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著…萩原朔太郎+しきみ 「詩集『青猫』より」

 恋情をうたった作品がひときわ目を惹き、ドキドキしながら読める詩集です。

 もしこの本に艶っぽいイラストが添えられてしまったら過剰だけれど、可愛らしいイラストが添えられているおかげで、ほど良く中和されて読みやすいです。

 わたしのお気に入りはこの一節。

 「心と心と
  手と手と
  足と足と
  からだとからだとを紐にてむすびつけよ
  心と心と
  手と手と
  足と足と
  からだとからだとを撫でることによりて慰めあへよ」
(『寝台を求む』 P9から引用)

 萩原先生がどう意図したかは分かりませんが…。

 わたしはこの一節を、たとえ体を一つにしても心までは一つになれないもどかしさを詠んだ詩ではないかと解釈しています。

 どれだけ深く相手を恋い求め、結びつき、繋がろうとしても、心まで解け合うことは難しい。

 人は結局ひとり。

 越えられない隔たりがあります。

 それでも惹かれ合わずにはいられません。

 孤独なこの世界で、愛しい人がすぐそばにいること。

 それがせめてもの慰めになる…。

 そんな心情を詠んだ一節ではないかと思います。

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