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「自分が正義である」と思い込み

童話『かちかち山』と小説『ハンニバル』が被る

正確にいうと
かちかち山のウサギさんとハンニバル・レクターが
被ってしまう

人の懐に入り、白昼堂々イヤなヤツを始末する
サイコパスと英雄は紙一重だなって

『かちかち山』のうさぎさんは、Wikipediaでは
爺さまが親しいうさぎに相談した設定になっており
だけど、わたしが読んだ絵本やその他は
突然、爺さまの前に現れた人物が“うさぎさん”

『かちかち山』のタヌキも大概なヤツだが
うさぎさんも、部外者がそこまでやるかと
読みに聞かせする親は
誰も何も思わなかったのだろうか

『かちかち山』の時代
狭いコミュニティでケリをつけるしか
なかったのだと推測される

一方、ハンニバル・レクターも
そもそもが復讐心や正義感での行い

悪事が無罪放免になった人や意地悪、ズルい人
法を掻い潜る人が、ハンニバルのターゲットとなり
怪奇や快楽だけが話題になり
実際は、無差別に手をかけた訳ではない

うさぎさんとハンニバルは、変わらない
だが、印象はまるで別物として語られる

わたしの憶測を語ってみると
人は「自分が正義である」と思い込み
自分の意と異なるものを「悪」と見做す

シンパシーを覚えるうさぎさんは、正義
グロテスクにしか見えないハンニバルは、悪

これらから何が分かるか

「悪」とは、その人にとっての悪であり
「正義」とは、都合が良ければ正義になる
誰であろうが、何でも「悪」にされる
可能性を秘めている実態が存在する
そして、逆も然り

安易に他人をジャッジしないのは
この辺りに答えがあるように思う