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我々みんなが間違っている。(映画「戦場のメリークリスマス」を観て)

デヴィッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけしという、俳優が本職ではない布陣で製作された映画「戦場のメリークリスマス」。かつて鑑賞した記憶があったのに、物語の筋を全く憶えておらず、新鮮な気持ちで再会することができた。

日本は、第二次世界大戦の「被害者」として語られることが多いけれど、捕虜に対して非人道的な行ないをするなど「加害者」としての側面も決して少なくない。どんな正当な理由があっても、ひとは戦争によって狂ってしまうということを示す映画といえるのではないか。

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物語の序盤に、「我々みんなが間違っている(We are wrong. )」という台詞が出てくる。「戦争において、正しいひとは誰もいない」ということを意味したものだ。

この台詞は、被害を被った捕虜の立場で語らせたものだ。加害行為をした国のひとりである僕が、そんな風に「わかったような」感じで引用して良いのかは分からない。たぶん間違っている。でも結局、我々みんなが間違っているから、どこかで折り合いをつけないと何も語れないわけで。

とんちんかんなことは言いたくない。でも、たぶん現実感を伴わない、とんちんかんな「戦争反対!」を僕は唱え続けているのだと自覚している。

政治家はきっと、僕の何倍も何十倍も真剣に安全保障のことを考えているのだろうけれど、その結果導き出されている施策になにひとつ共感できないのはなぜだろうか、僕が無知だからだろうかと悩むこともある。

でも戦争という愚かな価値観やルールに囚われてしまえば、一見合理的ではない施策も「是」として進めなければならないのではないか。それを体現しているのがヨノイ大尉(演・坂本龍一)であり、ハラ・ゲンゴ軍曹(演・ビートたけし)なのだ。

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映画が上映されたのは1983年のこと。ほぼ40年前だが、描かれていることの切実さは、むしろ「いま」の方が胸を打つ。

名作とは、時間が経ってもその価値が減じることはない。鑑賞したことがある方も、そうでない方も、いま一度、坂本龍一さんとビートたけしさんの演技に浸りつつ、戦争と平和について思いを馳せてみてはいかがだろうか。

(Amazon Prime Videoで観ました)

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