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著…太宰治 絵…すり餌『猿ヶ島』

 自分がどこで誰と生き、そして死ぬか。

 それを決めるのは自分自身だ。

 というメッセージ性を感じさせる小説。



 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。


 深い霧に包まれて、今が昼なのか夜なのか判然としない。

 木はあるものの、これまで慣れ親しんだ場所とは何かが違う。

 何がどうとは言えないけれど、明らかにおかしい。

 そんな島に、この小説の主人公は辿り着きました。

 さて、主人公はこの不思議な島で、奇妙な猿たちとの出会いを果たします。

 中には、喋る猿もいました。

 その会話の流暢なことといったら!

 主人公がどんな経緯でこの島に辿り着いたのか明かされないところに、わたしはゾワゾワと引っかかりを覚えました。

 主人公と喋る猿の会話も、なんだか夢うつつの世界を彷徨っているかのよう。

 だから、読めば読むほどに胸の中がざわつきました。

 何かが変だ、と。

 ここはどこなんだろう、と。

 やがて、主人公の正体が判明します。

 その途端、まるでそれまでバラバラだったパズルのピースが全て合わさったかのような衝撃を覚えました!

 予想を裏切られた面白さと同時に、太宰の孤独も伝わってきました。

 もしかしたら太宰もこの『猿ヶ島』の主人公と似たような気持ちだったのではないか?

 と、つい想像力を掻き立てられます。

 これだから太宰を読むのはやめられませんね。



 〈こういう方におすすめ〉
 予想を裏切ってくれる小説を読みたい方。
 生き方も死に方も、誰にも強制されたくない方。

 〈読書所要時間の目安〉
 1時間くらい。

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