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そうだ ビジョンを、話そう。〜キャラ変マネジメントのすゝめ〜

先日22日の日経新聞にこのような記事がありました。

インパクトに欠ける人材投資提言 浸透は未知数

今年6月、内閣府は中長期の経済政策を展望する報告書「選択する未来2.0」を公表した。様々な施策が盛り込まれたが、最大のテーマは「ヒューマン・ニューディール」だった。市場ニーズに対応できていない日本のリカレント教育や女性労働者の処遇の低さといった問題を指摘。人材への投資を徹底し、多様な人材の発想や能力を発揮させることが肝心だと結論づけ、幅広い分野での改革の必然性を訴えた。

と、前向きな動きかなと予感させつつも、直後はこう結ばれていました。

西村康稔経済財政・再生相が2020年3月に有識者会議の設置を発表してから1年あまり、日本総合研究所の翁百合理事長を座長に経済学者や経営者らが集い、議論を重ねた。ただ、残念ながら大きな話題にはならなかった。

つまり中長期的なビジョンから人材への投資を議論できていないということです。

さらに、「中長期ビジョン」にふれる点として、記事ではこう触れられています。

人口減少やイノベーションなど日本の中長期の経済問題に向き合う計画策定力は弱まった。(中略)もし2.0が政権や担当相から距離を置き、推計などがなくても直面する危機や政策へ厳しい指摘と大胆な提言を打ち出せたなら、不安を抱く国民の心をぐっとつかめたはずだ。

みなさんはどう思いますか?

私は人財業界の一人として、スタートアップ経営の一人として反省することが見つかりました。


「やばい、最近ビジョンを話すの、忘れてた・・・」


大事なことは人の振り見て我が振り直せだと思います。政府官僚を揶揄するのは簡単だし清々しいかもしれない。しかし自身の行動に転用しなければ何も意味がない。

したがって、本コラムでは

1.ビジョンへの認識はこう変わった(ロスジェネ世代の本人談)

2.私の家族ビジョン、経営ビジョン

3.もっとビジョンを語るために

この3本を論じてみようと思います。

1.ビジョンへの認識はこう変わった(ロスジェネ世代の本人談)

私は昭和60年代生まれの「ロストジェネレーション」世代です。あくまで日本での呼び名ですが、氷河期世代でもなくゆとり世代でもないということです。

世代論として極端に解釈すると「手本としている先輩は少ないし、後輩が同じ価値観だと思うことも少ない。」です。(一個人の意見です)

就職を考え始めた2008年にリーマンショック、社会人になりたての2010年直後は東日本大震災。つまり、「何かあったら自分で食っていく」というポリシーが身にしみています(そう、一個人の意見です)

そんな私の目から見た「ビジョン」の考え方の変遷をご紹介します。まずは今から10年前はこんな図です。

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■ポイント1:「会社のビジョンから順番に翻訳していくと、自分のビジョンになる」と、マジで教わりました。(なんとなく変だなとは思っていましたが。)

■ポイント2:職場のビジョンに家庭が追随するというのは最近まで目にしてきました。例えば「旦那が転勤するなら、自分は仕事をやめざるを得ない。」といった話です。

■ポイント3:個人の中長期ビジョンは要らないかな?と思っていました。現在の「個人のビジョン」を一生懸命やりきることが、将来に繋がると思っていました。

それが最近は2児の父にもなり、また多くの若手メンバーに叱咤激励をもらいながらこのように思うのです↓

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■ポイント1:「個人のビジョン」は会社のビジョンよりも長いスパンになりました。なぜなら、自分のキャリアの1つに会社を利用するという考え方が普遍的になりつつあるからです。

■ポイント2:個人も家庭も、社会への貢献を意識するようになりました。これは会社、事業も同じく全体的に上寄り(貢献対象が抽象化)になっています。SDGs、ESGといった、一市民としてコミュニティへの貢献を問われ始めたからでしょう。

■ポイント3:世の中の不確実性が増す中で、個人と家族のビジョンの時間軸が長期化&具体化したように思います。つまり、どういう個人や家族であるために、どのように会社・仕事と付き合うか。この順序を逆にすることは採用市場からの総スカンを喰らいます。

■ポイント4:家庭のビジョンが職場のビジョンから解放されました。リモートワークが普及して転勤を伴う移動、出張、出社自体が少なくなるからです。一方で家庭人としてのビジョンと職場のビジョンは同格の幅・重さになったと感じます。

2.私の家族ビジョン、経営ビジョン

ということで2021年現在、私の感覚では家族のビジョンを考えることは経営、事業、職場のビジョンに大きな意味を与えると感じています。そこで妻と何となく話してきたことを整理をしてみました。

・家族ビジョン

「楽しい」を自分で生み出す人になる

・家族・子育てバリュー

・「〜してくれてありがとう」は忘れない

・共感はしても干渉はしない

・最後は自分で決める


おやおや?なんだか仕事に似ているんですよね。

・経営ビジョン

種をまく人を増やす

・経営バリュー

・”できるか/できないか”よりも、”やるか/やらないか”

・あきらめ時が、“続け時”

・脱力できたら一人前

もっとこういうことを家庭でも、仲間とも話していかないと戦略的な人材への投資ができないなと反省。そして最も大切な投資とは、子育てでしょう。

3.もっとビジョンを語るために

時々刻々と子どもは成長します。知らないはずの言い回しを覚えたり、親を困らせるような質問もする。同じようにビジネスの外部環境は変わり、価値への意味付けが変わってくる。

そんな教訓から、いま人財業界の一人として考えている私のビジョンは、

「もっと無駄を愛する人や機会を増やしたい」

ということです。

無駄と言っても非生産的なことではありません。違う価値観、新しい発見など、短期的に見ると「無駄」に見える交流から新しい意味が生まれると思うのです。これはイノベーションの教科書や事例では至極当たり前のこと。


そこで提案は、キャラを使い分けること。

軌道に乗った事業運営では直線距離を走る生産的なキャラで良いと思います。しかし、スタートアップや新規有用なナレッジを求めるなら「無駄を愛するキャラ」にならないとダメ。

そのキャラ変を「一貫性がないやつだ」と評価する組織文化は生き残れないでしょう。また、全員が画一的に無駄を排する超合理化組織も市場から淘汰されるでしょう。

ですから、私はキャラ変を応援します。キャラ変を歓迎する組織を増やす支援をしていきます。

言い換えれば、キャラ変を多用するからこそ目指すべきビジョンを語ることが欠かせなくなる。


ということで、


そうだ ビジョンを、話そう。



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