見出し画像

たかがデート、されどデート

「どこ、遊びに行く?」デートの提案をすると
大体が「静かな場所」と返ってくる
庭園や博物館、美術館を選ぶと、喜ばれる

「うるさい場所が苦手
女って、なんでうるさい場所が好きなのかな」
あなたと電話をしている相手も女です

わたしの買い物に付き合わせると
帰りは「疲れた」連呼され
優柔不断じゃないのに、賑やかは疲れるという
次回からは、また静かな場所を話し合って決める

反対に男友達はわたしと騒がしい場所へ行きたがり
「彼女と行かないの?」聞いてみると
「彼女とはのんびりしたい」と言われる
好きな人とは、ゆっくり疲れを癒したいのね

わたしもそうだな
好きな人とは、そんな会話に気を遣わず
たまに目が合えば「ん?」って微笑み
浮かんできた言葉を交わす程度が心地よい

特別じゃなくていいのよ、一緒にいられたら
アクティブでアグレッシブじゃなくていい
オシャレじゃなくて全然構わない
ぬるま湯に浸かっている感じの惰性がいい

マガモが池で輪を描き、猫は香箱座りする
街路樹の下に咲く花、雲が気流で変形していく
わたしは立ち止まり、視線を置く
「何、見てるの?行くよ」…ごめんと追いつく

だけど、ただ一人だけは
性格は違うのに、同じ価値観で良かったと
わたしのことを言ってくれた

たかがデート、されどデート
話を合わすことは出来ても
感受性だけは、合わせるのが難しいのだと思う