にあたる事業を複数保有した上で、将来の資金源になる花形の事業と、将来花形になるべき問題児の事業がバランスよく存在するPPMが理想です。
〈PPMの問題点〉
さて、ここまでお話ししましたが、このPPMにも次のような問題点があります。
①財務資源という観点でしか考えられていない
②各SBU(事業)間のシナジー等、質面の評価が軽視されがち
③新事業分野への展開の手がかりとしては活用しづらい
④負け犬に配置されたSBU(事業)はモチベーションが低下する
⑤金のなる木への投資が行われず、衰退が早まる恐れがある
これらの問題点もあるため、万能なツールではないことを知りましょう。
特に、③にあるように、すでに展開された事業における分析には使えますが、新事業への展開の手がかりとしての分析手法としては力不足です。
そのため、冒頭でもお話ししたように、多角化していない企業にはこれを使うだけでは経営の改善について効果は発揮しにくいことでしょう。
まあ、ボストンなんて超一流コンサル会社に依頼できる会社って基本大手で多角化した企業ばかりでしょうから、そこで編み出されたツールである以上この問題は生まれて当然なのかもしれませんね。
というわけで今回は以上です!
次回は競争戦略における業界構造の分析についてお話しします!
経営は競争の連続ですからね、この戦略がないと生きていけませんのでお見逃しなく!
それではまた次回、お楽しみに〜!
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